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ORICON NEWS
『第9回 好きな司会者ランキング』
ダイバーシティー文化の代弁者? はたまた稀代のトリックスター? 特異なポジション確立したマツコ
マツコ自ら「電波芸者として、化け物がテレビに出させていただいてる」と分析するように、実は極めて真っ当な庶民感覚を持ち合わせている。『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)では、街の素人に「お邪魔してごめんなさいね」と丁寧に声を掛けながらロケを敢行。「ヤンキーがいいことをすると普通の人以上に褒められる」ではないが、「『怖いのかな?』と思わせておいて接すると案外、優しい」という“マツコ・メソッド”とでも呼びたくなる、その2面性で視聴者の心をぐっとわしづかみにしているのかもしれない。そうして、日本中に“マツコ・シンパ”を増やした結果、女装家としてLGBTなどセクシャル・マイノリティにも当然理解があるマツコは、価値観の多様化で逆に生きにくくなってしまった現代の日本人に「あるがままでいいんだ」と“自己肯定感”をもたらしてくれるアイコンになっているのではないだろうか。
マツコを賛美する声としては、「世間が思っていても言わないことを代弁してくれている。短い文字数で意見をおっしゃるので分かりやすく視聴者に共感される」(北海道/10代・女性)、「どこか一般市民的な感覚を持ちつつ、独特の切り口で語れる」(宮崎県/40代・男性)など、老若男女問わず支持。また、「権力や強い者に媚びずに発言する強さと、どんなに売れっ子になっても視聴者目線を忘れない優しさとしなやかさを兼ね備えている人」(東京都/50代・女性)などマツコの発言には、視聴者に「よくぞ言ってくれた!」と思わせる“共感力”が伴っているようだ。
観れないことで希少価値が高まる“司会者・タモリ”
それを裏付けるように、『ブラタモリ』(NHK総合)は2016年6月4日放送の「伊勢神宮」回で番組歴代最高視聴率の18.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録するなど15%以上の高視聴率を連発。タモリが日本全国どこを訪問しても、その街のニッチな情報まで知り尽くすタモリの博識に、絶賛の声が挙がっている。『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)では「坂道」「鉄道」「ジャズ」などに造詣が深い好事家としてのインテリジェンスを垣間見せるが、必ずそこにユーモアを交えて語り、押しつけがましい“知識自慢”にならないのもタモリの人徳と年輪のなせる技だろう。
『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では、一歩引いたような視点からの冷静な司会進行をしているが、「どの出演者やアーティストもタモリさんをお父さんのように慕っていて、和む」(埼玉県/40代・女性)と高評価。「自分が前に前に出るのではなくただその人と自然体で話す姿に惹き付けられる。『紅白歌合戦』の司会はこういう人にやってほしい」(宮城県/20代・女性)と紅白司会を推す声もいまだ根強い。昨年末の『紅白』では、今ランキング1位のマツコと局内をブラつくコントを展開し強烈なインパクトを残した。今後、再び『紅白』の司会を務める機会があるのかも注目だ。
“お笑い怪獣”明石家さんま、サービス精神の裏にあるヒューマニズム
そこまでさんまがするようになった理由は、かつて、あるファンに箸袋にサインを頼まれ、当時は「こんなもんに失礼な…」と思ったそうだが、その数十年後、同じファンが再びさんまに遭遇し、財布からその時のサイン入り箸袋を取り出して「さんまさんにいただいたサインなんです!」と肌身離さず持っていることを嬉々として語ったからだという。さんまはラジオ『ヤングタウン土曜日』(MBS)でそのエピソードを明かし、以降「どんなものにもサインするようになった」と述懐している。
さんまの笑いへの姿勢は、ただただ「目の前の人を笑顔にさせたいから」という人間としての純粋なヒューマニズムによって突き動かされている。そんな優しさからか、さんまは昨年、りゅうちぇるに「建築関係トントントン」のネタを伝授し、彼の大ブレイクに寄与。「トークのみならず、共演するタレントを売り出す才能に長けているから」(大阪府/50代・男性)とさんまの名司会者としてのプロデュース能力も高く評価されている。昨年11月には、自身初のNHK総合での音楽番組『第1回明石家紅白!』を放送するなど新基軸の特番にもトライ。“お笑い怪獣”は易々と後輩芸人に現状のポジションを譲り渡すつもりはない。
確かな手腕への再評価&異業種からのMC挑戦 司会者にも地殻変動が
圏外から再浮上した9位の【池上彰】は『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』(テレビ朝日系)など、「難しいニュースをいかにわかりやすく伝えるか?」という分野で大きな功績を残した。またテレビ東京系の選挙特番のキャスターでは、政治家と丁々発止のやり取りを展開。それは“池上無双”と評され、絶大な支持を得た。同じく再浮上の10位は【浜田雅功】(ダウンタウン)。「結果発表!」のハイトーンボイスなど超一流の司会者として認知されてきた。だが、近年はそのとがったイメージだけでなく、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)での泥酔っぷりなど、天然ボケの一面も浸透し、新たな魅力を開花させた。
磐石の強さを誇示してきたさんまを破り、お笑い出身ではないマツコが1位をさらうという大きな地殻変動が起きた今回のランキング。近年では『バイキング』(フジテレビ系)で新たな“昼の顔”として諸問題に檄を飛ばす坂上忍、『林修の今でしょ!講座』(テレビ朝日系)、『林先生が驚く初耳学!』(TBS系)など冠番組を持つ林修など異業種からMCを手掛ける人物も登場。来年の同ランキングには、更なる“新顔”も続々とランクインすることになるかもしれない。
第9回 好きな司会者ランキングTOP10
マツコ・デラックス(↑昨年3位)
- 世間が思っても言わないことを代弁してくれる(大阪/10代・女性)
- 男女の気持ちも分かっていて他にはいない存在(京都/20代・女性)
- 知識が豊富で的確な表現がいい(愛知/30代・男性)
1
タモリ(→昨年2位)
- 疑問など素直にぶつけ自然体で司会をしている(山形/10代・女性)
- 懐の深さが視聴者として見ていて安心感がある(北海道/20代・女性)
- 物知りだし、勉強になる(福岡/20代・男性)
2
明石家さんま(↓昨年1位)
- 話しのオチの進め方や進行がうまい(神奈川/20代・女性)
- おもしろトークを引き出す才能はこの人(兵庫/40代・女性)
- 言葉の切替えしが早く面白い。司会者の神的存在(京都/20代・男性)
3
中居正広(→昨年4位)
- 自分の言葉で話しどんな番組も中居色に染める(東京/10代・女性)
- ゲストの魅力を引き出すのが凄く上手いと思う(兵庫/10代・女性)
4
【調査概要】
集計期間:2017年1月30日(月)〜2月5日(日)
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代〜50代の男女)
調査地域:全国
集計期間:2017年1月30日(月)〜2月5日(日)
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代〜50代の男女)
調査地域:全国