歌手で俳優の福山雅治（43）が、主演映画『そして父になる』（是枝裕和監督　来年10月5日公開）で、自身初の父親役を演じていることが26日、わかった。また、福山演じる主人公・野々宮良多の妻みどり役に女優の尾野真千子（31）が起用された。初の役どころに福山は「経験がないものですからどうしたらいいか不安でしたが、是枝さんと話して、また台本を読んで、いわゆる父性が全面に出ているタイプの父親像では無かったのでやり易かったです」と手応えを明かしている。

　同作は、“人生の勝ち組”と信じていた良多（福山）が、人生初の壁にぶつかり、自身と向き合いながら、成長する姿を描いた感動ドラマ。ある日、病院からの連絡で実の息子が出生時に取り違えられた他人の子供だったことを知った良多は、失敗のない人生が崩れるとあって葛藤する。それでも、ともに過ごした息子との時間、変わらず愛情を注ぎ続けるみどり（尾野）の姿に「父親」としての自分を次第に見つめ直していく。

　福山と夫婦役を演じる尾野は、是枝作品初出演に「この世界に入った頃から是枝さんを注目し、出たい出たいと思っていたので素直に嬉しかったです」と大喜び。「やっていくうちセリフや気持ちがどんどん変わっていくスタイルはめずらしく、ワクワクしたし楽しかったです。共演者の方々も大好きな方ばかりで幸せでした」と充実感たっぷりに振り返った。

　そのほか、野々宮夫妻と子供が入れ替う相手夫婦役に真木よう子とリリー・フランキーが出演。NHKの大河ドラマ『龍馬伝』で福山の妻役を演じた真木は「福山さんとは以前共演していますが、今回のような嫌なやつも意外とハマってるな、と。みたことがない福山さんがみれると思います」と期待を込める。また、良多の両親役に風吹ジュン、夏八木勲、良多の会社の上司役に國村準、みどりの母役に樹木希林など豪華キャスト陣が顔をそろえた。

　是枝監督は「福山さん演じる父親を、リリーさん演じる全く違うタイプの父親や尾野さん真木さん演じる『母親』という圧倒的な存在と対比させながら、未熟な部分も含めて、人間的に描けたと思います」と自信満々。福山も「自己愛で人を愛する人、無償の愛で人を愛する人、どちらのタイプの人が見ても発見はあると思います」と作品をアピールした。