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役所広司、“演技”を語る 映画『PERFECT DAYS』インタビュー「100年経っても古くならない映画に出たい」
 俳優の役所広司が、“演技”について率直な想いを語ったインタビュー動画が公開された。映画『PERFECT DAYS』(公開中)の演技で、今年の「第76回カンヌ国際映画祭」にて最優秀男優賞を受賞した役所。「演じるその人の気分を背負ってないと仕事ができない」と、『PERFECT DAYS』について、自身が演じた平山について、そして、絶賛された演技について語っている。

映画『PERFECT DAYS』(公開中)(C) 2023 MASTER MIND Ltd.

映画『PERFECT DAYS』(公開中)(C) 2023 MASTER MIND Ltd.

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 『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの作品で知られる、ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースが、役所を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』。

 役所が演じた平山は、東京・渋谷の公衆トイレの清掃員。東京スカイツリーがそびえ立つ押上の古いアパートでひとり暮らしをしている。その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しの中に身を置いているように見えた。ルーティンは孤独を遠ざけるものかもしれない。けれど男のそれはどこか違ってみえた。ただ黙々と日々を生きる。そんなトイレの清掃員・平山の日々をフィクションでありながらドキュメンタリーのように映し出していく。

 「映画ってやっぱ自由な発想ですべきだなと思いますね」。そう、リラックスした表情で語る役所は、映画に対して同じ展開ではなく、また同じ絵でもない「見たことがないものがみたい」と明かす。ヴェンダースのこだわりが詰まった、フィクションでありながらドキュメンタリーのような『PERFECT DAYS』は、役所にとっても今まで経験した作品とは異なる「同じ展開ではない」体験になったに違いない。

 また、平山は前半、ほとんどせりふがなく、朝起きて、身支度をし、仕事であるトイレへ清掃に向かう。そんなルーティンが淡々と描かれ、ナレーションもない。そんな展開に役所は「人生は誰も、何も説明的でもないし、伏線もない。何が起こるかわかんない」というところにひきつけられるという。

 わかりやすい起承転結がない映画について「こういう映画は50年後、100年後に見られても、古くならない映画を目指してるんじゃないかなと思う」と語り、小津安二郎監督の映画を例に出し、「何が面白いんだろうと思っていた」と明かすも、「自分が年取ってきたり、家族ができたりなんかそういうことによってなんか全然やっぱり深みがある映画だってことに初めてこう気がつくし、もっと年取るともっと面白くなるかもしれない。やっぱできればそういう映画に出たいですよね」と、『PERFECT DAYS』もそうあってほしいとの願った。

 「自分と平山は似ていない」「演じるその人の気分を背負ってないと仕事ができない」「平山さん、どうするんだろうなとかっていうのはふっと考える」と、監督の“Who is Hirayama”というメモ(平山がなぜ今の生活に至ったか、その精神のプロセスが書かれている)を手がかりに、平山を演じきった役所。

 「あれだけこう同じ繰り返しを見せられても、やっぱりそこにはこう生きた人間がね、人間とか生きた植物が動いている映画っていうのは結構持つんだなって」そう語る横顔が、一瞬平山に重なってみえる、そんなインタビューとなっている。

 『PERFECT DAYS』は、世界で80以上もの国・地域で配給が決定しており、米国アカデミー賞国際長編映画賞・日本代表に選出された本作は、ショートリストに選出され、来年発表される「第96回アカデミー賞」本選ノミネート、そして受賞への期待が高まっている。

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