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ORICON NEWS
佐藤健インタビュー『俳優生活10周年、本気で俳優業に向き合う“カッコ悪い”理由とは!?』
自分のなかから出てきたことだけでやっても、自分にしかならない
佐藤健「びっくりした」って言われるのは嬉しいし、そういうことを目指してやっていました(笑)。
――本作の主人公・拓人のルックスは、どのように作っていかれたのですか?
佐藤健自分がどう演じるか? をイメージしながら脚本を読むんですけど、今回は最初から最後まで、ずっと迷っていたし、悩んでいました。プロデューサーにも「拓人をどう演じたらいいかわからない。ヤバい」ということを話していましたね。
――これもまた意外な話です。どうやって突破口を見つけたのですか?
佐藤健やっぱり演じるうえでは、別人になりたいじゃないですか。何となく演じると、どうしても佐藤健が演じていることにしかならない。自分のなかから出てきたことだけでやっても、自分にしかならないんです。そういうとき、何かコピーするものがあると、お芝居がしやすい。今回は、原作者の朝井リョウをコピーしようと決めました(笑)。
佐藤健本当にそれでいいのか? ということも含めて、どういうところをコピーするかを取材するために、一緒に食事に行きました。「朝井リョウでいくから」とは言わずに(笑)。で、とりあえず「美容室って、どこに行ってるの?」とか聞いて「どこどこってお店の誰々さんに切ってもらってる」という情報を入手して。「その時計、いいね! 見せて」って写真を撮ったり、クローゼットにある服を取材したり。データが揃ったところで「今回、朝井くんをコピーすることにしたから。とりあえず、その美容室で髪切ってくるわ!」みたいな感じでした(※実際に朝井の行きつけの美容室で今回のヘアスタイルにした)。劇中で、フレッドペリーのポロシャツを着ているんですけど、本当に朝井くんはフレッドペリーばっかり着ていましたね。もちろん、朝井リョウを演じるわけではなく、自分にないものをコピーしながら、実写ならではの僕が演じる拓人、別人になっていく。朝井くんを軸に置くと決めてからは、どこに向かって芝居をしていったらいいのか、ひとつ明確に見えたことで、すごくお芝居がしやすくなりました。
“インでいきなり芝居なんかできるわけねぇじゃねーか!”と思う派(笑)
佐藤健顔の表情は、常に気にしていました。口角はちょっと下がってた方がいいよね、とか。かなり感覚的なことなので説明が難しいんですけど、別の役をやるとき、ニュートラルな状態の顔は、絶対に違っていたいんです。ちょっとしたニュアンスが違うだけで、別人に見えたりするので、無表情なときも自分にならないように意識して。今回、困ったときは“朝井リョウだったら、こういうときどんな顔をするんだろう?”って朝井くんをイメージすれば、ニュートラルになれていたと思います。走り方だけは、朝井くんが走っている姿を見たことがないので、がむしゃらに走っていただけかもしれないけど(笑)。
――脚本も手がけた、三浦大輔監督の演出はいかがでしたか?
佐藤健脚本を読んだとき、本当にどう演じたらいいのかわからなかったので、監督を信じて、監督に身を任せてやろうと決めていました。僕が拓人の内面にどんどん向き合って芝居をしていったとき、周りからどう見えているか? という指摘が多かったですね。ミスリードのためにも、周囲やお客さんからどう見えるか? というのがすごく大切な役だったので。気持ちを入れた結果、ちょっとイヤなヤツに見え過ぎてしまっているから、もうちょっと抑えた方がいいかもしれないというふうに、さじ加減を見てくださいました。
佐藤健もともと映画を撮るとき“クランクインでいきなり芝居なんかできるわけねぇじゃねーか!”と思う派なので(笑)。今回、この作品をやりたいと思った理由のひとつに、イン前にリハーサルをちゃんとやることがありました。同年代の魅力的な俳優さんたちとそういう作業ができることに心惹かれて。このメンバーで、ちょっとずつ、ちょっとずつ作っていく作業がすごく楽しかったです。
――とくに拓人のコンプレックスを大いに刺激する、菅田将暉さん演じる光太郎との関係については、どう捉えましたか。拓人はなぜ、光太郎と一緒に暮らしたのだと考えましたか?
佐藤健まぁ、誘われたからなんですけどね(笑)。光太郎のこと、全然嫌いじゃないし、むしろ好きだし、一緒にいてラクだし。たぶん人気者の光太郎と住んでいるってことは、自分にとってマイナスにはならないだろうし、いいかなあと思ったんじゃないかな。