昨今、注目を集めるクラフトビール。日本で主流となっている“ピルスナー”タイプだけでなく、自分の趣味・嗜好に合った様々なタイプのビールと出会えることもあって、幅広い層を取り込んでいる。こうしたなか、女性を中心に人気を伸ばしているのが、レモン風味のラドラーなどフルーツの香りや味わいを加えた「フレーバービール」。そこで、今回はアンケート調査や専門家への取材をもとに、若者のビール事情に迫っていく。
居酒屋に行ったら「とりあえずビール!」……そんな台詞が当たり前だったのも、もはや昔のことなのかもしれない。ビール酒造組合が発表している市場レポートによると、2014年の年間の国産ビール課税移出数量は、前年比99.0%の270.8キロリットルで、2004年の約7割の実績。飲み会でビールはおろかアルコールさえ口にしない若手社員が増えたと感じている人も多いのではないだろうか。そこで、ORICON STYLEでは、20~30代の男女600人に、ビールに関するアンケート調査を実施。若者のビール関与の実態に迫った。

まずは「あなたはビールが好きですか?」という質問には、全体の53.5%が【YES】 、46.5%が【NO】と回答し、ほぼ半々という結果となった。しかし、内訳を見ていくと、30代は男性が66.7%、女性も約半数が【YES】となったものの、20代は特に女性の【YES】が33.3%にとどまるなど、男女ともに30代よりも低い数値に。ただ、ビールを普段飲まない人に「飲みたい・飲めてうらやましいと思った瞬間」(MA)について聞いてみると【飲んでいる人を見ると美味しそうだから】(47.7%)、【乾杯が楽しそうだから】(43.2%)、【暑い日・のどが渇いたときに良さそうだから】(37.8%)と、潜在的にはビールの魅力を感じており“飲めるなら飲みたい”と思っている人は多そうだ。
では、そう思いながらも、なぜビールを飲まないのだろうか? 理由を聞いてみると、全体の68.7%が【味が好きではない】、60.1%が【苦い】と、ビールならではの風味や苦みが苦手と感じている人が多いことがわかった。ビール好きにとってはこの苦味こそが美味しさの秘訣であったりするのだが、ビールを好まない人にとってはこの味が一番のネックに。このほか、【おなかにたまりそう】【おじさんっぽい】という意見も。もちろん、ビール=おじさんの飲み物なわけではないのだが、イメージからなかなか手を出せない、という人もいるようだ。

そこで、飲んでみたいけど苦手……という人に、「あなたが飲んでもよいと思う『理想のビール』は?」(MA)という質問をしてみた。すると、一番多かったのは【苦くない】こと(45.3%)。次に【甘い・フルーティー】が34.5%、【軽い飲み心地】が26.6%と続いた。最近では、いわゆる“クラフトビール”人気に伴って、日本でも様々なタイプのビールが飲めるようになり、この条件を満たすであろうレモン風味のラドラーなどフルーツを使った「フレーバービール」というジャンルもブームの兆しを見せている。フレーバービールに関しては、「そんなにビールは得意じゃないけど、フレーバービールならゴクゴク飲めていいと思った」(千葉県/20代/女性)、「苦味が少なくて飲みやすい」(京都府/20代/男性)という意見も見られた。「ビールをオシャレに飲めそう」というイメージもあり、特に女性からの人気が高まっているようだ。

日本で「フレーバービール」が注目を集めるようになったのは大手も続々と新商品を発表し始めたごく最近のことだが、ビールやコンビニのトレンドに詳しい流通評論家兼公認会計士の眞山徳人氏によると、「フレーバービールは、ビールの製造過程で果物やハーブなどの風味や香りを付け足したビール。そもそも、海外では昔からフレーバービールが一般的です。ホワイトビールにオレンジピールやコリアンダーが加えられているビールは日本でも人気がありますが、実に14世紀から造られているんです」という。
日本では、ドイツで親しまれているビアスタイルをサントリーが日本市場向けにアレンジしたスッキリ甘いレモン風味の「ラドラー」が若者や女性を中心にヒット。日本でもウケた理由について、眞山氏は「親しみやすい味わいに仕上がっており、かつ、デザインも従来のビールと異なるオシャレなものになっていることで、『オヤジくささ』『味』の両者をうまく解決できたことが大きい。若い世代が喜びそうな味に仕上がっていると思う」と分析する。
そして、若者の嗜好の変化に加えて、「味わいを楽しむ」というビールの新たな飲み方・スタイルが浸透してきたことが、フレーバービールを受け入れる土壌としてできていたことも人気を後押ししたようだ。

フレーバービールの盛り上がりは、日頃から多くのビールユーザーと接している世界のビール博物館 横浜店の店長で、JCBA公認ビアテイスターとして国内外のクラフトビール事情にも詳しい溝田俊英氏も感じているようだ。世界各国の様々なビールを輸入し提供・販売している同店だが、「やはり5、6年前から、ビールの野外イベントも人気を集めておりまして、それに合わせて日本のクラフトビール会社さんが地元産の果物を使ったビールを造り始めたんですが、ようやくここ最近になって浸透してきたように思います。女性のお客様も増えている印象です」と、変化を感じているという。

そこで、海外で人気のフレーバービールについて聞いてみると、「“自転車乗り”という名前がついたドイツの『ラドラー』は人気が高いです。ビールをレモネードで割ったものが発祥になっておりまして、ドイツ国内だけでなく、ヨーロッパ全体で親しまれています。サントリーさんが日本でも販売を開始されましたが、実はドイツに住まれていた方などから『ラドラーはありますか?』と聞かれることも多く、日本でラドラーを探されている方ってけっこう多かったんですよ」。
「ビールが苦手な女性のお客様も多く、来店されたときにワインやカクテルを探される方も多いんです。そういった方にフレーバービールをご提案させていただくと、まずは味覚に大きな衝撃を受けられ、最終的には気に入っていただきます」。マンゴーやバナナ、ココナッツなど、変わり種もあり、男性客のなかには「果物を全部制覇しよう!」という強者もいるそうだが、やはり女性を中心にレモン、チェリー、ストロベリー、ピーチなどの人気が高いそうだ。
【調査概要】
調査対象:全国、20代・30代の男女(「全くお酒は飲まない人」は対象外)
サンプル数:600サンプル
調査期間:2015年5月1日(金)~8日(金)
調査手法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ
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