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アニメファンからの支持も集めるSTEREO DIVE FOUNDATION 新曲は進化系EDMで新境地
美しく流麗なピアノ、軽快なギターのカッティング これまでにはない新しいアプローチを見せるSDF流のエレクトロ・サウンド
ギターロックからEDMまで幅広い音楽性を備えたSDFだが、その中心はアタックの強いビートと派手なサウンドを軸にしたエレクトロ。高揚感に溢れたトラックとポップなメロディ、近未来的なサウンドメイクは、「ALPHA」にも存分に発揮されていた。
SDF流のエレクトロ・サウンドを追求してきたR・O・Nだが、新曲「STORYSEEKER」では、これまでにはないアプローチを見せている。美しく流麗なピアノ、軽快なギターのカッティングにEDMの進化型と称すべきトラックを融合させたサウンドは、The Chainsmokers 、Kygo、MADEON、Porter Robinsonといった海外のダンスミュージックともリンク。10年代後半に生まれたADM(Acousitc)の潮流に連なる楽曲に仕上がっているのだ。
メロディーメイカーだけじゃない R・O・Nのボーカリストとしての進化も見どころ
アニメ『転生したらスライムだった件 第2期』(TOKYO MXほか)のストーリーと重なりながら、この時代を生きる全ての人の感情に訴えかける歌詞にもぜひ注目してほしい。大切なもの、大切な人を失い、世界が終わったかのような喪失感を抱えた“僕”が、“君”のために生きることを決意し、愛と希望を持ち、物語を先に進めようと決意する――ここで描かれているストーリーは、先が見えず、閉塞感で埋め尽くされている現状に対して一筋の光を与えてくれる。そう、「STORYSEEKER」は、アニメソングという枠を超え、普遍的なメッセージを放っているのだと思う。
壮大なストーリー性、真摯なメッセージをたたえた楽曲の本質をしっかりと描き出すボーカルも素晴らしい。ダンスミュージックとしての盛り上がりをキープした状態で、言葉の一つ一つに豊かな表情を与え、リスナーに語り掛けるように歌う。「STORYSEEKER」によってR・O・Nは、ボーカリストとしてさらなる進化を遂げたといっていいだろう。
前作「ALPHA」からYouTubeの公式チャンネルをオープンさせるなど、確実に活動の幅を広げているSDF。サウンドアプローチ、歌詞のメッセージ、ボーカリゼーションを含め、新たな表現の扉を開いた「STORYSEEKER」によってSDFの音楽世界は大きく広がりことになるだろう。
(文/森朋之)