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トークバラエティに辟易!? 「コント番組」への渇望
かつて様々なトレンドを生んだコント番組
このコント番組絶滅状態の理由は何なのだろうか。まず挙げられるのは、視聴者のニーズが変化していることだろう。面白い動画をいつでも簡単に手元のスマートフォンで探せる時代になり、敢えてテレビにコント番組を求めなくなっているのかもしれない。また制作事情も影響しているようだ。時間とコストがかかるコント番組よりも、トーク系バラエティの方が安価に作りやすい傾向がある。上場し、巨大メディアグループ企業へと変化を遂げたテレビ局がビジネスライクに効率化を重視するようになり、選択肢からコント番組が脱落していったケースも見受けられる。
しかしながら、今のバラエティ制作陣や活動中のお笑い芸人は、まさに「コント番組」で育ってきた世代である。「テレビのコント番組を立ち上げたい」「コント番組から何か新しいヒットを生みたい」という思いは潜在的にあるはずだ
コント番組を「作りたい」と考えているテレビマンは多い
漫画家の久保ミツロウが『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジテレビ系)で佐久間プロデューサーを「テレビ業界人で一番尊敬している人。作家性のあるプロデューサーだ」と評価していたが、まさに作家性を持ち合わせた演出家気質のディレクターやプロデューサーがコント番組には必要になる。タレント本位で進行できるトーク番組と比べると、作り込むコントの場合は作り手の腕の見せ所でもあるわけで、そうした人材を育てる余力がテレビ局にあるかどうかにも左右される。
先の『ドリフ〜』はTBSの全盛期。『〜ひょうきん族』と共にフジテレビは勢いを増した。それが今やプライム帯の週平均視聴率が7〜8%台にまで下がるフジテレビやTBSが「振り向けば…」と揶揄していたテレビ東京と並び、追い抜かれる週も珍しくない。つまり、コント番組と局の勢いは相関関係にあると言ってもいいかもしれない。コント番組が生まれにくいこうした現状は寂しくもあるけれど、まだ残る作り手の情熱が実を結び、今の時代にハマる面白いコント番組が出てくることを願いたい。
(文/長谷川朋子