浦島坂田船、ファンを呼び寄せる共感とギャップ
通常、デビュー3年未満の彼らのような新人アーティストが初週売上5万枚ほどの好セールスを記録するには、音楽番組などのメディアに出演したり、主題歌等のタイアップを付けたりして、認知を拡大することが重要になる。しかし、彼らは動画サイトで新曲を発表し、メンバーのキャラクターを活かしたバラエティタッチの企画動画なども投稿。ネットでのコミュニケーションに重きを置くことで“身近な存在”となり、リスナーの開拓・獲得に成功している。
動画サイトという特性上、彼らには10代男女のファンが目立つというが、さほど消費行動が盛んではないティーンをメイン層に持ちながら、しっかりと売上を伸ばしているという部分も注目したいポイントだ。
浦島坂田船のアルバム売上推移
常に楽しみながら挑む姿勢が、リスナーの共感を呼ぶ
浦島坂田船の担当プロデューサーは、「特に奇をてらったアプローチはしていません。ネット世代の彼らは、常に自分たちが楽しもう、良いものを作ろうという気持ちで楽曲やMV、投稿動画などを1つひとつ丁寧に制作しています。そういった姿勢が、リスナーの共感を呼んでいるのではないでしょうか。メンバーも本当に仲が良く、リスペクトし合っている。心からエンタメを楽しんでいる様子が溢れ出ていることが、魅力の1つだと思います」と語る。
「ライブは大人から子どもまで、万人に受けるような構成になっていますし、イラストや動画で見ていた彼らとのギャップも楽しんでもらえていると思います。最近は中学生くらいのお子さんの影響で親御さんもファンになってくださり、親子でライブに来てくださる姿も目にします」(同担当P)
今回、ランキング首位を獲得したことで、朝の情報番組などのメディアで取り上げられる機会も多かったが、これらの“きっかけ”がどのように影響していくか。彼らの今後の動向に注目したい。
(週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』7/16号より)