決して傑作映画という訳ではないのですが、ただただすごいという意味で満点でしょう。異様な迫力に最後までくたくたに引きずりまわされる感じです。全編銀しぶっぽい画面に妙に血の赤だけが映えるという悪趣味な映画ですが、香港映画お約束の変なギャグをはさむ事もなく、ひたすら救いのないストーリーが展開するという意味では“八仙飯店之人肉饅頭”なんかよりハードなような気もします。この間出た“ドリーム・ホーム”程ではないですが、スプラッター模写も半端ないです。妊婦を殺して胎児を取り出すといった猟奇殺人の映画ですが、これが本当に哀しく切ないストーリーで一番壮絶なシーンはその極みとなってます。そこで日本古来のやりかたで血みどろになるのが蒼井そらで、彼女が本当に中国の可愛い女子高生に見えるのがすごい。制作は2010年、まぁこの時期の映画とすると刑事の取調べの拷問シーン等、このあまりにもベタな悲劇の連鎖は古臭くも思えますが、スタイリッシュなアクションシーンもあったり、主人公の恨みが復讐に変わるのを不思議なラップ音楽と指の皮をむしるシーンでタイトに表したりで映画自体は正に今の空気です。とは言え王道の香港残酷物語ではなく、ラストが韓国映画みたいな観念的な展開になっていくところは好みがわかれるところでしょうか?それでも基本のテーマは純愛。汚い権力と体制の大人たちに無茶苦茶にされてしまうが、それでも愛を貫く若い2人。体力のある人には見てて清清しくも感じられるのかも知れませんが、私にはどよ〜んと最悪な後味になりました。