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矢島舞美、“一人”で歩むことのやりがい ℃-ute解散後の心境と信念

 昨年6月に解散したアイドルグループ・℃-uteでリーダーを務めていた矢島舞美(26)。現在、女優・歌手として活躍し11月10日には写真集『瞬き』(ワニブックス)を発売するなど活動の場を広げている矢島が、解散後に気づいた“一人”で歩むことの新たなやりがい、そして「何事も楽しむ」という変わらぬ信念について語ってくれた。

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■℃-ute卒業で吹っ切れた仕事観「私一人だし、楽しもう!」

――まさに今、写真集が出来上がってお手元に届いたようですね。(11月10日発売の写真集『瞬き』。取材は11月上旬) ℃-ute解散後初の写真集、ご覧になっていかがでしたか?

【矢島】 まだ全部は観れてないんですけど、やっぱりうれしいです。℃-uteで最後に出した写真集の時に、もう出すことはないのかな、と勝手に思っていたんですよ。そういう意味でまた出せた喜びはありますね。

――私も少しだけ見せていただきましたけど、なんだか舞美ちゃんと2人の世界…という感じがしました。要は、舞美ちゃんと写真を見ている人、2人きり。

【矢島】 ふふふっ。狙いどおりです(笑)。今回はストーリー仕立てになっていて、プロットをもらってイメージしながら撮っていったんですよ。いかに自然体で在りのままを撮ってもらえるかっていうのはコンセプトの一つでした。

――写真集に限らず、℃-uteを卒業してからの気持ちの変化ってありましたか?

【矢島】 ℃-uteの時って自分だけじゃないし、5人のことを考えながら生きてきたんですよ。

――リーダーだったしね。

【矢島】 そうなんです。それが一人になると、全部自分の責任だって思えるから、意外とキュッと張りつめていたモノが抜けた気がしますね。私、26歳の目標を“何事も楽しむ”って決めてたんですよ。たとえば今年1月にタイでソロライブをやらせていただいたんですけど、もしもメンバーがいたら、“ちゃんとやんなきゃ、みんなに迷惑かけないようにしなきゃ”ってすごい考えてたんですけど、“ま、私一人だし、楽しもう!”って(笑)。リハまでは真剣に取り組んで、本番は何が起きても楽しめれば大丈夫! みたいな、ちょっと気が楽になった部分があるかもしれない。その分、全部自分の責任だから、やらなきゃいけないことも多いんですけど、前よりもはっちゃけられるかなってところはあります。あとはハロプロの外の人たち、全然違う世界の人たちと仕事をする機会が増えたので、自分から距離を縮めていかなきゃという意識が高くなったかもしれないですね。

――出会いが増えたのでは?

【矢島】 増えましたね〜。いろんな人の人生観とか聞くのもすごく楽しいんですよ。考え方もいろいろあるんだな〜っていつもしみじみ感じています。

――人生、楽しんでいますね。そういうお話を聞くと、今回リリースされる「愛をみせてくれませんか」も、“楽しもう!”の一環のような気がします(笑)。

【矢島】 そうなんですよ。もともと卓偉さんと曲を作ることになった時に“どういう曲がほしいか”と聞かれて、せっかくだからライブで盛り上がる曲がほしいですとリクエストしたんですよ。元気で明るくて、みんなで乗れるような曲がいいなって。私、この前にも2曲出させていただいているんですけど、その時も恋に不器用なイメージの曲だったんですよね。私はずっとアイドルとしてやってきたので間違ってはいないなというところもあるし、そんな臆病な私を引っ張り出して!みたいなところがすごくかわいいなとも思います。

――かわいさの反面、リアルさがありますね。たとえば“経験が映しだすのは/なぜか別れのビジョン”とか。経験を重ねていくと怖くなったり臆病になったりすることも増えるのではないかと。

【矢島】 たしかに若い頃の勢いって年を重ねるごとになくなっていく気がするし、私と同世代の人たちが共感できるような歌詞になっているなって思いますね。

――もう一つ気になった歌詞が、“「傷つかないこと」は多分/「幸せ」とは違う”のところ。深いですよね〜。

【矢島】 ここは私、共感しますね。曲をいただいた当時はちょうど新しい環境でいろいろと悩んだりすることがあったんですよ。私っていろいろと言われると凹んだりもするし…。だけど、そう言ってもらえるのは幸せなことだなって自分に言い聞かせていたので、“わ、この歌詞すっごい響く!”と思いました。

――それとは対照的なバラード「泣きたくないのに」。舞美ちゃんにも、こんな気持ちになる夜があるのかな…なんて思っちゃいました。

【矢島】 これは今までアイドルとして歌ってきた元気で明るい曲とはちょっと違う、大人になってもずっと歌い続けていける曲というコンセプトで卓偉さんに作っていただいたんです。歌詞も…そうですね。こういう時、ありますね。私ってけっこう強がりというか、弱い部分を人には見せられないタイプなんですよね。だからいつも平静を装っちゃうんですけど、それでも誰かが気づいて声をかけてくれた瞬間にワーッて涙があふれたりとか。これもちょうどそういう時期だったから、この曲をいただいて“私、何か話したっけ?”って思うくらい自分と重なっていてビックリしました。

――この歌に共感する女性は多いと思いますよ。

【矢島】 たまたま親友と会った時に“人からかわいそうって思われるのがイヤで強がっちゃう”という話をしていて、あ、私だけじゃないんだ。みんなそうなんだなって思えたんですよね。同世代だからなのか、世の中的にそうなのかわからないけど、共感してくれる人がたくさんいたらいいなって思いました。

■「演技には正解がない」 女優業での葛藤

――もう一つ、舞美ちゃんといえば現在放映中のドラマ『プリティが多すぎる』(毎週木曜 深0:59、日本テレビ系)でファッション誌の編集部員・市之宮佑子を演じていますね。原宿が舞台なのでポップでかわいいモノがいっぱい出てくるし、編集者の苦労やドタバタ感も伝わってきます(笑)。

【矢島】 私はこういうお仕事をしているから編集者の方が“間に合わない(焦)!”ってがんばっている姿くらいしか知らなかったんですけど、佑子の役をいただいて、自分のやっていること一つひとつにこだわりを持って心を込めて一冊の雑誌を作っているんだな〜ってすごく勉強になったし、職種は違っても私自身にもそうやってこだわってやっているところはあるなって共感する部分もありました。

――劇中で来ている服とかアクセサリーもポップですよね。

【矢島】 普段の私が全然着たことがないようなお洋服だったし、衣装さんの合わせ方が斬新でおもしろかったですね。髪の毛も役に合わせて初めて染めたので挑戦でもあったんですけど、すべてが楽しかったです。

――佑子ちゃんはどんな女の子だと捉えていましたか?

【矢島】 編集部の中では最年少で、みんなに甘えるしかわいがられるキャラではあるんですけど、悪気なくポロっと嫌味を言っちゃうこともあって。それでも憎めない子なんですよね。仕事には情熱を持っていて一生懸命に取り組んでいるステキな役柄でしたね。

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

【矢島】 今回は女性のキャストが多かったのですごく賑やかでしたね。休憩時間とかずっとしゃべってたり、美味しいモノを食べたりしてました。千葉(雄大)さんは編集部で唯一の男性だったから肩身が狭かったかな〜と(笑)。撮影はとっくに終わってるんですけど、こないだ久々にみんなで会って“プリティ会”をしたんですよ。5時間半くらい女子だけでずっとしゃべってました。賑やかでしたね〜。

――どんな話をしているの?

【矢島】 みんな写真集を出すタイミングがたまたま一緒だったりしたので、写真集あるあるみたいな話をしたり、いろいろ話ましたね。その人のことを知りたくていろいろ質問をしていたら人生観に辿り着いたり。さっきの“℃-uteを解散してからの変化”という質問の答えかもしれないんですけど、気になることやわからないことはいろいろと調べるようになりましたね。一人になったからなのか、周りに教えてくれる人がいないからなのかはわからないんですけど、ちゃんと調べるようになったから知識を増やしたいなという気持ちにはなってます。

――好奇心がさらに旺盛になってきていますね。千葉雄大さんとの共演は、俳優として刺激を受ける部分はありましたか?

【矢島】 真面目に役に取り組んでいらっしゃる姿を間近で見ることができましたし、周りへの気配りとか対応力とか、真摯な姿勢を見て、私も周りに目を向けられる人になりたいなと思いました。私、ドラマの現場自体が今までそんなになかったから、どういうふうに撮影が進んでいくのかな?みたいなところから学ばせてもらったんですよ。舞台とは違ってカメラもいっぱいあるし、関係者の方も周りにいっぱいいらっしゃるし、言われたことに即対応しなきゃいけないし、ずっと緊張してたんですよね。心では“明るく!明るく!”と思ってもそこまで気持ちを上げるのがむずかしくて。けっこう苦戦しましたけれど、周りのみなさんに教えてもらったり助けてもらっていました。

――この経験を通して、意識の変化は生まれましたか?

【矢島】 これまでお芝居が好き! 楽しい! と思ってやってきたけれど、こうやってむずかしいなと思うところにぶつかってみて思うのは、初心は絶対に忘れないでいたいなということと、苦しいことがあっても楽しもう、ということなんです。好きなことなんだから楽しもうって、今は思えていますね。演技には正解がないし、間違っていても挑戦して楽しむことが大事って。

――“何事も楽しむ”って、人生のテーマかもしれないですね。

【矢島】ホント、そう思います。プリティ会も私よりも年上の方で、“30歳になってからすごく楽しい”という話を聞いていると、私も30が楽しみになってきたんですよね。今年は舞台とかドラマだったり、いろんな挑戦ができて、そのたびにたくさん学んだし、葛藤も多かった1年だったんですけど、今ようやく“楽しもう”“好きな気持ちを大事にしよう”というところに戻って来られたので、来年は精神的にもっと強くなって、言われたことに対してすぐに凹んでたりしたけど、考え方をプラスに変えられるようになって、すべてを楽しくしたいです。そのためにはいっぱい悩んだほうがいいですね。本当そう思いました。

――舞美ちゃんの葛藤の根源はどこにあったんでしょう?

【矢島】 アイドルだった時間が長くて、自分では当たり前だったことが“それって違うんだ”ということがけっこうあったんですよね。無意識にやっていたことがお芝居をやるうえではちょっと違って、え…わかんない!って感じになったりしてました。役どころについても言われたことができなかったり。アイドルってみんなに笑顔をあげたいし、「泣きたくないのに」の歌詞もそうなんですけど、自分の気持ちを隠してでもみんなに元気になってほしいなって思ってたんですよ。でもお芝居をやる上では、自分の気持ちに素直になったほうが感性が広がるというか、抑え込まないほうがいいんだろうなって感じたんです。

――矢島舞美はアイドルの世界を飛び出したんですね。

【矢島】 やっと、少しずつですけどね!

――今後はどんな女優さんになっていきたいですか?

【矢島】 自分の強みは何だろう?と考えた時に、身体を動かすことが好きだからアクションができる女優さんになりたいなと思ったんですよ。今って日本ではアクション女優さんが少ないという話を聞いたことがあって。アクションのレッスンにも通っているので、そこは強みにしていきたいし、いつかそういう作品に出られたらいいなと思います。あとは、自然体で、その場に溶け込める女優さんになりたいなと思います。

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