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声優ブームが生んだ功罪 今の声優に求められるものとは?
「第4次声優ブーム」により相次いだ新人デビュー
第4次声優ブームは、優秀な人材を呼び込んだ。声優に憧れる若者が増え、子どもの「なりたい職業ランキング」上位には「声優」がランクイン。アニメ・声優分野に新規参入する企業も相次ぎ、続々と新人がデビューしたことによりシーンも急成長した。しかし、これがある問題を招くこととなる。「最近は(声優の)消費サイクルが早くなっている」と話すのは、とあるアニソン番組のプロデューサー。シーンは活性化したものの急激に増えたことで飽和状態となり、デビュー時にヒットを記録しても、新しい声優がどんどん出てきて、人気が定着しにくいという悪循環に陥ってしまったのだ。
人気職業故にサイクルが早くなっている
それはタレントだけでなく、本業の声優も同じなのではないだろうか。マルチに活躍する声優が増えるなかで、度々アニメファンの間で議題に上がるのが、「声優活動を疎かにしていないか?」ということ。“消費サイクルが早くなる”と、まだ充分にキャリアや実力が伴わない時期に主役級の声を担当する声優も多くなるため、そこで人気を得ても、一過性の盛り上がりで終わってしまうことも多い。先のアンケートでは、声優を務めるタレントに対し「本来の声優の仕事を奪ってしまっている」(千葉県/20代/女性)という意見があったが、声優自身もまた“声優ありき”での多方面での活動であり、まずは“ホーム”での基盤づくりが一番大切であるということを忘れてはならない。
その点、水樹や宮野真守など、今現在、アーティストとしてもトップクラスの人気を得ている声優は、ホームである声優活動を大切にしながら、長い時間をかけて声優、アーティストとしての実力を磨き上げ、今の地位までのぼりつめた。今の声優に求められているものは、声優としての実力や伸びしろという下地があったうえでの、マルチ展開も可能なポテンシャルだ。以前、声優養成所の代表が「じっくりと時間をかけて育成していくことも重要」と話していたが、5年、10年と、長い時間をかけて成長していくことで、“誰にも取って代わることができない”ポジションを得ることが重要なのだ。