――LiSAさんが映画『ミニオンズ』の吹替えを担当すると聞いて驚きました。これまで吹替えはもちろん、演技も未経験だったと思うのですが、どんなきっかけで実現したんですか？
LiSA　もともとミニオンズが誕生した『怪盗グルー』シリーズが大好きで、なかでもミニオンズが大のお気に入りでした。彼らのことを愛する気持ちをいろいろな取材のときに話していたら、ファンの方から「ミニオンズのこのグッズがでるよ」とか情報をもらえるほどになったんです
（笑）。その噂を聞きつけた『ミニオンズ』のスタッフさんからオファーをいただきました！

――それはすごい！　願いを声に出すことで引き寄せたんですね。
LiSA　夢が叶った瞬間でした。でも、あまりにも意外なお話だったので今までにないくらいビックリしました。

――そこまでLiSAさんを夢中にさせるミニオンズの魅力とは、どんなものなんですか？
LiSA　ミニオンズを最初に好きになったのは『怪盗グルーの月泥棒』がきっかけです。この物語で、主人公のグルーはみんなから注目を浴びるために月を盗もうと考えるんです。人気者になりたいと思うのはピュアな気持ちだけど、そのための手段がかなりブラック。月を盗んだらいろいろな人が困るのに……（笑）。

――そのお話を聞いていると、普段からLiSAさんがテーマにしているピンクとブラックのように、可愛らしい部分と、いたずらなやんちゃな部分の表裏一体な感じがリンクするなと思ったのですが……。

LiSA　その通り（笑）！　さらに、ミニオンズは大変な目に合ってもケラケラ笑って“今大変だよ！”って楽しんじゃうんです。その感じがLiSAに似ているなと思いました（笑）。

――ミニオンズに共感する部分が多かったのかもしれないですね。
LiSA　そうですね。共感はもちろんありましたが、“こういう人になりたい”という存在なのかもしれません。

――そんな大好きなミニオンズが今回主役になると聞いて、すごく嬉しかったんじゃないですか？
LiSA　最高でしたね。『怪盗グルーの月泥棒』ではあまりミニオンズはフィーチャーされていなっかったんですが、続編の『怪盗グルーのミニオン危機一髪』では彼らが大活躍するんです。そしてついに今作で主演と聞いて、アイドルグループの推しメンがやっとセンターになったような気分です！

――（笑）さらに今回は吹替えで作品に参加されますが、挑戦してみていかがでしたか？
LiSA　好きすぎる作品ということもあり、お話をいただいたときは、かなり不安でした。でも、大好きな作品に関われるのは本当に嬉しいこと。経験という部分では足りないかもしれませんが、ミニオンズが好きな気持ちは誰にも負けない自信があるんです。

――その気持ちが何よりも大事ですからね。

LiSA　そうですね。それに、ミニオンズを見ていてわくわくドキドキする気持ちは、LiSAとして活動していることで、ファンの方たちがLiSAに対して思う気持ちと似ているのかなと思ったんです。それなら、私ができることがあるなら精一杯挑みたいと思いました。

――吹替え映像を見ましたが、すごく自然になじんでいましたよ。
LiSA　わぁ〜、嬉しいなぁ！　正直、作品が大好きな人の気持ちがすごくわかるので、「なんで素人が参加しているんだ」と言われたら「すみません！」という気持ちになるんです（苦笑）。でも、みんなと同じくらい『ミニオンズ』が好きという気持ちをそのまま作品に込めることができたので、リアルな感情を感じてもらえたらうれしいです。

――これまでにもたくさんのアニメ作品に曲という形で参加していますが、あらためてアニメを見る目が変わったのではないですか？
LiSA　変わりましたね。声のお仕事は本当に難しいんです。アニメに合わせたほうがいいのか、間とテンポはどう取ったらいいのか……。それに一番大変だったのは棒読みにならないこと。考えることが多いからこそ、ただ“セリフを読む”ことだけは避けたかったんです。そのために、たった一行でも“これはどんなシチュエーションで言っているのか”“今はどんな気持ちなのか”ということをしっかり考えて、シミュレーションしながら本当にたくさん練習しました。

――その苦労がしっかり実ったものになっていると思いますよ。
LiSA　そうだといいなぁ！

――演じる“マージ”は、母親役ということでしたが、演じるのは大変だったのではないですか？
LiSA　大変でしたね。セリフも「ちょっと聞いてもいい？」「リンゴ食べる？」とか母性溢れるものが多いんですよ。

――きっと、LiSAさんのファンは、LiSAさんに対して“やんちゃな子ども”というイメージを持っている人も多いと思うのですが……（笑）。
LiSA　ですよねぇ（笑）。でも、ミニオンズを愛おしく思ったり、何かを愛する気持ちは母親と近いところにあると思ったので、共通点を見つけながら演じました。きっと新しいLiSAを感じられると思いますよ。

――今回、新しいことに挑戦してあらためて感じたことはありましたか？
LiSA　新しいことに挑戦することは、一歩を踏み出すこと。そのことで誰かに喜んでもらえるということをあらためて感じたので、もっと新しいことに挑戦していかなくちゃいけないなと思いました。そのひとつとして、今回のライブツアーで初めてステージでギターを演奏して歌うことにしたんです。私自身が新しいことに挑戦することで、よりライブに来てくれる人たちの背中を押せたらいいなと思うんです。

――素敵ですね。そんな新しい挑戦のひとつになる、『ミニオンズ』の声優オーディションが開催されるんですよね。
LiSA　はい！　吹替えに参加してくれる女の子を募集しているんです。私はそのオーディションの審査員長を務めさせていただきます！

――どんな人たちを選んでいきたいですか？
LiSA　私自身、まったくの初心者だったので経験は問いません！　ミニオンズを愛する気持ちがどれだけ声に表れているかを基準に選考できればと思っています。好きな気持ちがあれば何でもできるんです。もし、少しでも興味があったらぜひ応募してもらいたいと思います！