連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』（NHK）や映画『プリテンダーズ』『ハケンアニメ！』など、話題作への出演が続く小野花梨が主演する、小澤雅人監督作品『ほどけそうな、息』が、同監督による短編映画『まだ見ぬあなたに』、『一瞬の楽園』とともに、短編映画特集として9月3日より、東京・ポレポレ東中野にて劇場公開される。

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　『ほどけそうな、息』は、児童相談所で働く複数の児童福祉司への取材を行い、実話をベースに製作。児童相談所に寄せられる案件や、そこで働く児童福祉司のリアルな姿を映し出す。小野は「必ずこの映画に救われる人がいると信じて演じさせていただきました」とコメントを寄せている。

　小野が演じる主人公・カスミは、新卒で児童相談所に入職して2年目の児童福祉司。苦しんでいる子どもたちと、その子どもたちを傷つけてしまっている親たち、どちらとも向き合わないといけない。多忙な職務に追われ、プライベートの時間が無くなり、精神的にも苦しい日々が続くこともあるが、職務を全うすべく踏ん張っている。

　各家庭にはそれぞれの事情があり、理解できないことも多いが、傷ついた子どもたちを救うために奔走し、成長していくカスミ。そんな彼女と、彼女を取り巻く周囲の人々の姿から浮かび上がってくるのは、「誰にも頼ることができない」人たちの物語だ。

　本作について小野は「この役を演じるにあたり、監督から児童相談所のリアルを取材した膨大な資料をいただきました。日常的にどんな業務を行っているか、どんな事例があるか、やりがいを感じることやつらいと感じること、さまざまな生の声を参考に私自身もいろんなことを想像しながら撮影しました」と振り返る。

　監督の小澤は、デビューから一貫して社会問題に焦点を当てた作品を撮り続けている。映画『月光』では性暴力被害の実態を、『風切羽〜かざきりば〜』では虐待を受けて育った少年少女を描いた。

　「長年、児童相談所を舞台にした映画を作りたいという思いを胸に秘めていた」という小澤監督は、「私が今まで作ってきた子ども虐待や社会的養護に関わる映画の制作過程で出会った児童相談所の職員の方々の姿と、何か事件が起きると一方的に批判されるような、表面的な児童相談所のイメージが大きく乖離（かいり）していたから」と、制作動機を明かしている。

　小野のコメントにもあった「膨大な資料」とは、「映画を作るにあたっては、何人もの児童相談所の職員さんに取材させていただき、そこで知ることができた現実、問題点や課題を映画に反映させつつ、40ページほどにもなった取材ノートを主演の小野花梨さんにもお渡ししました」と小澤監督。

　「小野さんにとっては大きな負担になったかもしれませんが、小野さんなりに消化していただき、等身大の若手児童福祉司を見事に演じてくれています」と、彼女の熱演を称えている。

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