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山田杏奈、遠野の方言&草鞋編み…徹底した準備で撮影に臨んだ映画『山女』本編映像
 俳優の山田杏奈が主演を務めた、福永壮志監督の映画『山女』(6月30日より全国順次公開)。柳田國男の名著「遠野物語」から着想を得て、18世紀後半の冷害に喘ぐ東北の寒村を舞台にしたオリジナルストーリーの映画で、重要な役割を担っているのが、早池峰山(はやちねさん)を有する岩手県遠野市の方言。山田は「(遠野の方言で)せりふを言うことで、あの時代のあの世界に生きている子だという自覚も芽生えました」と話しており、方言を取り入れたせりふが作品のリアリティだけではなく、演者の役へのアプローチにも有効だったようだ。

映画『山女』6月30日より全国順次公開 (C)YAMAONNA FILM COMMITTEE

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 福永監督は、脚本の段階から「せりふを遠野の方言の先生に発音してもらったものを録音して、俳優の皆さんと共有して、撮影前にしっかり準備してもらいました」と、事前準備を徹底したという。

 方言にこだわった理由は「やはり昔の話なので、どうしてもフィクション色は強くなるんです。それでもできるだけリアリティを持たせたくて、昔、話されていた言葉により近い方言を生かすことで、少しでも現代との差を埋めようとしました」と、方言が作品の世界観を構築するための重要な要素であったことを明かしている。

 方言へのこだわりを垣間見ることができるシーンの一部(本編映像)も公開されている。映像は、主人公の凛(山田)と弟の庄吉(込江大牙)が、父親の伊兵衛(永瀬正敏)が寝静まった夜、囲炉裏(いろり)のわずかな火を頼りに草鞋(わらじ)を編む日常を捉えたもの。先代の罪を背負い、卑(いや)しい身分に貶(おとし)められている凛の一家は、間引きされる赤ん坊を川に捨てる役目や死体の埋葬の仕事を引き受け、家では草鞋編みの内職を行い、せめてもの食い扶持を稼いでいる。

 家の前に落ちてきた雀(すずめ)の雛(ひな)を埋めたと告げる庄吉は「その時思ったった、こいづはこれで終わりなんだべかどて。早池峰山さ行がねぇのがな?」と問いかけ、「あそごさ行くのは人間の魂だけだ」と答える凛。庄吉が「人間なら、みんな行けるのが?」と尋ねると、凛は「罪人も善人も、貧乏人も金持ちもみんなだ。早池峰の女神様は誰だって迎えでくれんだもの」と話しながら、穏やかな表情を浮かべる。その凛の姿から、彼女がどんな理不尽な逆境の中でも早池峰山を心の拠り所として、ひたむきに一家を支えてきたことがうかがえる。

 そんな姉弟の穏やかな会話に、悪夢にうなされ、飛び起きた伊兵衛の叫び声が割って入る。手を止めて様子を見ている凛たちを伊兵衛が一瞥(べつ)すると、「薪(まき)い、もったいねえ…はえぐ寝ろ」と言い放ち再び横になるところで映像は終わる。

 山田は、方言だけでなく家で草履を編む練習もしていたと言い、準備を徹底して撮影に臨んでいたようだ。

 物語は、ある日、父の伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こし、村人たちから糾弾される父をかばって、凛は自ら村を去り、禁じられた山に入る。そして、伝説の存在として恐れられる“山男”に出会うのだった。

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