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石ちゃん、彦摩呂で打ち止め? 専任食レポタレント減少のワケ
「美味しい」だけではNG? 食レポーターたちの言葉の技術
食レポの手法が定番化、専任の需要も減少
「専任が減少したのは、彦麻呂さんが『宝石箱や〜』でブレイクしたのち、食レポを披露しながら美味しそうに見えるコツを公開したことで、初めて食レポをする人でも、それなりの完成度を見せられることが大きいかもしれない」と分析するのは、メディア研究家の衣輪晋一氏。「食レポは“味”への言及だけではなく、音や見た目や香り、食感を言葉にするのが定番です。そこに、喉越しなどの感想、また決め台詞の一つでも入れられれば完璧でしょう」(衣輪氏)
例えば、鉄板でじゅうじゅうと焼けるステーキなどでよく使用される食べる前の音を出し、ボリューム感や『昔ながらの〜』というような雑感、そしてハンバーグなどの場合、切ってみせた断面から肉汁があふれる様子を見せる。さらに、よく聞く『芳醇な〜』などといった香りを表現し、食べた後に味の感想のほか、“サクサク”などの食感や、風味に触れることを押さえておけば、誰でも“それらしく”見えるというのだ。「番組にとってもわざわざ“食レポ専任”である必要がなくなり、需要が減ったと考えられます」(同氏)
応用ばかりで新たな表現は生まれず…しかし、膠着しているからこそのチャンスも?
「このように、すでに完成された感のある食レポ界。逆に言えば、誰もが新たな挑戦をしないからこそ、のし上がるチャンスもあるということです。事実、人気YouTuberのHikakinさんは、顔芸などのさまざまなレポート技術で若年層から絶大な支持を受けています。“膠着”した場所に彗星の如く現れると、かなりのインパクトを持って迎えられる。こういった場所からスターが生まれるかもしれません」(同氏)
美味しさを伝えるだけでなく、信用できる食レポが求められる昨今。新たな表現方法の誕生は以前よりハードルが高くなっているのかもしれない。しかし、新たな“美味しさの表現”が生まれなくなるのは寂しいものがある。膠着している食レポ界、あっと驚くような食レポを生み出すスターが現れることを期待したい。
(文:中野ナガ)