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石原詢子 デビュー35周年記念シングル 歌を通じてたくさんの人と縁を結びたい

 デビュー35周年を迎え、自ら作詞・作曲を手掛けた初のシングル「五島椿」をリリースした石原詢子。長崎県の五島列島を舞台に、しばらく封印していた自身の代名詞である “しあわせ演歌”を作り上げ、5月には長崎県五島市の「五島市ふるさと大使」と上五島町の「新上五島町観光物産大使」に就任した。歌を通して五島の素晴らしさをアピールするとともに、自らが魅せられた五島の魅力をブログで発信するなど、大使として積極的に活動している石原に、五島とのつながりや歌による地域貢献、観光大使の醍醐味を聞いた。

デビュー35周年を迎えた石原詢子

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■美しい風景に魅せられ 五島列島を舞台に歌を書いてみたかった

 石原が「五島椿」を創り出すきっかけとなったのは、レコード会社の担当者から言われた「(新曲を)書いてみますか?」というひと言だった。これまで自作曲をアルバムに収録したことはあったものの、シングル曲を手がけるのは初めて。「ダメならボツにしてもらえばいい」という思いで、コロナ禍に書き溜めていた歌ではなく、「どうせなら新しい作品を」と創作に挑んだという。

 歌の舞台に五島列島を選んだのは、めぐりあわせともいえる「縁」だった。

石原 長崎出身で、五島列島に携わる仕事をしていらっしゃる方と何度かお会いする機会がありまして、そのたびに五島の話を聞いていました。私自身、20年前に五島を訪れたことがあり、ほんの短い滞在でしたが、その美しい風景が脳裏に焼きついていたので、五島を舞台に歌を書いてみたいと思ったんです。

 自身の記憶と知人の話、ネットで調べた情報をもとにさっそく詞を書いてみたが、納得できるものにはならず、題材として考えていた椿の咲く2月に久しぶりに五島を訪問。直接、島のリアルを体感したことで、「一気に書き上げることができた」と振り返る。

石原 椿は島の人たちにとって、油をとったり、お茶や化粧品を作ったり、生活に密着した必要不可欠なものであるという認識は訪れる前から持っていました。でも、どのくらい島の人たちに寄り添った存在であるかは、やはり実際に自分の目で見て、お話を聞いて、感じなければわかりませんでした。しかも、椿はあんなに可憐な花を咲かすのに、実は防風林の代わりにもなっていて、島の人たちの生活を守ってくれているんです。そのことも、今回、行って初めて知りましたし、知れば知るほど魅了されて、イメージがどんどん膨らんでいきました。

■五島が持つ“異国の空気感”を音で表現 若者にも受け入れられる楽曲に

 五島でのリアルな体験は、曲とアレンジにも存分に表現されている。イントロから異国情緒漂う雰囲気なのだが、それも潜伏キリシタンの歴史やコバルトブルーの海の色など、五島が持つ“異国の空気感”を出したいという思いからだった。

石原 編曲をお願いした若草恵先生には、演歌の王道ではなく、ちょっと西からいい風が吹いてくるような感じがいいとお話ししました。そして椿は島の生活を守る存在であることも表現したかったので、『椿って“強”い“葉”の“木”とも書くんですよ』というお話もして、だったら強い部分も出したほうがいいね、ということで、イントロのピアノの音を作ってくださいました。

 五島の魅力を表現することで、演歌に新しい風を吹き込んだといえる本作だが、その裏には、自身の歩みも大きく影響している。石原といえば、カラオケ愛好家たちから人気の高い、明るくメジャー調の“しあわせ演歌”が真骨頂と言われてきたが、本人は、「歌の幅を広げたい」という思いから、シンガー・ソングライターの古内東子作詞作曲の「ただそばにいてくれて」や、35周年イヤーにボーカルを新録したシングルバージョンを配信リリースした「予感」など、新たな試みに挑戦してきた。本作では、デビュー30年以上にわたり自身が築いてきた“しあわせ演歌”の流れを汲みながらも、それらの新たな経験を活かし、より多くの人に届くよう、演歌ファンだけでなく、若い人にも受け入れられる曲を目指したという。

■歌を通じて、たくさんの人と縁を結びたい

 そんな五島への愛が詰まった1曲がきっかけとなり、五島市の「五島市ふるさと大使」と上五島町の「新上五島町観光物産大使」の就任が決まったのは5月。翌6月12日には新上五島町役場で、翌13日には五島市役所で委嘱式が行われ、その模様は地元の新聞やテレビ番組で大きく報じられた。

委嘱式の様子(左:五島市/右:新上五島町)

委嘱式の様子(左:五島市/右:新上五島町)

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石原 「テレビ見たよ」とたくさんお声をかけていただきました。その一方で、新上五島町では、町長さんと写った「『上五島町たより』を見たよ」と言われることが多くて(笑)。町長さんのお話では、どこに誰が住んでいるか把握できるくらい密な、島独特の雰囲気があるそうなんですけれど、みなさんにとって町の広報誌が生活に密着していることを知り、また一歩、島の暮らしに近づけた気がしました。

 さらに新上五島町ではこんなうれしい歓迎もあった。

石原 新上五島町のある区を訪れたとき、老人会の方たちが集まって、私の「みれん酒」で盆踊りを踊り、「五島椿」も歌ってくださったんです。朝早くから集まって練習されていたようで、私の知らないところで、石原詢子のことを考えながら歌ったり踊ったりしてくださっている方々がいることを実感して、本当に幸せを感じました。

 石原はこれまで、自身の出身地である岐阜県の「ひだ・みの観光大使」や、2001年の北海道江差町を舞台にしたシングル「浜唄」をきっかけに「江差町観光大使」を務めた経験はあるが、自ら選んだ場所で、自ら作った歌での大使就任には、より一層の責任感を感じているという。

石原 五島に通うようになって、景色や食べ物、人々のぬくもりなど、行けば行くほどどんどん五島のことが好きになって、もっともっと知りたいと思うようになっています。こんな気持ちになれたのは歌が結んでくれたご縁にほかなりませんし、だからこそ、「五島椿」をヒットさせて、より多くの方々に私が虜になった島の魅力を知っていただきたいと思っています。

「五島椿」には、五島を歌にするきっかけとなった知人との縁、島の人たちとの縁、そんな幸せな縁を表現するとともに、「この歌を通じて、たくさんの人たちとご縁を結びたい」という願いが込められている。歌が地域を盛り上げ、地域がアーティストを支える。石原の“五島愛”が生んだ「歌」と「地域」と「アーティスト」のトライアングル関係は、この先も大きな盛り上がりを見せてくれそうだ。

文・河上いつ子

<リリース情報>
■石原詢子 デビュー35周年記念シングル「五島椿」
MHCL3029/1,300円(税込)

石原詢子 デビュー35周年記念シングル「五島椿」

石原詢子 デビュー35周年記念シングル「五島椿」

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<収録曲>
1.五島椿
2.流れる雲に
3.予感
4.五島椿(オリジナル・カラオケ)
5.五島椿(一般用半音下げ・カラオケ)
6.流れる雲に(オリジナル・カラオケ)
7.流れる雲に(一般用半音下げ・カラオケ)
8.予感(オリジナル・カラオケ)
■石原詢子公式ホームページ:https://junko-ishihara.com/
■石原詢子「五島椿」特設サイト:https://www.110107.com/ishihara_gototsubaki

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