全国の書店員が“今いちばん売りたい本”を決める『2019年本屋大賞』(本屋大賞実行委員会主催)発表会が9日、都内で行われ、瀬尾まいこ氏の『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)が大賞に選ばれた。
同作は、17年間で7回も親が代わるという環境で、たくさんの「親」たちにリレーされて育った主人公の高校生・森宮優子の物語。幼少期に実の母を亡くした優子は、父親が3人、母親が2人おり、その家のルールに順応するのに混乱したり、4回も苗字が変わり苦悩に見えるが、血の繋がらない「親」たちの愛を一身に受けて「親」たちのことも愛し、幸せな少女の姿が描かれる。
瀬尾氏は1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業後、01年に『卵の緒』で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。代表作に『幸福な食卓』(05年吉川英治文学新人賞)、『戸村飯店 青春100連発』(08年坪田譲治文学賞)などがある。
大賞を受賞して瀬尾氏は「自分が思っていた以上にうれしいです。うれしいのは当たり前なのですが、書店員さんが自分の本を持っている姿を見て、胸がジーンとなっています」と声を詰まらせながら心境を告白。
作品については「書きながら愛情を注がれることは幸せなことですが、注ぐ先があるということはさらに幸せなことだと思いました」と伝えた。
また、この日は、前年度大賞作品『かがみの孤城』の辻村深月氏も登壇し「去年、この場で『本屋大賞はバトン』と言っていて…、きょう会場に来たら書店員さんから『あれは予言だったのですか?』と言われました」と不思議な縁に驚いていた。
同賞は“出版不況”や“読書離れ”に危機感を覚えた書店員有志により創設されたもので、今年で16回目。書店員の投票だけで選ばれる点が特徴で、一次投票を昨年11月1日から今年1月6日まで行い、全国の493書店、書店員623人の投票があった。
一次投票後に上位10作品をノミネート本として1月22日に公開。二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書きベスト3に順位をつけて投票され、今回『そして、バトンは渡された』が大賞に決定した。
過去の受賞・ノミネート作は、映画化やドラマ化されるなど話題になったものも多く、百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』、三浦しをん氏の『舟を編む』、湊かなえ氏の『告白』などが映画化され、『ビブリア古書堂の事件手帖』が月9ドラマ(フジテレビ系)として放送された。
■2019年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)
『愛なき世界』三浦しをん(中央公論新社)
『ある男』平野啓一郎(文藝春秋)
『さざなみのよる』木皿泉(河出書房新社)
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ(文藝春秋)
『熱帯』森見登美彦(文藝春秋)
『ひと』小野寺史宜(祥伝社)
『ひとつむぎの手』知念実希人(新潮社)
『火のないところに煙は』芦沢央(新潮社)
『フーガはユーガ』伊坂幸太郎(実業之日本社)
『ベルリンは晴れているか』深緑野分(筑摩書房)
■歴代大賞作品(書名、著者、出版社)
第1回:『博士の愛した数式』小川洋子(新潮社)
第2回:『夜のピクニック』恩田陸(新潮社)
第3回:『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー(扶桑社)
第4回:『一瞬の風になれ』佐藤多佳子(講談社)
第5回:『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎(新潮社)
第6回:『告白』湊かなえ(双葉社)
第7回:『天地明察』冲方丁(角川書店)
第8回:『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉(小学館)
第9回:『舟を編む』三浦しをん(光文社)
第10回:『海賊とよばれた男』百田尚樹(講談社)
第11回:『村上海賊の娘』和田竜(新潮社)
第12回:『鹿の王』上橋菜穂子(KADOKAWA 角川書店)
第13回:『羊と鋼の森』宮下奈都(文藝春秋)
第14回:『蜜蜂と遠雷』恩田陸(幻冬舎)
第15回:『かがみの孤城』辻村深月(ポプラ社)
同作は、17年間で7回も親が代わるという環境で、たくさんの「親」たちにリレーされて育った主人公の高校生・森宮優子の物語。幼少期に実の母を亡くした優子は、父親が3人、母親が2人おり、その家のルールに順応するのに混乱したり、4回も苗字が変わり苦悩に見えるが、血の繋がらない「親」たちの愛を一身に受けて「親」たちのことも愛し、幸せな少女の姿が描かれる。
瀬尾氏は1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業後、01年に『卵の緒』で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。代表作に『幸福な食卓』(05年吉川英治文学新人賞)、『戸村飯店 青春100連発』(08年坪田譲治文学賞)などがある。
大賞を受賞して瀬尾氏は「自分が思っていた以上にうれしいです。うれしいのは当たり前なのですが、書店員さんが自分の本を持っている姿を見て、胸がジーンとなっています」と声を詰まらせながら心境を告白。
作品については「書きながら愛情を注がれることは幸せなことですが、注ぐ先があるということはさらに幸せなことだと思いました」と伝えた。
また、この日は、前年度大賞作品『かがみの孤城』の辻村深月氏も登壇し「去年、この場で『本屋大賞はバトン』と言っていて…、きょう会場に来たら書店員さんから『あれは予言だったのですか?』と言われました」と不思議な縁に驚いていた。
同賞は“出版不況”や“読書離れ”に危機感を覚えた書店員有志により創設されたもので、今年で16回目。書店員の投票だけで選ばれる点が特徴で、一次投票を昨年11月1日から今年1月6日まで行い、全国の493書店、書店員623人の投票があった。
一次投票後に上位10作品をノミネート本として1月22日に公開。二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書きベスト3に順位をつけて投票され、今回『そして、バトンは渡された』が大賞に決定した。
過去の受賞・ノミネート作は、映画化やドラマ化されるなど話題になったものも多く、百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』、三浦しをん氏の『舟を編む』、湊かなえ氏の『告白』などが映画化され、『ビブリア古書堂の事件手帖』が月9ドラマ(フジテレビ系)として放送された。
■2019年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)
『愛なき世界』三浦しをん(中央公論新社)
『ある男』平野啓一郎(文藝春秋)
『さざなみのよる』木皿泉(河出書房新社)
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ(文藝春秋)
『熱帯』森見登美彦(文藝春秋)
『ひと』小野寺史宜(祥伝社)
『ひとつむぎの手』知念実希人(新潮社)
『火のないところに煙は』芦沢央(新潮社)
『フーガはユーガ』伊坂幸太郎(実業之日本社)
『ベルリンは晴れているか』深緑野分(筑摩書房)
■歴代大賞作品(書名、著者、出版社)
第1回:『博士の愛した数式』小川洋子(新潮社)
第2回:『夜のピクニック』恩田陸(新潮社)
第3回:『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー(扶桑社)
第4回:『一瞬の風になれ』佐藤多佳子(講談社)
第5回:『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎(新潮社)
第6回:『告白』湊かなえ(双葉社)
第7回:『天地明察』冲方丁(角川書店)
第8回:『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉(小学館)
第9回:『舟を編む』三浦しをん(光文社)
第10回:『海賊とよばれた男』百田尚樹(講談社)
第11回:『村上海賊の娘』和田竜(新潮社)
第12回:『鹿の王』上橋菜穂子(KADOKAWA 角川書店)
第13回:『羊と鋼の森』宮下奈都(文藝春秋)
第14回:『蜜蜂と遠雷』恩田陸(幻冬舎)
第15回:『かがみの孤城』辻村深月(ポプラ社)

2019/04/09