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ORICON NEWS
鳥居みゆき、“女優仕事”も好調 需要の裏には“狂気”を放送コードに収める技量
鳥居みゆき(C)ORICON NewS inc.
「お笑い」に重きを置いているワケではなく「演技をすること」が本懐
マルチな活動を続ける鳥居だが、実は芸人としての活動は、「趣味である単独ライブのために費やせるお金稼ぎ(笑)」(PICT‐UP/2015年2月18日)と考えており、実際は「演技をすること」にやりがいを感じているようだ。舞台にコンスタントに出演するのもそうした理由からであり、同インタビューでは「自分が書いてないから、書いた人の気持ちが想像ができない。それが少しずつわかっていけるのがすごく面白い」と語っている。昨年は『半沢直樹』(TBS系)の演出家から指名され、1940年代に実際にあった「アナタハン事件」がモチーフとなった『女王と呼ばれた女』に主演するなど、着実に舞台のキャリアを積み重ねている。
「放送コードをいかに“延長コード”にするか」ギリギリ感を演出する自己演出力
その線引きについて、鳥居は昨年2月28日のORICON NEWSのインタビューでこう語っている。「放送コードがあったとしたら、いかにそれを延長コードにするかっていう作業が面白い」と、視聴者からクレームが来ない“ギリギリのライン”をわかった上で番組出演しており、自身を「客観視」できていることがわかる。
その基になっているのは、そもそも鳥居が裏方でもある「脚本家」を志望していたことが大きいだろう。お笑いのことを知ろうと、コメディー芝居をはじめたのがきっかけで芸人の道を歩みだし、その後「不思議なことにお笑いをやったら、役者の仕事が来るようになって、原点に戻りつつあります」(日刊ゲンダイDIGITAL/2017年9月20日)と語る。テレビの中で見せる“狂気”は、脚本家仕込みの「プロデュース力」を兼ね備えた鳥居にとって、想定内の演出なのだ。
ちなみに鳥居みゆきと同類の芸人として思い出されるのは、やはり“エガちゃん”こと江頭2:50ではないだろうか。そのハイテンションさゆえ、ときどき“ハミ出す”ことがあるにせよ、基本的には鳥居と同じく、計算された“狂気芸”であり、うまく自分をコントロールする技量がある。『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)や『ぷっすま』(テレビ朝日系)など、視聴者が多い時間帯のバラエティに出演できるのは、その技量の裏付けであり、制作側にとっても番組にスパイスを与える最適な存在といえる。
最近では女優業以外にも、絵本作家、MV監督を務めるなど、気づかない内に次々と才能を開花させている鳥居。バラエティでの無鉄砲な印象、ドラマや映画での役でのクセの強い役の印象……部分部分の彼女だけを見てイメージ付けをするのは尚早であり、視聴者目線で自己を演出している彼女にとって“思うツボ”なのだろう。