日本文学振興会は6日、第146回芥川賞・直木賞(平成23年度下半期)の候補作を発表した。芥川龍之介賞候補には、5度目のノミネートを果たした田中慎弥氏の『共喰い』など全5作。直木三十五賞候補には、葉室麟氏の時代小説『蜩ノ記』、すでに数々の文学賞を受賞している恩田陸氏のミステリー『夢違』、また真山仁氏が地震と原発事故を背景に“原子力政権”を描いた社会派『コラプティオ』 と幅広いジャンルから全6作を選出。受賞作を決める選考会は17日、今回も東京・築地「新喜楽」にて行われる。 芥川賞候補となった田中氏は、すでに『川端康成文学賞』、『三島由紀夫賞』などを受賞してきた実力派。ノミネート作は性と暴力、土着文化のひずみを綴っている。また初ノミネートとなった吉井磨弥氏の『七月のばか』は、実家の風俗店を手伝う主人公が面接にくる様々な女性達を品定めし、その目を通じて乾いた日常を切り取っており、いずれの作品も閉そく感が漂う。このほか『きなりの雲』の石田千氏と『道化師の蝶』の円城塔氏は前回から引き続きノミネート。『まちなか』の広小路尚祈氏は143回目以来の2度目のノミネートとなった。
2012/01/06