(更新:)
ORICON NEWS
篠原涼子インタビュー 『アンフェア』完結… 雪平イメージを脱却する必要はない
最後にふさわしい 美しい終わり方
篠原今回の脚本を読ませていただいたとき、すごく“愛にあふれているな”って感じました。これまでの作品では、雪平夏見って、あまり愛に関わって来なかったので、そういう意味でも新鮮だったし、ドラマティックでいいなあって。今回、すべての謎が明かされますが、それも単純な謎解きではなく、愛に引っかけた描き方になっています。最後にふさわしい、美しい終わり方だなって思いましたね。
篠原嗣麻子さんのハードボイルドの描き方がすごく好きです。ストーリーもそうですけど、『アンフェア』って謎の部分が多いから、書き手の方にとっても、模索することの多い難しい作品だと思うんです。かなり頭の柔軟な人じゃないと、書けないんじゃないかと。それを、毎回台本を読むたびに“なんでこんなすごいことを考えているんだ!”みたいなハードさで! 嗣麻子さんってすごく小さくて、かわいらしい方だから、そんなギャップも感じつつ(笑)、読むたびにいつも、こんなにいい作品を与えていただいたことに感謝していました。
――前作では、台本以上に雪平らしいラブシーンを作ろうという篠原さんの熱意から、男前なベッドシーンが誕生しました。今回のオールヌードの悩殺シーンも、篠原さんの提案だったそうですね?
篠原最初に台本を読んだときにはあまり感じなかったのですが、撮影の後半にこれまでのシーンを振り返ってみたとき、雪平の妖婉さが描かれていないように思ったんです。わかりやすく言うと、濡れ場的なところがないなあと。映画には、そういうシーンがちょっとあった方が楽しいのかもしれないし、『アンフェア』なら、その方がオシャレになるのかもと思ったので、スタッフに「最後だし、作品がよりおもしろく発展できるのであれば」と投げたら、ああいうシャワーシーンが返ってきたって感じですね(笑)。
愛に対しての感情をむき出しにする
篠原まず楽屋で私が裸になって、蛍光灯の明りのなかで立っていたら、嗣麻子さんがコンコンって入ってきて。くるーっと私の周りを一周しながら、舐め回すように見て「なるほどねー。OK、わかった。じゃあ、下(の撮影現場)で待ってます」って言われて(笑)。シャワーシーンってことは聞いていたんだけど、どういうふうに撮るのかとか、わからないまま現場に行ったら「涼子ちゃんね、そこに立ってくれるかな」「わかりました」。そうしたらカメラが寄ってきて“なるほど、こうやって撮るんだ”って(笑)。2回ほど撮ってOKになりました。最後の寄りの表情も嗣麻子さんのアイディアです。「こうして」って言われたので「わかった、じゃあそうしてみよう」って。
篠原突き詰めなくても、わかるんですよね。きっとこういうふうにしたいんだろうなって。逆に私もこうしたいと思ったとき、いちいち理屈をこねずに「こうしたいんだけど」とだけ言うと、嗣麻子さんが「OK、わかった」って。「あ、聞いてこないの、それ以上?」って感じるくらいで、周りのスタッフの方が“?”な感じになってたこともあったんじゃないかと思います。
――今回の撮影で、とくに印象に残っている演出シーンを教えてください。
篠原今回は、雪平が感情を露にするシーンがたくさんあるんですけれども、愛に対して感情をむき出しにするところがあるんです。そのむき出しさ加減を、どれくらいのレベルにするか、自分のなかですごく戸惑いました。現場でも「もうちょっと抑えてみて」とか「ヒートアップしてみて」とか、いろいろ言われながらやってみたんですけど、考えながらやっていたせいか、芝居に感情が入っていなかったんですよね。そのとき、嗣麻子さんが「いままでやったことをさっぱり忘れて、感情一本でいこう!」って。そうしたらすぐにOKが出たので“あ、そういうことだったんだな”って。勉強になったというか、教えられたし、難しかったところでもありますね。