HTB北海道テレビのバラエティー番組『水曜どうでしょう』のディレクター兼カメラマンとして知られる嬉野雅道氏の初冠番組『うれしのまさみちの ま』が、今月29日正午より、動画配信サービス「アクトビラ」で独占無料配信される。
番組は、アクトビラ初のオリジナル制作番組。嬉野氏がこれまでに観た映画やそれにまつわるエピソードなど、自らが感じた想いなどをぶらりと移動しながら、ゆるりと語る内容。「#1」では、リムジンに乗りながら、千葉・成田山を目指し、道中で黒澤明監督の映画の魅力などを話題にした。嬉野氏は、番組内容について2000字超のロングコメントを寄せており、初冠番組への意気込み(?)のほどがうかがえる。
■嬉野雅道氏が語る番組概要(※記号・段落・よみがな以外、原文ママ)
みなさんこんにちは、嬉野です。さて、久々に旅立ちました『水曜どうでしょう新作』のロケから戻ったばかりのこの8月から、私がメインで語ります番組『うれしのまさみちの ま』の配信が始まります。
「なんで突然そんなものを始めるんですか」と驚かれる向きも多数おありかと思われますが、それは当の本人である私だってご同様でありますよ。そもそも嬉野雅道さんという人は(私のことですがね)水曜どうでしょうではカメラ担当ディレクターとして22年間君臨するだけで、番組内では「シカでした!」以外、ほとんどしゃべってる印象がないじゃないかと巷間言われます人物でございます。その人物が(私なんですがね)、いきなりメインで語るという驚愕のトーク番組が始まるのですから驚くまいことか!
いや、もちろん驚愕なのはみなさんでしょうが、当の本人の私だって驚愕です。だって気恥ずかしいじゃないですか。できればこんなものは見ないでいただきたい。いや、とはいえ撮影しちゃって出来ちゃった今となってはやっぱり見てもらいたい。視聴率「ゼロぱー」というのもそれはそれでアレですから、とはいえ…実に心穏やかじゃない。
そもそも、このような人騒がせな番組がなぜ企画されたのか。もちろん私が言い出したことじゃない。それはWOWOWの専務でありアクトビラの社長でもある橋本元(はじめ)さんというお方が、あるとき私に次のようなことを言われたわけですよ。「先生(私のことですよ)が、たまに話される映画の話を聞いていると、その映画を見たくなることがよくあります、それを番組にしたいのです」と。
私の悪い癖ですが、そんなこと言われると悪い気がしない。しかし、さすがに、あらためて映画の話をするほど私は映画に詳しくはない。そのことを言いますと「いや、先生(私のことですよ)の語る映画の話には、先生の人生の思い出話が顔を出して来るんです、聞いてる者はその話をキッカケに自分の人生を振り返りがちです。そんな風に映画を語る人は少ない。でもそういう語りこそ、もしかすると最良の映画の入り口になるのではと予感されてならないのです」とおっしゃる。
こうまで言われると「なるほどなるほど」と、私の重い腰は、かなり軽くなってる。それで「じゃあやりましょう」と、ついつい引き受けちゃった。
でも、冷静に考えてみましたら橋本さんの狙い通りの仕上がりにするためには、どーしたってカメラの前でいい具合に語ってる私という状態へ私の気分を持っていかなければならないわけですよ。
「これは大変」と焦った番組制作チームは私がカメラを気にせず少しでも気楽に話せるようにと「嬉野さん、どこか行きたい場所はありませんか?」と私がリラックス出来る場所をと様々に提案してくれる。でも、「そうですねぇ…」と懸命に考えてはみるんですが、そもそも行きたい場所などない私には思い浮かぶところがないもんだから「いや〜とくにないっスねぇ〜」と遠慮なく答える始末。いよいよ焦ったスタッフはさらに食い下がり、結局、私は「それなら移動中のいろんな乗り物の中で話をさせてもらいましょう」と思いつく。
それで初回は、まだ乗ったことのなかった長大なリムジンカーをオーダーさせてもらいました。撮影当日やってきたそのバカみたいな車体の長さには大いに笑いましたが、さっそく車内でカメラを向けられますと、どことなく緊張感がみなぎってくる。初めて体験しましたがカメラというのは怖いですねぇ「なんか面白いことを言ってみろ」と強要され続けてる気がして仕方がないわけですよ。実に恐ろしいものを私は22年にも渡って大泉洋に向け続けていたんだなと今更ながらに実感いたしました。
とはいえ、そんな私も語りたいことがないわけではない男です。どちらかといえば語りたい男です。だからこの機会に私の語りが残せるものなら残したい、聴いてもらえるものなら聴いてもらいたい、受け取ってもらえるものなら受け取っていただきたい。よし、そんならオレも頑張ってみようかと腹を据えました。
でも、そうやってカメラの前で頑張ってる自分を番組に仕上がった画面の中に見るとですねぇ、実に気恥ずかしい。「できれば見ないで欲しい」なんてことを思ってしまう。ただね、私のことをご存知の皆さんには大変珍しい映像です。まぁ、それは見ていただければ分かります。ということでね、しばらくは珍しい映像が続きますが、嬉野さんだって懸命ですよ、だってそうでしょう、いきなり坂道に躍り出ちゃったもんだから転ばないようにあとは必死に駈け下るしかない。そりゃ滑稽であります。でも回を重ねるうちに不意に興味深いことも語り出すかもしれません。
ということでね、どうぞみなさま、これからお気を長めのお付き合いをいただきますよう願い上げます。そうしていただければね、私だって、場というものに慣れていく。なんで自分がこんなことをしているのかと、自分の中で整理がついていく。それまでは、ともに歩いていただける人求む。『うれしのまさみちの ま』という番組は、そんな番組です。どうぞ、いろんな意味でお楽しみに。そしてどうぞご贔屓(ひいき)に。
見なさいよ!!!
嬉野雅道でした。
番組は、アクトビラ初のオリジナル制作番組。嬉野氏がこれまでに観た映画やそれにまつわるエピソードなど、自らが感じた想いなどをぶらりと移動しながら、ゆるりと語る内容。「#1」では、リムジンに乗りながら、千葉・成田山を目指し、道中で黒澤明監督の映画の魅力などを話題にした。嬉野氏は、番組内容について2000字超のロングコメントを寄せており、初冠番組への意気込み(?)のほどがうかがえる。
■嬉野雅道氏が語る番組概要(※記号・段落・よみがな以外、原文ママ)
みなさんこんにちは、嬉野です。さて、久々に旅立ちました『水曜どうでしょう新作』のロケから戻ったばかりのこの8月から、私がメインで語ります番組『うれしのまさみちの ま』の配信が始まります。
「なんで突然そんなものを始めるんですか」と驚かれる向きも多数おありかと思われますが、それは当の本人である私だってご同様でありますよ。そもそも嬉野雅道さんという人は(私のことですがね)水曜どうでしょうではカメラ担当ディレクターとして22年間君臨するだけで、番組内では「シカでした!」以外、ほとんどしゃべってる印象がないじゃないかと巷間言われます人物でございます。その人物が(私なんですがね)、いきなりメインで語るという驚愕のトーク番組が始まるのですから驚くまいことか!
いや、もちろん驚愕なのはみなさんでしょうが、当の本人の私だって驚愕です。だって気恥ずかしいじゃないですか。できればこんなものは見ないでいただきたい。いや、とはいえ撮影しちゃって出来ちゃった今となってはやっぱり見てもらいたい。視聴率「ゼロぱー」というのもそれはそれでアレですから、とはいえ…実に心穏やかじゃない。
そもそも、このような人騒がせな番組がなぜ企画されたのか。もちろん私が言い出したことじゃない。それはWOWOWの専務でありアクトビラの社長でもある橋本元(はじめ)さんというお方が、あるとき私に次のようなことを言われたわけですよ。「先生(私のことですよ)が、たまに話される映画の話を聞いていると、その映画を見たくなることがよくあります、それを番組にしたいのです」と。
私の悪い癖ですが、そんなこと言われると悪い気がしない。しかし、さすがに、あらためて映画の話をするほど私は映画に詳しくはない。そのことを言いますと「いや、先生(私のことですよ)の語る映画の話には、先生の人生の思い出話が顔を出して来るんです、聞いてる者はその話をキッカケに自分の人生を振り返りがちです。そんな風に映画を語る人は少ない。でもそういう語りこそ、もしかすると最良の映画の入り口になるのではと予感されてならないのです」とおっしゃる。
こうまで言われると「なるほどなるほど」と、私の重い腰は、かなり軽くなってる。それで「じゃあやりましょう」と、ついつい引き受けちゃった。
でも、冷静に考えてみましたら橋本さんの狙い通りの仕上がりにするためには、どーしたってカメラの前でいい具合に語ってる私という状態へ私の気分を持っていかなければならないわけですよ。
「これは大変」と焦った番組制作チームは私がカメラを気にせず少しでも気楽に話せるようにと「嬉野さん、どこか行きたい場所はありませんか?」と私がリラックス出来る場所をと様々に提案してくれる。でも、「そうですねぇ…」と懸命に考えてはみるんですが、そもそも行きたい場所などない私には思い浮かぶところがないもんだから「いや〜とくにないっスねぇ〜」と遠慮なく答える始末。いよいよ焦ったスタッフはさらに食い下がり、結局、私は「それなら移動中のいろんな乗り物の中で話をさせてもらいましょう」と思いつく。
それで初回は、まだ乗ったことのなかった長大なリムジンカーをオーダーさせてもらいました。撮影当日やってきたそのバカみたいな車体の長さには大いに笑いましたが、さっそく車内でカメラを向けられますと、どことなく緊張感がみなぎってくる。初めて体験しましたがカメラというのは怖いですねぇ「なんか面白いことを言ってみろ」と強要され続けてる気がして仕方がないわけですよ。実に恐ろしいものを私は22年にも渡って大泉洋に向け続けていたんだなと今更ながらに実感いたしました。
とはいえ、そんな私も語りたいことがないわけではない男です。どちらかといえば語りたい男です。だからこの機会に私の語りが残せるものなら残したい、聴いてもらえるものなら聴いてもらいたい、受け取ってもらえるものなら受け取っていただきたい。よし、そんならオレも頑張ってみようかと腹を据えました。
でも、そうやってカメラの前で頑張ってる自分を番組に仕上がった画面の中に見るとですねぇ、実に気恥ずかしい。「できれば見ないで欲しい」なんてことを思ってしまう。ただね、私のことをご存知の皆さんには大変珍しい映像です。まぁ、それは見ていただければ分かります。ということでね、しばらくは珍しい映像が続きますが、嬉野さんだって懸命ですよ、だってそうでしょう、いきなり坂道に躍り出ちゃったもんだから転ばないようにあとは必死に駈け下るしかない。そりゃ滑稽であります。でも回を重ねるうちに不意に興味深いことも語り出すかもしれません。
ということでね、どうぞみなさま、これからお気を長めのお付き合いをいただきますよう願い上げます。そうしていただければね、私だって、場というものに慣れていく。なんで自分がこんなことをしているのかと、自分の中で整理がついていく。それまでは、ともに歩いていただける人求む。『うれしのまさみちの ま』という番組は、そんな番組です。どうぞ、いろんな意味でお楽しみに。そしてどうぞご贔屓(ひいき)に。
見なさいよ!!!
嬉野雅道でした。
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2018/08/22