【Creators Search】乃木坂46のロングヒットに切ない感情、健気な意志を感じさせる作曲家・渡邉俊彦のサウンドプロダクション
アーティストのイメージを踏襲しつつ、ファンの求めるものに応えながら、聴き手を飽きさせない新しい要素も取り入れる。「帰り道は遠回りしたくなる」は、クリエイターとしての渡邉氏の高いスキルがいかんなく発揮された楽曲だ。イントロはクラシカルなピアノと繊細な手触りの電子音で構成。さらにシックなストリングを配置し、楽曲の世界観を明確にしている。透明感と清潔さをしっかりと打ち出しながらも、切ない感情、健気な意志を感じさせるサウンドプロダクションは、乃木坂46の魅力に直結していると言えるだろう。洗練された雰囲気の平歌とフックのあるサビのバランスも絶品だ。
IDOLiSH7、ひなろじ、ゆいかおり、アイドル、アニソンを両軸としながら、数多くのアーティストの楽曲に関わっている渡邉氏。IZ*ONEの「ご機嫌サヨナラ」(シングル「好きと言わせたい」通常盤Type A 収録/2019年2月6日発売)では作曲・編曲を担当。軽やかなエレクトロ・サウンド、フックのあるメロディーライン、切なさと華やかさを両立させたアレンジによって、幅広いリスナーに訴求できる楽曲に結びつけている。また、内田彩の「Sweet Little Journey」(シングル「So Happy 収録」/2018年5月9日発売)は軽快なシャッフル系のリズムと色彩豊かな旋律によって、彼女のボーカルの特徴をアピール。アニソンやゲーム関連の楽曲に携わることも多く、作品のコンセプト、ストーリーを汲み取ったサウンドメイクにも定評がある。
(文/森朋之)