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『逃げ恥』脚本家・野木亜紀子氏、漫画原作者と“会えない”現実に驚き「原作の先生がどう思ったかはめちゃくちゃ気になる」
 脚本家の野木亜紀子氏(50)が自身のX(旧ツイッター)を更新。亡くなった漫画原作者の芦原妃名子さんが訴えていた漫画のドラマ化にともなうスタッフとのやり取りについて、自身の体験と見解を語った。

脚本家・野木亜紀子氏がXでコメント (C)ORICON NewS inc.

脚本家・野木亜紀子氏がXでコメント (C)ORICON NewS inc.

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 野木氏は投稿で「原作がある作品の脚本を手がける脚本家が、事前に原作者に会う/会わないの話ですが」と書き出し、「脚本家が好むと好まざるとに関わらず『会えない』が現実で、慣例だと言われています。私も脚本家になってからそれを知って驚きました」と明かした。「良くいえば『脚本家(あるいは原作者)を守っている』のであり、悪くいえば『コントロール下に置かれている』ことになります」と見解。さらに「慣例といっても、原作サイドから『事前に脚本家と会いたい』という要望があれば、プロデューサーも断れるはずがなく、そんな希望すら聞いてくれないのであれば作品を任せないほうがいいし、それを断る脚本家もいない……というか、会いたくないなんて断った時点で脚本家チェンジでしょう。原作がある作品において、脚本家の立場なんてその程度です」とつづった。

 続けて「次に、事前の話ではなく、脚本を作っていく中でのやり取りの話ですが」とし、太字で「注意)今回のドラマがどうだったかはわかりません。作品によって異なります。以下は、あくまで一般論(この12年で私が見知った範囲内)の話です」と念押したうえで「脚本家からしたら、プロデューサーが話す『原作サイドがこう言ってた』が全てになります。私自身も過去に、話がどうにも通じなくて『原作の先生は、正確にはどう言ってたんですか?』と詰め寄ったり、しまいには『私が直接会いに行って話していいですか!?』と言って、止められたことがあります。(後に解決に至りましたが)」ともどかしい思いをした過去を明かした。

 「また、プロデューサーも、先生の意見を直接聞いているかというとそうでもない。半年以上に及ぶやり取りの中で、地方在住の方もいらっしゃいますし、ご自身の仕事が多忙でそんな暇ないということもある。そのため大抵は、出版社の担当者やライツを通した、伝言の伝言になります。もしそこで誤解や齟齬が生じても、プロデューサーとライツ・担当者が話し合って双方に還元すれば、解決したりもします」とさまざまな事例があることを説明。

 「個人的には、先生からのご指摘や感想のお手紙(メールなど)が脚本家に直接開示される状態のほうが、誤解や齟齬が少ないし、安心だなと思えます。原作の先生がどう思ったかは、脚本家としてめちゃくちゃ気になることなので。原作がある作品に携わっている多くの脚本家は、ほとんどがそういう気持ちなんじゃないかなと思います。※昔のことは分かりませんが、今この現代においては」と脚本家の立場での思いを伝えた。

 自身の事例については「過去に自分が関わった作品のチームの話になりますが、プロデューサーも私も監督も、原作の先生が喜んでくださったり、褒めてくださったりするだけで、大喜びしていました。ご意見にも一喜一憂していました。演じる役者さんも、原作者さんがどう思われているのか、とても気にします」とコメント。「それでも、ドラマ・映画制作は集団作業なので、少しのかけ違いや様々な要因でうまくいかないこともたくさんあります。これは原作もの/オリジナルに関わらず、難しいなと常々思わされている点です」と心境を述べた。

 さらに野木氏は続く投稿で「テレビ局は元々、作家の権利を蔑ろにしがちなんですよ」と吐露。「それは原作者だけでなく、オリジナルドラマを書く脚本家に対しても同じ。こっちは一個人で、向こうは圧倒的に巨大な組織で。もちろん、それじゃいかんと作家のために戦ってくれる社員さんもいます。人によるし、それができるかは立場による」とも伝えた。

 野木は『重版出来!』(2016年/TBS系)、『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年、2021年/TBS系)など原作漫画の実写化を手掛けたヒットメーカー。このほかに『アンナチュラル』(2018年/TBS系)や『MIU404』(2020年/TBS系)などオリジナル脚本も手掛ける。現在は、漫画を映画化した『カラオケ行こ!』が公開中。

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