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放送延期TVアニメ20本超、“今期”だけでは収まらない制作遅れの今後

 新型コロナウイルスの影響を受け、テレビアニメが続々と放送延期になっており、その数はついに20作品を超えた。一部の作品では、7月以降に放送予定だったタイトルも延期せざるを得ないという見方が出てきているようだ。今、現場では何が起きているのか、今後のアニメ制作はどうなるのか、時系列とともに複数の関係者の声から現場の実情をまとめた。

テレビアニメ、放送延期タイトル20作品超える

テレビアニメ、放送延期タイトル20作品超える

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 舞台あいさつなど、映画やアニメ関連の芸能イベントの延期・中止が目立つようになったのは、2月中旬ごろから。そして2月27日に、翌28日公開の『映画しまじろう しまじろうとそらとぶふね』、3月6日公開の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が同時に延期を発表し、徐々にコロナの脅威がエンタメ界を圧迫する現実を突きつけられていった。

 テレビアニメでは2月28日、4月放送の『魔王学院の不適合者』が7月への放送延期を発表したのを皮切りに、この2ヶ月で『Re:ゼロから始める異世界生活』第2期(3月9日発表)、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』第3期(4月7日発表)、『ソードアート・オンライン アリシゼーション WoU 最終章』(4月10日発表)など大型タイトル含め4月アニメが続々と放送延期になった。

 延期が相次いだことについて、あるアニメ製作会社の広報は「4月7日の『緊急事態宣言』を受けて、放送延期を決めました。別会社さんのアニメ作品も、これを受けて決めたところが多いと思います。それまでは新型コロナウイルスの影響で一部作業に支障が出ていましたが、みなさん現場や自宅作業を両立して制作作業を進めていたので、『なんとか、なるだろう』と思ってましたが…」と話す。

 現在は緊急事態宣言の区切りとなる5月6日まで、各製作(制作)会社の対応はさまざまで、出勤自粛で完全自宅作業、シフト調整で出勤と自宅作業の両立で作業を進めるなど、完全にストップしているわけではない。しかし、海外から素材(作画など)が届かない、「三密」の環境下のため声優の音声収録が現在できないなど、工程に支障が出ているという。「今、やれること」を進めているが「6日に緊急事態宣言が解除されても『じゃ、もう普通に出社して作業を進めても大丈夫』『全員出社』とはならない。改めて制作スケジュールを協議していく流れになるので、いつも通りの作業ペースになる見通しが経っていません」と、5月以降も制作に遅れを取り戻すのは難しそうだ。

■7月以降のアニメも延期が濃厚

 別アニメ制作会社や配給のスタッフに今の仕事状況を聞くと「追加キャストや新ビジュアルなど明るいニュースを出しても、すぐに暗いニュースに上書きされてしまいますから、宣伝が大変です。情報出しのタイミングは本当に難しい」と嘆く(配給スタッフ)。

 「7月放送アニメの宣伝準備は毎年、今の時期からやっていますが、放送できるか不明なため現状何もできていない。10月放送作品に関しても今は無理かなと思います。例えば4月に延期を発表した作品をいつ世に出すのか? 延期となった作品が春らしい作品なのに夏に出していいのか? 映画に関しては1年延期も検討したり…」と課題だらけと打ち明けた(制作スタッフ)。

 実際、フジテレビが23日に深夜アニメ枠“ノイタミナ”の番組編成の変更を発表している。3話以降の延期が決まった『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』は、7月16日より第1話から放送することが決定。それに伴い、7月より放送予定だった『約束のネバーランド』第1期の再放送が10月に変更、10月より放送予定だった『約束のネバーランド』第2期が、来年1月よりスタートすることになり、数クール先のアニメまで延期が決まった。

■アニメ収録“三密”現場に声優不安「したくないよ!」 リモート導入は高い壁

 複数の制作会社によると、「5月上旬ごろまで収録は見合わせています。収録再開の方針が出たとしても、改めてスタジオ確保や声優さんの稼働調整もしていくので、すぐに再開は難しいかなと考えてます」と声優側の仕事状況も説明してくれた。4月期アニメ(1クール)の収録はすでに終えている作品もあるため、現在放送中の作品が今後、放送延期になるのかは「アニメーション制作の作業が間に合うかどうか」だという。

 厚生労働省や各都道府県の知事などは、感染拡大を防止するために「密閉空間」「密集場所」「密接場面」3つの「密」を避けるよう呼びかけている。しかし、声優の収録現場は広い場所もあるが、1つのマイクに対して複数人が使うこともあり、密集、密接は避けることが難しい現状がある。また、スタジオは無音状況にするため扉を閉じ切った「密閉」であり、「三密が避けられない」と現場の声優たちがSNSで不安の声をあげていたのは記憶に新しい。

 ネット上でアニメファンの間で出るのが「(声を)リモート収録できないのか?」という意見だ。これについて映像制作会社のスタッフは「そもそも声優さんが機材を持っている前提としてお話をしますが、各々持っている機材のレベルが違うため音質に差が出るかと。それをやったとしても、DVDなどにする際、完璧な物をお届けしないといけないため収録を再度する手間が増える。音響監督のプライドもあるので、会議で一度もリモート収録の話はあがりませんでした」と現実的ではないと一蹴した。

 声優の体調管理を最優先に収録を5月上旬までストップしているが、制作自粛前のエピソードとして制作会社の宣伝担当は「『こんな状況の中、スタジオで収録したくないよ!』と怒る方もいらっしゃいました。今後もしばらくは事務所側が難色を示すことも考えられるので、すぐに収録再開は難しいと思います」と話す。

 5月6日に期限を迎える緊急事態宣言の“その後”を国がどう判断するか如何で、制作の現場も大きく左右されることになりそうだ。

■主な放送延期テレビアニメ(※4月29日現在)

『デジモンアドベンチャー:』第4話以降の放送延期
『ワンピース』第930話以降の放送延期
『ヒーリングっど◆プリキュア』第13話以降の放送延期(◆=ハート)
『ちびまる子ちゃん』5月3日より新作放送休止(原作エピソードの再放送で対応)
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』第155話以降の放送延期
『ミュークルドリーミー』第5話以降の放送延期
『キラッとプリ☆チャン』第107話以降の放送延期
『ポケットモンスター』第23話以降の放送延期
『魔法科高校の劣等生 来訪者編』10月に放送延期
『キングダム』第3シリーズ第5話以降の放送延期
『メジャーセカンド』第2シリーズ第5話以降の放送延期
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』放送延期
『Re:ゼロから始める異世界生活 第2期』7月に放送延期
『ツキウタ。2 THE ANIMATION』7月に放送延期
『魔王学院の不適合者』7月に放送延期
『食戟のソーマ 豪ノ皿』第3話以降の放送延期
『天晴爛漫!』第4話以降の放送延期
『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』第3話以降の放送延期
『放課後ていぼう日誌』第4話以降の放送延期
『アイドリッシュセブン Second BEAT!』第5話以降の放送延期
『ソードアート・オンライン アリシゼーション WoU 最終章』7月に放送延期
『ノー・ガンズ・ライフ』放送延期
『ブラッククローバー』第133話以降の放送延期

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