どこか浮世離れしたキャラクターの役も、深田恭子だからこそ演じられた
順子に思いを寄せる男性を演じるのは永山絢斗、横浜流星、中村倫也。実力も話題性も十分なイケメン3人に「目の保養になるドラマ」とも言われているが、それにも増して多くの女性視聴者が夢中になっているのが深田恭子の可愛さで、「深キョンはほんとカワイイ。許せるぶりっ子ってあるんだな」という声すら上がっている。
そもそもイケメンに囲まれる“お姫様ポジション”はやっかみも込みで同性から敬遠されがちだが、「深田恭子なら許せる」のはなぜなのか。かつて深田恭子といえば、「私は前世がイルカ、前々世がマリー・アントワネットだと勝手に思っています」などの発言から、“不思議ちゃん”のイメージが強かく、どちらかと言えば女性からは敬遠される存在だったといえる。おっとりとしたお嬢様っぽさも相まって、そのキャラクターは一部マニア女性を除き、広く一般の女性に受け入れられたわけではなかった。
一方で、どこか浮世離れしたキャラクターが存分に発揮された映画『下妻物語』(2004年)やドラマ『富豪刑事』シリーズ(2005年、2006年/テレビ朝日系)といった名作も残している。今振り返っても「深田恭子でなければ演じられなかった」と断言できる役は多い。映画『ヤッターマン』(209年)で演じたドSセクシー悪女・ドロンジョ様も、意外ながらハマり役で、深田恭子と実写化との相性はバツグンにいい。
“あざとさ”のない地で行くぶりっ子演技に同性も共感
そこへきて、久しぶりのコメディ作品となったドラマ『ダメな私に恋してください』(2016年/TBS系)は、まさに「待ってました!」と喝采を送りたくなるハマり役で、非モテのアラサー女性をぶりっ子全開で演じた彼女に、「深キョンやっぱりカワイイ!」といった賞賛の声がSNSで多く見られた。「深田恭子が非モテなんてあり得ない」というツッコミもどこ吹く風。数々のコミックの実写化を務めてきた彼女だけに、ファンタジーとリアリティを融合させるのはお手の物だ。
何より「許せるぶりっ子ってあるんだな」という声のように、深田恭子のぶりっ子演技に対する「あざとい」という指摘はほとんどなかった。それはやはり、昨日今日で仕上げたキャラクターではなく、年季の入った「ホンモノ」だからではないだろうか。
妙なキャラ変しない、ブレない芯の強さ
もっとも近年は不思議キャラもずいぶん薄まった。30歳から始めたというサーフィン姿を写真集で披露し、その健康的でセクシーなプロポーションが多くの女性の憧れを集めるなど、10代20代の頃とは異なる同性の支持も獲得している。『初めて恋をした日に読む話』では、そんな彼女の健康的なフォルムを存分に生かした衣装にも注目が集まっており、「深キョンの衣装どれも見てて楽しい」「すごく似合っててカワイイ」という声が上がっている。ふんわりした白いブラウスや花柄のロングワンピースに、「アラサーであんなカワイイ系の服は……」という保守的な声もなくはない。もちろんドラマのために用意された衣装だ。しかし、いくつになっても着たい服を着ていい=好きなものを好きで居続けていい。そんな深田恭子が(本人は無自覚かもしれないが)たゆまず体現してきたメッセージに、勇気と共感を覚えるアラサー女性もいるだろう。
ドラマの緩衝材となる深田恭子の“ゆるふわ”感
そして何よりそんな「痛み」の緩衝材となり、ドラマの世界観を作り上げているのが深田恭子の“ゆるふわ”な存在感だ。「深キョン36歳でも変わらず可愛い! 四角関係が気になりすぎる」と逆ハーレム状態を羨ましがられながらも、同性の共感を得るという強みを手にした深田恭子はやはり唯一無二の女優と言うしかない。
(文/児玉澄子 写真/TBS火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』1月29日放送 第3話より(C)TBS)