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黒島結菜インタビュー『今の自分はフワフワして難しい時期。ステップアップのタイミングは確実に近づいてる』

 若手女優のなかでも演技派として評価の高い黒島結菜。連続ドラマのほか、メジャー大作から作家性の強い小規模な映画まで幅広く出演し、5月からは2作目となる舞台にも参戦。作品を経るごとに見違えるほどの急成長を遂げている新鋭女優に、仕事への向き合い方を聞いた。人気ミステリー小説を2部作で実写化する『サクラダリセット』ヒロイン役についても語る。

セリフに頼れないから小さな変化を大事にした

――今作のヒロイン・春埼美空は、世界を最大3日間巻き戻す(=リセット)能力を持つ女子高生。あまり感情を表に出さないおとなしい女の子ですが、どんなことを意識して演じましたか?
黒島結菜春埼は感情が見えないし、セリフもほとんどない役だったので、最初は不安でした。それで監督といろいろ話し合った結果、表情やセリフに頼れないぶん、小さな変化を大事にしようということになったんです。不安なことがあっても口に出せないときは、口が細かく震えるような動きをしたり、スカートをギュッと握るような仕草をしたり。前篇でケイ(野村周平)が血を流して倒れるのを見ているシーンでは、監督から「まばたきをしないで、ハアハアと息をしつつ、その呼吸を切らずにセリフをしゃべり始めて」という細かい演出がありました。難しかったですけど、こういう経験は初めてだったので、こんな表現方法もあるんだなって。すごくいい経験ができたと思います。

――能力を使うシーンで苦労したことはありますか?
黒島結菜特殊能力を他人にコピーできる能力を持つ坂上(岩井拳士朗)から、能力を移されるシーンが一番大変でした。移された後に「能力が来た!」っていうお芝居をしなきゃいけないんですけど、実際は来ていないからわからなくて(笑)。そのシーンでは、菫(平祐奈)ちゃんが私より先に能力を移されるお芝居をしていて、首がドンって上がるような動きをしたんです。だから私もそういう感じかなと思っていたら、監督が急に「違うバージョンにしよう」って(笑)。「体温がグッと上がった感じで」って言われたんですけど、それを表現するのがすごく難しかったです。

もし自分だったら…ノーテンキに能力を使っていた(笑)

――実際に起きていないことを表現するという難しさがあったんですね。
黒島結菜そうなんです。リセットの能力を使うシーンも、時間を巻き戻す前と、巻き戻した後のシーンを一連で撮ることがあって。そうすると、リセット前後でガラッと違うお芝居をしなくてはいけなくなるんです。春埼はリセットと同時にそれまでの記憶をなくすという設定でしたけど、ケイは記憶を保持したままなので、気持ちのつながりとしては野村さんのほうが大変だったと思います。

――特殊な世界観とキャラクターではありますが、どんなところに感情移入して演じましたか?
黒島結菜春埼はリセットの能力を泣いている人を助けるために使おうとするんです。自分のためじゃなくて、人のために能力を使おうとするその考え方が、すごくカッコいいと思いました。もし自分だったら、そんなふうに考えられないと思うので。きっと“時かけ”(昨年の主演ドラマ『時をかける少女』)の未羽みたいに、最初はノーテンキに能力を使っていたと思います(笑)。

――後篇(5月13日公開)では、“能力をなんのために使うのか”というテーマが浮き彫りになるなか、春埼やケイが成長していく姿も描かれていますね。
黒島結菜前篇での春埼はほとんどケイと行動しているんですけど、自分の気持ちをハッキリ言えなかったり、一緒にいるのにちょっと孤独だったりもしていて。でも、後篇ではだんだん自分の意思が出てきて、ひとりでも動くことができるようになっていくんです。ケイと春埼の関係も前篇より少しずつ変わっていくので、その変化を観てもらえたらと思っています。

自分のレベルが追いついていない。プレッシャーを感じる

――昨年夏に連ドラ初主演を経験して、本作では2部作でヒロインを務め、次の主演映画もすでに決定しています。今の状況をどう感じていますか?
黒島結菜今は正直「私でいいんですか?」っていう申し訳ない気持ちもあって……。ちょっとネガティブなので(笑)。すごくありがたいことですけど、まだ自分のレベルが追いついていないので、プレッシャーを感じてしまうんです。役の大きさはなるべく意識しないようにしているんですけど、やっぱり現場での振る舞い方もちゃんとしなくてはと思いますし。“時かけ”の現場では、スタッフさんの名札を作って、つけていただくようにお願いしたんです。私は人の名前を覚えるのが苦手なので、まずはそういうところから変えていこうと思って。

――そんななかで、先日20歳の誕生日を迎えましたが、どんな気持ちでしたか?
黒島結菜当日は北海道で撮影していたので、時計が0時になる1時間くらい前に親に電話をしたんです。節目の年なので、ちゃんと「ありがとう」と言おうと思ってかけたんですけど、ふだん通りの話をしちゃって結局言えなくて(笑)。0時ちょっと前に電話を切ったんですけど、0時を回った瞬間、「20歳になってしまった!」って頭を抱えました(笑)。数年前までは大人になりたいって思っていたんですけど、1ヶ月くらい前から急に「なりたくない」って思い始めていたんですよ。大人になると、いろいろな責任がのしかかってくるじゃないですか。税金のこととか(笑)。今までは親に頼ってきたけど、これからは全部自分でやらなくてはいけないと思ったら、急に怖くなってきたんですよね。

制服を脱いだときのお芝居はまだ未知の世界

――現実的な悩みですね(笑)。逆に楽しみなことは?
黒島結菜何かするときに、親の同意がいらなくなるのはうれしいです(笑)。仕事面で言うと、お酒が飲めるようになることで、監督や共演者とのコミュニケーションがより取りやすくなるのかなって思います。今までは、ご飯に行っても私は先に帰らなくてはいけなかったので、みんな2軒目に行って深い話をしているんだろうなって思っていたんです。これからは私もそこに参加して、みなさんのお話を聞けると思うと楽しみです。
――お芝居の面では何か変わりそうですか?
黒島結菜これまでは制服を着る役が多くて、制服を脱いだときのお芝居はまだ未知の世界なので、どうなるんだろうって思います。今の自分って、高校生と大人の間にいる感覚があるんですよね。高校生の気持ちはもう忘れかけているけど、まだ大人の気持ちもわからない。なんだかフワフワしていて、難しい時期だなって。でも、ステップアップのタイミングは確実に近づいていると思うので、自分でもその変化が楽しみです。
(文:加藤 恵/撮り下ろし写真:鈴木一なり)

サクラダリセット

 特殊な能力を持つ人々が半数を占める街・咲良田。驚異的な「記憶保持」能力を持つ高校生・浅井ケイが、「リセット」の能力を持つ春埼美空とともに、2年前に死んでしまった同級生・相麻菫をよみがえらせるために、様々な能力を組み合わせた作戦に挑む。時制が錯綜する緊迫のミステリーであると同時に、刹那のときめきと哀しみが胸打つ青春ラブストーリー。

監督:深川栄洋
出演:野村周平 黒島結菜 平祐奈 健太郎 玉城ティナ 恒松祐里 加賀まりこ 及川光博
2017年5月13日後篇公開
【公式サイト】(外部サイト)(C)2017映画「サクラダリセット」製作委員会

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