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「あの人…キレる人だったんだ」冷ややかな視線 怒っているときは頭が悪くなる理由
 2023年のヒット書籍をランキング化した『第16回オリコン年間“本”ランキング2023』で、TOP10入り(10位)し、ビジネス関連の書籍で“今いちばん売れている”と話題の『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)。「IQ・学歴に関係なく、誰でも“頭のいい人”になれる」をテーマに、口下手だったというコンサル歴22年の著者・安達裕哉氏が、伝え方や話し方にポイントを当てて解説する。同書から“冷静に伝えることの重要さ”について語った内容を、一部抜粋して紹介する。

怒っているときは頭が悪い?

怒っているときは頭が悪い?

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■冷静さを失った人の末路

 私が若手だったころの話です。ある企業の「改善活動」を見に行きました。改善活動は、部長の前で一人ひとりが「今週の報告と、来週の目標」を発表していくだけのことでしたが、役員のひとりは、この活動に対して異常なまでのこだわりがありました。

 しかしそれは、活動の中身ではなく“発表するときの声”にだったのです。社員の中には、人前で話すことが苦手な、声の小さい人も当然います。あるいは、自信なさそうに発表する人もいます。そんな人にはその役員は「声が小さい!」と叱咤し、やり直しをさせるのです。

 正直なところ、見ていて気持ちのよいものではなかったのですが、私は外部の人間でしたし、経営者がそれを許していたのだから、この儀式について止める理由もありませんでした。

 ところが、あるとき役員の気に障ったひとりの新人が皆の前で「こっぴどく怒られた」とき、それを見かねたリーダークラスのひとりが、役員に対して「もうそれくらいでいいでしょう!」と大きな声で制したのです。

 場は凍りつきましたが、その役員が「言いすぎた」と謝罪していったんは収まりました。そして、事件のあと。リーダーとその役員の間で、社長が仲裁に入って話し合いが持たれました。社長は怒鳴ったリーダーの話に理解を示し、役員には「やりすぎである。本来の趣旨と違うはず」と反省を促しました。

 しかし、社長はリーダーに対してもこう言ったのです。

 「冷静さを失うとは何事だ。そのようなことではリーダーを任せられない」

 社長の言う通りでした。彼は新人をかばっただけでしたが、その事件のあと、他の社員が件のリーダーを見る目が、少し変わってしまったのです。しかも、残念ながら称費というより、冷ややかな目でした。「あのリーダーは、(役員と同じ)キレる人だったんだ」と皆に判断されてしまったのです。

 リーダーは、正義感からあのような行動をとったのだと推測できます。「弱い人」 が叱られるのを見ていられなかったのでしょう。また、前から“改善活動が無駄”と思っていたのかもしれません。でも「キレる人」には理由はどうあれ皆、近寄りたくないのです。

■「怒っているとき」は、頭が悪くなる

 サセックス大学教授の心理学者、スチュアート・サザーランドは著書『不合理 誰もまぬがれない思考の罠100』の中でこう述べます。

 「怒りや恐怖など強い感情にとらわれると、愚かな行動に走りやすい」

 要するに、怒っているときは、だれでも頭が悪くなるのです。

 怒っているときに下す判断は、まず、問違っていると考えたほうがいいでしょう。上司から叱責されたとき。同僚から無能だとみなされたとき。大勢の前で恥をかかされたとき。そういったとき、良い判断のできる人はほとんどいません。実際、上司と喧嘩し勢いで会社を辞めて後悔した人を何人も見てきました。

 頭のいい人は“キレること”“感情的になること”でどれだけ大きな損失を被るか知っています。

 もちろん頭のいい人も感情的になることはあります。しかし、頭のいい人は感情的になったとき、すぐに反応するのではなく、感情をコントロールし、冷静になって考えるほうが、メリットがあることを知っていて、その術を身につけているのです。

 つまり、“話す前にちゃんと考える”ということは、感情に任せて反応するのではなく、冷静になることだと言い換えられます。

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■安達裕哉氏/ティネクト株式会社代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマッコンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。

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