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【めちゃイケ・リレーインタビューVol.1】岡村隆史が振り返る21年の歴史とこれからの自分

 今年3月をもって21年半の歴史に終止符を打つフジテレビ系バラエティー番組『めちゃ×2イケてるッ!』(毎週土曜 後7:57)。数々の人気企画を生み出し、日本のバラエティー史に名を刻んだ人気番組の最後の花道を盛り上げるべく、ORICON NEWSではメンバー全員にインタビューを行い、リレー形式で毎週掲載していく。第1回を飾るのは、もちろんこの人、文字通り小さな体を張って全力で番組を引っ張ってきた男・ナインティナイン岡村隆史。番組終了まで残り2ヶ月、めちゃイケのエースは何を思い、その先に何を見据えているのか。胸の内を語ってもらった。

『めちゃイケ』のエース・岡村隆史が語る番組への思い (C)ORICON NewS inc.

『めちゃイケ』のエース・岡村隆史が語る番組への思い (C)ORICON NewS inc.

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■“シュウ活”はやりたいこと全てを凝縮 集大成をお見せします

 終了発表から3ヶ月が経ちましたが、『めちゃイケ』が終わるという実感はまだないですね。番組終了を最初に告げられたときはビックリしましたけど、「ついに、この日が来たか」と思いました。寂しいと感じる時間もなく、すぐに終了に向けた“シュウ活”が始まりましたし、昨年末も大みそかまで「中居&ナイナイの日本一周」を収録していましたので。感傷に浸る間も与えてくれないのが『めちゃイケ』ですから。番組が全部終わって、毎週の収録日だった火曜・水曜に『めちゃイケ』収録がなくなったときに、やっと実感するかもしれませんね。

 僕らが小さいときは、土曜の夜って最高に楽しかったんです。8時から『オレたちひょうきん族』を見て、9時から『ゴールデン洋画劇場』でジャッキー・チェンの映画を見て、11時からとんねるずさんの『ねるとん紅鯨団』を見るっていう最強のラインナップで。たまらなく大好きだった土曜夜8時という枠を20年以上もやらせてもらって幸せでしたし、すべてをやりきったので思い残すことは本当にないです。

 (明石家)さんまさんや(ビート)たけしさんから「土曜8時はオレの枠だぞ」って言われていて、終了が決まった時にさんまさんに「土曜8時をお返しします」とお電話で報告しましたら、21年もやってきたことを「大したもんや」と言ってくださって。初めてさんまさんに褒めていただきました。僕は“さんまイズム”を叩き込まれている人間で、さんまさんは「タレントが数字を気にする必要はない」とおっしゃっていたので、僕も数字を気にしたことはほとんどないですし、記録よりも記憶に残ることを意識してやってきました。それが20年以上も続いた秘訣かもしれないですね。

 今は“シュウ活”に取り組んでいますが、改めて『めちゃイケ』の歴史を見た時に「コレとコレはやっておきたい」という企画は、すべてシュウ活に入っていました。僕の思いと、番組総合演出の片岡飛鳥さんの思いが完全に一致していました。「コレをやらないまま終わるのか」というのは一つもないので、昔からのファンの方にはたまらない集大成をまだまだお見せいたします。

■手応えゼロの企画が、“芸人・岡村”のスタイルを決めたターニングポイントに

 番組の長い歴史の中で思い出深い企画を一つ挙げるとすれば、ジャニーズJr.に入ってSMAPのコンサートに飛び入りした「オファーシリーズ」第1弾(1997年10月放送)かな。今だったら練習期間を用意してもらえるし、練習風景を撮影してすぐに見返せる便利なアイテムがあるけど、あの時は1日で何曲も覚えなきゃいけなくて本当に大変でした。やっているときも何が面白いのかわからなくて、終わってから飛鳥さんと衝突して「こういうのは二度とやりません」ってタンカ切って、打ち上げにも行かずに帰りました。ただ、相方に「踊っただけで面白かったか?」って聞いたら、「すごく面白かった」って言ってもらえて、番組もすごい反響だったから、後に飛鳥さんに謝ることになったんですけど(笑)。

 あれは“芸人・岡村隆史”のスタイルや生き方が決まったターニングポイントだったと思います。視聴者のみなさんからの期待を全部背負って、全部自分の責任でやってやるっていう気持ちになれたというか。自分で言うのもおこがましいんですけど、あの「オファーシリーズ」第1弾がなかったら、『めちゃイケ』がこんなに皆さんに愛されて長く続く番組になっていなかったと思いますし、進むべき方向も打ち出せなかったと思います。

 全部やりきったと言いましたが、一つだけ心残りがあるとしたら、僕と濱口優武田真治くんが結婚を報告できなかったこと。濱口は彼女がいるのでもしかして最終回までに発表するかもしれませんけど、僕は相手がいないからどうしても間に合わないので、お茶の間のみなさんには申し訳ありません、と(笑)。これまで恋愛や結婚よりも『めちゃイケ』に自分を捧げて、その分頑張ってきたので、許していただけたら……。でも、嫁がいたら三浦大知くんのダンスをあそこまで極められなかったですよ(笑)。家で踊ってたら「邪魔くさい!」とか「子供が起きるからバタバタしないで!」って言われていたでしょうし。独身だからこそ、あそこまで練習できたんだぞ、ということでご容赦ください(笑)。

 その大知くんのダンス企画の直後に番組終了を聞かされたのですが、練習中は夢にも思っていなかったです。ただ、いま思い返したら取り憑かれたように無心でダンスの練習をしていたので、笑いの神様が「悔いのないようにやりなさいよ」って言ってくれたのかなって感じています。そういう点でもやりきった充実感はあります。

 「オファーシリーズ」は毎回オファーを受けた時から本番まで、テスト期間中のようなピリピリとした特別な緊張感が続いてました。番組が終わることで「オファーシリーズ」も終わるので、ちょっとホッとした開放感と、まだまだやれるんだぞという思いと、複雑な心境ですね。少し時間をおいたら、またテストを受けたくなるかもしれないし、そうなったら最悪、フジテレビ以外でもやろうと思います(笑)。AmazonプライムとかNetflixとかAbemaTVとかいろいろありますから、「いかがですか?」と話があれば、「やりましょうか」となるかも(笑)。だから、自分の中の「何でも全力でやる」という感覚は、常に磨いておこうかなと思います。

 でも、番組が終わっても飛鳥さんから「やるぞ」って言われたら、僕だけじゃなく『めちゃイケ』メンバー全員「やります」って言うしかない。海のものとも山のものともわからなかった僕らと、心中する覚悟でやってきてくれた人ですから。ただ、『めちゃイケ』が終わってから飛鳥さんは何をするんですか?って聞いても、「どうするんだろうね」ってかわされる(笑)。「やるぞ」って言われたらやりますけど、あんまり放って置かれると火・水曜もネット配信で埋めますよ(笑)。

■番組が終わっても自分を進化させる 相方と漫才のネタも作りたい

 ただ、僕はずっとテレビを見てきたテレビっ子ですし、テレビに出たいと思ってこの業界に入ってきたから、最後までテレビにこだわりたいです。僕は、テレビに出ている人=世間に出ている人だと思うので。

 番組が終わってからも、ずっと『めちゃイケ』のイメージ縛られるわけにもいかないので、“次の岡村隆史”を見せていかなきゃいけない。まだ明確なイメージはないけど、自分がテレビにこだわる以上は後退するんじゃなく、進化させるために何が必要か考えないと。4月から収録日の火・水曜が空くので習い事とかやってみたいし、なにもしないまま無駄に過ごしたくないんです。1993年に『とぶくすり』が始まる時に飛鳥さんから「企画やコントのキャラを100個考えてきなさい」って言われたことがあって、若手だったから必死に絞り出したけど、今の自分にそれができるのか。そういう挑戦もしていかなきゃですね。

 本音を言うと、『旅猿』みたいな番組のほうが自分もやっていて楽しいですよ。でも、緊張しながら力を入れてやる番組がないと、自分はダメだと思う。『めちゃイケ』って、やっぱりどこかで刺激を与えてくれて、やるぞっていう気持ちになれた番組だった。収録前日に「よし、明日はめちゃイケだ!」って気合いを入れることも何度もありましたし、それがなくなってしまったときに、どこで自分をヒリヒリさせるのか、考えないといけない。

 後番組はどんな内容か分からないですけど、やっぱり土曜8時はお笑いという伝統の枠なので、面白いバラエティーを放送してほしいですね。僕も呼んでもらえる可能性があるし、それでいつか自分も後輩に「土8を返せ!」って言ったり、「汗をかけよ!お台場の砂浜で『イエー!』って大声出してみろよ!」って説教したいですね(笑)。

 『めちゃイケ』が終わるし、日本テレビ『ぐるナイ』の「ゴチ」から相方(矢部浩之)が卒業したので、相方と並ぶ姿をお見せする機会は減るかもしれないですが、2年後には結成30周年も来るので久しぶりに2人でネタをやろうかなと考えています。センターマイクに2人で立つ姿を考えたらこっ恥ずかしいし、普段から舞台に出ている人と同じようなクオリティのネタができるかっていうと、難しい。いま僕らがやっても“漫才師に扮しているコント”になってしまうので。でも、相方がやりたいと思っているか分からないし、実現する可能性も未知数だけど、同じスーツを着て舞台に立てるようなコンビのネタを作らなきゃと思っています。

◆岡村隆史(おかむら・たかし)1970年7月3日生まれ。大阪府出身。1990年4月に高校のサッカー部の後輩・矢部浩之とナインティナインを結成。1992年「ABCお笑い新人グランプリ」、93年「上方お笑い大賞」受賞。『めちゃイケ』では多数のオファーシリーズや『ヨモギダ少年愚連隊』で大学受験にも挑戦するなど、常に最前線に立ち全力で番組を支えてきた。俳優として97年「ブルーリボン賞・新人賞」、2011年「日本アカデミー賞・話題賞俳優部門」を受賞。

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