『第42回日本アカデミー賞』の授賞式が1日、都内で開催され、樹木希林さんが『万引き家族』(是枝裕和監督)で最優秀助演女優賞を受賞した。娘でエッセイストの内田也哉子氏(43)が代理でブロンズを受け取り、受賞への思いを語った。
也哉子氏は「生前母がよく口にしていた『時が来たら、誇りをもって脇にどけ』というのが、文字通りできると思います」と切り出すと「6年前に『わが母の記』という映画で最優秀主演女優賞をいただいた母が、まさしくこの舞台で『これをいただくと来年司会でしょ。私、冗談抜きで全身がんなんで、来年の仕事約束できないんですよ』と口を滑らせました」と回顧。
その際に「なんで、こんなお祝いの場でこんなこと言うの」と也哉子氏はクレームをつけたそうだが、希林さんは平然と「だって、いつ死ぬかわからないから、ちゃんと断っておかなきゃ、先方にもご迷惑でしょ」と返したといい「つくづく母は、なんてまっとうな心根を持ったアナーキストなんだろうと思いました。最初の乳がんが見つかってから、再発を何度か繰り返しながらも、彼女は13年という日々を愛おしく…まるで病気に感謝しているようにも見えました」と言葉を詰まらせながら語った。
続けて「ちょっと不思議だったのが、がんがわかって真っ先にしたことは、父(内田裕也)に会いに行き、それまでのすべてのことを謝りに行ったことでした。残された時間がわずかだと知った時に、自分と関わってきた人たちに謝ってから逝きたいと。これは実に自分勝手な謝罪ですが、実に母らしい」と語り、最後はこう締めくくった。
「58年の役者人生において、映画作りという真剣勝負の現場で、彼女の言動が時に人を傷つけたりもしたと思います。なので、この場をお借りして、すべての映画関係者に彼女に代わって深くお詫び申し上げます。そして、それらの一つひとつの稀なる出会いに心より感謝します。本当に長い間お世話になりました。ありがとうございます」。
司会を務めた西田敏行は「天国の希林さんにも届けとばかりに盛大な拍手を。孤高な誰にもまねできない唯一無二の先輩だった。あなたをまねたいんですけど、あなたのまねはできません。本当にありがとうございました」と天を仰いだ。
希林さんは第34回には『悪人』で同賞を受賞し、優秀助演女優賞は今回で9回目。第31回には『東京タワー オトンとボクと、時々、オトン』、第36回には『わが母の記』で最優秀主演女優賞を、第39回には『あん』で優秀主演女優賞を受賞している。
優秀助演女優賞にはそのほか、篠原涼子(『北の桜守』)、深田恭子(『空飛ぶタイヤ』)、真木よう子(『孤狼の血』)、松岡茉優(『万引き家族』)が選出された。
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『第42回日本アカデミー賞』授賞式(全175枚)
也哉子氏は「生前母がよく口にしていた『時が来たら、誇りをもって脇にどけ』というのが、文字通りできると思います」と切り出すと「6年前に『わが母の記』という映画で最優秀主演女優賞をいただいた母が、まさしくこの舞台で『これをいただくと来年司会でしょ。私、冗談抜きで全身がんなんで、来年の仕事約束できないんですよ』と口を滑らせました」と回顧。
その際に「なんで、こんなお祝いの場でこんなこと言うの」と也哉子氏はクレームをつけたそうだが、希林さんは平然と「だって、いつ死ぬかわからないから、ちゃんと断っておかなきゃ、先方にもご迷惑でしょ」と返したといい「つくづく母は、なんてまっとうな心根を持ったアナーキストなんだろうと思いました。最初の乳がんが見つかってから、再発を何度か繰り返しながらも、彼女は13年という日々を愛おしく…まるで病気に感謝しているようにも見えました」と言葉を詰まらせながら語った。
続けて「ちょっと不思議だったのが、がんがわかって真っ先にしたことは、父(内田裕也)に会いに行き、それまでのすべてのことを謝りに行ったことでした。残された時間がわずかだと知った時に、自分と関わってきた人たちに謝ってから逝きたいと。これは実に自分勝手な謝罪ですが、実に母らしい」と語り、最後はこう締めくくった。
「58年の役者人生において、映画作りという真剣勝負の現場で、彼女の言動が時に人を傷つけたりもしたと思います。なので、この場をお借りして、すべての映画関係者に彼女に代わって深くお詫び申し上げます。そして、それらの一つひとつの稀なる出会いに心より感謝します。本当に長い間お世話になりました。ありがとうございます」。
司会を務めた西田敏行は「天国の希林さんにも届けとばかりに盛大な拍手を。孤高な誰にもまねできない唯一無二の先輩だった。あなたをまねたいんですけど、あなたのまねはできません。本当にありがとうございました」と天を仰いだ。
希林さんは第34回には『悪人』で同賞を受賞し、優秀助演女優賞は今回で9回目。第31回には『東京タワー オトンとボクと、時々、オトン』、第36回には『わが母の記』で最優秀主演女優賞を、第39回には『あん』で優秀主演女優賞を受賞している。
優秀助演女優賞にはそのほか、篠原涼子(『北の桜守』)、深田恭子(『空飛ぶタイヤ』)、真木よう子(『孤狼の血』)、松岡茉優(『万引き家族』)が選出された。
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『第42回日本アカデミー賞』授賞式(全175枚)
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2019/03/01