現在放送中のドラマ『名探偵コナン 工藤新一への挑戦状』（毎週木曜 後11：58〜 読売テレビ・日本テレビ系）で主演する俳優・溝端淳平が、ORICON STYLEのインタビューで役者としての葛藤を告白。デビューから5年を経て、連ドラ主演は今回が3作目。順風満帆に見えるが「周囲の顔色をどこかで伺いながらお芝居をしてきた」と意外な一言。しかし、同ドラマを機に役者への意識が大きく変化したことに触れ、チャレンジと反省を重ねて自ら「貪欲になった」という心境の変化を赤裸々に語っている。

【写真】その他の写真を見る

　インタビュー開始時、挨拶もそこそこに開口一番「何を話しましょう？ 好きなタイプとか聞いちゃいます？」と、明るく話始める溝端。冗談かと思いきや「僕は家族が大好きな子がいいです！ 見てて、明るさを感じるし『きっと僕の家族も大切にしてくれるんだろうな〜』なんて。あれ、なんか真面目な話になっちゃいました？」と笑いを誘う。自ら場を和ませる明るい一面は、テレビで観る人懐こい人柄そのままだ。

　2006年に『ジュノンスーパーボーイ』のグランプリを受賞し、翌年に『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』（フジテレビ系）で注目度を上げた溝端。甘いルックスと誠実な人柄は女性ファンのハートを射抜き、ここ数年は映画やCM、舞台、さらにバラエティ番組のMCなど順調にキャリアを重ねてきた。

　現在放送中の『名探偵コナン〜』では、主人公・工藤新一として様々な推理を展開しながら、あらゆる角度で話の風呂敷を広げ、最後は明快な推理で一気にたたみ込む。ふり幅の広さと、器用さを求められる役どころだが、溝端は「色々試せるところ」と自身の見解を語る。「反省も毎回あって、その度に自分に課題を決めてチャレンジして。今までは周囲の顔色をどこかで伺いながらお芝居してきたこともあったんですけど、今回は“とにかく結果を出してみよう”と思っています」。
　
　溝端がデビューした当初は“イケメン”をキーワードにした若手俳優が続々と登場し、溝端もそのブームを牽引する1人として紹介されることが多かった。その言葉にジレンマを感じたことはあるのだろうか？ 「感じていましたね。でも、それは“勘違いした僕”です（笑）。今は、どんな形でも関心を持ってもらえることがありがたいです」と、俳優デビューから5年が過ぎ、自身と世間のギャップを受け入れる覚悟が生まれたようだ。
　
　「もしも10年後、20年後、変らず“イケメン俳優・溝端さん”って言ってもらえたら、スゴイ事でしょ!? プライドを持つことは大事だけど、余分なプライドを捨てる強さも大事だと思っています」と真剣な表情を見せるも、すぐに自らを「運だけでここまで来ちゃったラッキーボーイです」と笑いながら冗談を飛ばす。周囲を気遣いながらも、芝居に対して沸き起こる地熱のような気迫が、溝端の内側に静かに満ちているように見えた。

　また今年に入り、自身の演技に対する考え方や捉え方にも変化があったと明かす。過去の出演作で阿部寛や天海祐希といった大先輩の共演者に囲まれ「（作品の中で）僕みたいな1人キャリアの浅い役者が入ったら、それは“キャラ”として成立するんですよね。そこに甘んじてきた部分が見えたんです」と、客観的に語る。「後輩も沢山でてきて、僕よりお芝居が上手い人なんて前にも後ろにもたくさんいて。だから、もっと“攻め”でいかなきゃ」と、謙遜と貪欲さが入り混じる。
　
　最後に「まずは『工藤新一といえば、溝端』と言ってもらえるように、この役を自分のものにしないと」と、力を込める。「僕、前回のスペシャルドラマが終わる時に『連ドラやって、映画にしましょう！』って、言っちゃったんですよね。宣言通り、最後に映画で終われたら最高です」と、作品への愛情は深い。
　
　端正なルックスからは真逆ともいえる人間臭さを持ち、1つの話を掘り下げていくにつれ、言葉の節々に熱気が帯びる溝端。「とにかく、この連ドラの後に続編が有る無いにかかわらず、そんな声が挙がる作品にしていきたいです」と、ラストスパートに向け全力を誓っていた。