元AKB48の小嶋陽菜が手掛けるライフスタイルブランド『Her lip to』が4年目を迎え、初の路面店を東京・表参道にオープンした。コロナ禍に関わらず、21年度の売上は前年比2倍に伸長。好調な業績を反映するように、この2月には運営会社・heart relationの経営体制を刷新。そうそうたるキャリアのメンバーが揃った。多くの芸能人プロデュースブランドが短命に終わる中、タレントパワーだけに頼らない“こじはる社長”の経営センスをインタビューから探る。
■経営の知識は今も猛勉強中、「それでもお客さまは待ってくれない」
――順調にビジネスが軌道に乗っている印象です。今年2月に経営体制を刷新し、代表取締役CCOに就任した狙いを教えてください。
【小嶋陽菜】おかげさまでブランドは順調に成長していて、私1人ですべての役割を担うのが難しくなったことが大きかったです。CCOに就任したことで、ブランド立ち上げからこだわってきたお客さまとしっかり向き合うこと、そしてクリエイティブと体験の質向上に集中できる環境を改めて整えることができました。
――昨年度は約300点のアイテムを発売しました。“芸能人プロデュース”の枠に止まらないブランドとして躍進しています。
【小嶋】もともと『Her lip to』は、仲間内で小規模に始めたブランドだったんです。AKB48を卒業して1年、今後もファンと繋がり続ける場所を作りたくて、当初はアプリの立ち上げを構想してたんですね。その中で私が本当に着たいお洋服を作りながら、同じ世界観を共有していただける方に販売もできたら、みたいなイメージをしていて。結局アプリは断念したのですが、すでに作り始めていたお洋服をどこかで販売したいと思い、想定外でしたがブランドづくりをスタートしたんです。
――当初はここまでブランドが成長するイメージはなかったのですか?
【小嶋】はい。だから、今でも経営の知識はまだまだ足りていなくて猛勉強中です。だけど、私がそれを学んでいる時間をお客さまは待ってくれません。だったらキャリアを積んできたメンバーを適材適所に配置したほうが、お客さまによりよい価値が提供できるし、社員たちも活躍できます。さまざまなバックグランドを持つ社員のそれぞれの力が組み合わされば、この会社らしい、オリジナルの価値がつくれると思います。
■AKB48の経験を経営に生かし、「アイドル時代に人を見る目や勘のようなものは養われた」
――7月30日には、初の実店舗『House of Herme(ハウス オブ エルメ)』をオープン。オンライン販売で順調に業績を伸ばしながらあえてリアル店舗にコストを投じたのは、AKB48の「会いに行ける」というコンセプトの踏襲だったのでしょうか?
【小嶋】実際に私が店舗に滞在できるわけではありませんが、「リアルな体験」や「コミュニケーション」という意味では通じるかもしれないですね。私が『Her lip to』のブランドで実現したいのは、プロダクトを作って売ることだけではなく、その先の体験を通じたコミュニティづくりなんです。実店舗についても、お買い物を楽しむ以上に、ここに足を運ぶことに価値を感じていただけるサロンのような場所を目指しています。
――アイドルとしての経験は、ブランド経営にどのように生きていますか?
【小嶋】ブランドへの“解像度”の高さには自信がありますね。それはやはりアイドルとして何が求められているか、どう振る舞えばファンは喜んでくれるかをずっと考えてきたから。100人いたら95人はこう受け取ってくれて、残りの5人はこうリアクションするだろう…といったアイドル時代の経験が、現在ブランド運営をする上でのマーケティングに生かされていると思います。
──40名を超えるスタッフを牽引するマネジメントについてはいかがですか?
【小嶋】うちはスタッフの9割が女性なので、アイドルグループでたくさんの女の子を見てきた経験がヒントになってますね。この子はどんな仕事を任せたら成長するか、どんな言葉をかけたらモチベーションが上がるかなどです。アイドル時代には、メンバーだけでなく本当にたくさんの人と関わってきたので、その中で人を見る目や勘のようなものは養われたと思います。それはきっと、採用などの場面でも役立っていますね。
――逆に元アイドルというキャリアが足かせになると感じることは?
【小嶋】タレントプロデュースのブランドというと、「本当に関わってるの?」「広告塔でしょ」といった否定的なイメージで捉えられることが多いんです。それに対して反論しても仕方ないですし、そんな時間と体力があったら、ものづくりやミーティングといった生産的なことに使いたい(笑)。“タレントが片手間でやっている”というイメージを少しでも解消するには、自分が誰よりも責任をもってコミットして、結果で示すしかないですよね。
■AKB48卒業から5年「まさか今こんなことやってるとは…」、自身が輝き続けるために
――業績もますます好調ですが、年商や店舗展開など具体的な目標はありますか?
【小嶋】私は経営者でありつつ作る側でもあるので、数字はあまり意識しないようにしています。数字に関しては、その点に長けたメンバーに任せています。実店舗については、今のところ拡大は特に考えていません。
――オンライン販売でも十分に収益があり、コストも抑えられるという経営判断から?
【小嶋】実店舗は販売よりも、ブランドの世界観を表現する場所という意味合いが大きいんです。今は店舗を拡大させるよりも、まずはこのストアでお客さまを深いつながりを作ることに集中しよう、というのが現時点での判断ですね。
――ご自身の将来の成長イメージはいかがですか?
【小嶋】想像もできないですね。5年前の私はAKB48を卒業したばかりで、5年後にまさかこんなことをやっているとは思ってもみなかったので。ただブランドが長く愛され続けるためには、私自身が輝いていないといけないというのは強く意識しています。そのためにも大切にしているのが“セルフラブ”という想いです。自分を大切にすることで、ひいては周りにもいい影響を与える。そんな好循環をこれからも巡らせていきたいですね。
(取材・文/児玉澄子)
■経営の知識は今も猛勉強中、「それでもお客さまは待ってくれない」
――順調にビジネスが軌道に乗っている印象です。今年2月に経営体制を刷新し、代表取締役CCOに就任した狙いを教えてください。
【小嶋陽菜】おかげさまでブランドは順調に成長していて、私1人ですべての役割を担うのが難しくなったことが大きかったです。CCOに就任したことで、ブランド立ち上げからこだわってきたお客さまとしっかり向き合うこと、そしてクリエイティブと体験の質向上に集中できる環境を改めて整えることができました。
――昨年度は約300点のアイテムを発売しました。“芸能人プロデュース”の枠に止まらないブランドとして躍進しています。
【小嶋】もともと『Her lip to』は、仲間内で小規模に始めたブランドだったんです。AKB48を卒業して1年、今後もファンと繋がり続ける場所を作りたくて、当初はアプリの立ち上げを構想してたんですね。その中で私が本当に着たいお洋服を作りながら、同じ世界観を共有していただける方に販売もできたら、みたいなイメージをしていて。結局アプリは断念したのですが、すでに作り始めていたお洋服をどこかで販売したいと思い、想定外でしたがブランドづくりをスタートしたんです。
――当初はここまでブランドが成長するイメージはなかったのですか?
【小嶋】はい。だから、今でも経営の知識はまだまだ足りていなくて猛勉強中です。だけど、私がそれを学んでいる時間をお客さまは待ってくれません。だったらキャリアを積んできたメンバーを適材適所に配置したほうが、お客さまによりよい価値が提供できるし、社員たちも活躍できます。さまざまなバックグランドを持つ社員のそれぞれの力が組み合わされば、この会社らしい、オリジナルの価値がつくれると思います。
■AKB48の経験を経営に生かし、「アイドル時代に人を見る目や勘のようなものは養われた」
――7月30日には、初の実店舗『House of Herme(ハウス オブ エルメ)』をオープン。オンライン販売で順調に業績を伸ばしながらあえてリアル店舗にコストを投じたのは、AKB48の「会いに行ける」というコンセプトの踏襲だったのでしょうか?
【小嶋】実際に私が店舗に滞在できるわけではありませんが、「リアルな体験」や「コミュニケーション」という意味では通じるかもしれないですね。私が『Her lip to』のブランドで実現したいのは、プロダクトを作って売ることだけではなく、その先の体験を通じたコミュニティづくりなんです。実店舗についても、お買い物を楽しむ以上に、ここに足を運ぶことに価値を感じていただけるサロンのような場所を目指しています。
――アイドルとしての経験は、ブランド経営にどのように生きていますか?
【小嶋】ブランドへの“解像度”の高さには自信がありますね。それはやはりアイドルとして何が求められているか、どう振る舞えばファンは喜んでくれるかをずっと考えてきたから。100人いたら95人はこう受け取ってくれて、残りの5人はこうリアクションするだろう…といったアイドル時代の経験が、現在ブランド運営をする上でのマーケティングに生かされていると思います。
──40名を超えるスタッフを牽引するマネジメントについてはいかがですか?
【小嶋】うちはスタッフの9割が女性なので、アイドルグループでたくさんの女の子を見てきた経験がヒントになってますね。この子はどんな仕事を任せたら成長するか、どんな言葉をかけたらモチベーションが上がるかなどです。アイドル時代には、メンバーだけでなく本当にたくさんの人と関わってきたので、その中で人を見る目や勘のようなものは養われたと思います。それはきっと、採用などの場面でも役立っていますね。
――逆に元アイドルというキャリアが足かせになると感じることは?
【小嶋】タレントプロデュースのブランドというと、「本当に関わってるの?」「広告塔でしょ」といった否定的なイメージで捉えられることが多いんです。それに対して反論しても仕方ないですし、そんな時間と体力があったら、ものづくりやミーティングといった生産的なことに使いたい(笑)。“タレントが片手間でやっている”というイメージを少しでも解消するには、自分が誰よりも責任をもってコミットして、結果で示すしかないですよね。
■AKB48卒業から5年「まさか今こんなことやってるとは…」、自身が輝き続けるために
――業績もますます好調ですが、年商や店舗展開など具体的な目標はありますか?
【小嶋】私は経営者でありつつ作る側でもあるので、数字はあまり意識しないようにしています。数字に関しては、その点に長けたメンバーに任せています。実店舗については、今のところ拡大は特に考えていません。
――オンライン販売でも十分に収益があり、コストも抑えられるという経営判断から?
【小嶋】実店舗は販売よりも、ブランドの世界観を表現する場所という意味合いが大きいんです。今は店舗を拡大させるよりも、まずはこのストアでお客さまを深いつながりを作ることに集中しよう、というのが現時点での判断ですね。
――ご自身の将来の成長イメージはいかがですか?
【小嶋】想像もできないですね。5年前の私はAKB48を卒業したばかりで、5年後にまさかこんなことをやっているとは思ってもみなかったので。ただブランドが長く愛され続けるためには、私自身が輝いていないといけないというのは強く意識しています。そのためにも大切にしているのが“セルフラブ”という想いです。自分を大切にすることで、ひいては周りにもいい影響を与える。そんな好循環をこれからも巡らせていきたいですね。
(取材・文/児玉澄子)
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2022/08/25