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意外性でも話題の大ヒット作『ベイマックス』、『アナ雪』との相違点とは?
◆“できの良い”アナ雪姉さんに続くディズニーの注力具合
一方の『ベイマックス』は、『アナ雪』の日本での爆発的ヒットを受け、ディズニー本社が日本のマーケットを重要視。ワールドプレミアとなった、第27回東京国際映画祭でのオープニング上映時には、製作総指揮のジョン・ラセターをはじめ、ドン・ホールとクリス・ウィリアムズ両監督らディズニー幹部が揃って来日し、ディズニーファンを熱狂させた。いわば“できの良い”アナ雪姉さんに下駄を履かせてもらった形だ。
事実、封切り時全国308スクリーンで公開された『アナ雪』に対し、『ベイマックス』は540スクリーンで公開された。加えて、新宿・花園神社の鈴がベイマックスのデザインのルーツになっているなど、日本文化から多大な影響を受けている点も、日本のファン層への大きなPRポイントになった。
◆デートムービーとしての伸びしろに期待がかかる
一方の『ベイマックス』は、ディズニーが初めてマーベルコミックをベースにした、ヒーロー物語(つまり両作とも、ディズニーにとって、初の試みとなった挑戦作でもある)。事故で亡くなった兄の遺したロボットの“ベイマックス”とともに、主人公ヒロが兄の死の真相を探り、悪と戦う展開は、ディズニー作品のなかでもアクション度が高い。かわいらしい見た目のケアロボットに優しく癒されるはずが、実際に作品を観て「こんな映画だったの!?」という意外性から、口コミで人気が拡大していったところもある。
両作には、ファン層にも違いがある。作品への満足度から現在も人気が広がっている『ベイマックス』は、1月18日の時点で日本での観客動員数500万人、興収64億円を突破。娘にせがまれて、家族で劇場に足を運ぶファミリー層が目立った『アナ雪』に比べて注目すべきは、先述のストーリーの意外性もあり、ファミリー層はもちろんのこと、近年のアニメ映画には珍しく、デートムービーとしても成立している点である。今後『ベイマックス』大躍進の鍵を握るのもここだろう。いかに男性客が、女性を誘って劇場に足を運ぶか? デートムービーとしての伸びしろに期待がかかる。
思えば昨年の春からもうじき1年。東京ディズニーランドでは「アナとエルサのフローズンファンタジー」が開催され、恐らく『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』(短編)が公開される春(実写版『シンデレラ』と同時公開)まで、『アナ雪』に鷲づかみにされっぱなしの、一途な若き大和撫子たちのハートを、日本男児は溶かすことができるのだろうか? 生物学的にも『ベイマックス』のヒットの行方が興味深いところだ。