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デビュー30周年、日本にR&Bを根付かせた久保田利伸の功績
日本の音楽ファンの多くが久保田利伸を通してR&Bに触れた
久保田が日本の音楽シーンにもたらした最大の功績はもちろん、R&Bのエッセンスを広く浸透させたことだ。山下達郎、鈴木雅之、大沢誉志幸、吉田美奈子など、ソウルミュージック、ファンクを自らの音楽に取り入れたアーティストは存在していたが、R&B特有のグルーヴ、メロディセンス、ビジュアルを前面に押し出した日本人アーティストは久保田が登場する以前には皆無だった。
音楽プロデューサーの松尾潔氏が「R・ケリーの年」と位置付けた1994年がR&Bシーンのひとつの絶頂期だったとすれば、80年代後半からR&Bテイストを濃密に反映した楽曲を発表していた久保田の存在は“とんでもなく早かった”と言うしかない。そう、日本の音楽ファンの多くは久保田利伸というアーティストを通して、初めてR&Bという音楽に触れたと言っても過言ではないだろう。
海外シーンとのつながりが生んだ、名曲「LA・LA・LA LOVE SONG」
その大きな成果とも言えるのが、1996年にリリースされたナオミ・キャンベルとのデュエットソング「LA・LA・LA LOVE SONG」。木村拓哉と山口智子主演のドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)の主題歌としても話題を集めたこの曲の大ヒットにより、久保田のワールドワイドなアーティスト性は完全に認知されたのだと思う。ちなみに2004年にはアメリカ全土で放送されている老舗音楽番組『ソウル・トレイン』にも出演している)。
久保田によって定着したR&B、そして多くのフォロワーが生まれる
デビュー30周年をきっかけにして、久保田本人のキャリアに改めてスポットが当てられることはもちろん、日本のR&Bの在り方にも注目が集まることになりそうだ。
(文/森朋之)
【インフォメーション】
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12月21日発売(完全生産限定BOX/予約締切8月28日)
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