『トイ・ストーリー』(1995年)にはじまるピクサー・アニメーション・スタジオの長編20作目『インクレディブル・ファミリー』(8月1日公開)を手掛けたブラッド・バード監督。実写映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)でも成功を収めた。次々とヒット作を生み出す秘けつは何か。米サンフランシスコにあるピクサーの本拠地で、バード監督とプロデューサーのニコール・グリンドル氏を直撃した。
■パーソナルかつ誰もが共感できる家族の物語
――『インクレディブル』シリーズあなたにとってどういう存在ですか?
【ブラッド・バード監督】パーソナルな映画だよ。10歳の時に好きだった“ヒーロー”と“家族”という『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』を観てくれていたとしたら、前作の『Mr.インクレディブル』(2004年)や新作の『インクレディブル・ファミリー』もどんな映画なのか、わかるんじゃないかな。独自のリズムを感じてもらえると思うし、ユーモアとアクションのバランスに共通点があると思う。それは僕が作る作品に見られる傾向なんだ。『ミッション:インポッシブル』に僕が持ち込みたかったことの一つが、もっとユーモアを入れることだった。『ゴースト・プロトコル』にはそれがあったと思うし、多分、それが僕のテイストなんだ。
『インクレディブル』シリーズは、いつもキャラクターで場面が変化するようになっている。僕らは、映画をキビキビと進めたいけど、キャラクターたちと一緒に座れるところでは、休止する。そして、彼らをもっと知ることができるゆっくりした時間を持つんだ。だから、最初から最後までレースする(大急ぎで進める)わけじゃない。緩急をつけて良いペースで進んでいるように感じられるべきだ。だからといって緩急が同じリズムで現れるわけじゃない。それもまた僕らのスタイルだと思う。そこには独自のリズムがあるんだ。それはマイケル・ジアッキーノの音楽ともかなり関係していると思う。
【ニコール・グリンドル】何かスーパーなことをやった後に、日常的なありふれたことをやって。何の変哲もないことをしていたら、何かスーパーなことが起きる。そういうところがあるわよね。
【バード監督】そうだね。
【ニコール】『インクレディブル』シリーズは、ブラッドにとってとてもパーソナル映画であるということも言わせてもらうわ。そこは『ミッション:インポッシブル』など、ほかの作品と大きく違うところね。ブラッドは子どもの頃、きょうだいの中で、“なにかと面倒くさい弟”という存在だったらしい。結婚して自身の家庭を持ってからは、父親として子どもの成長を知り、夫として妻とぶつかることもある。そういう普通の家庭生活がインスピレーションの源になっているということが、観客の皆さんにも共感してもらえると思うわ。
【バード監督】スタッフのみんなもだよ。それぞれ自分の家族との経験を作品に持ち込んでいる。キャラクターに自らの人生や体験をコネクトしたり、なぞらえたりしているんだ。私たちは誰もが家族の中で、親や子、夫や妻などの立場にある。あるいは10代の時期を過ごしている最中だったり、かつてティーンエイジャーだったり大人だったり。どの立場でも共感できるのが、『インクレディブル』シリーズだと思います。
■ブラッド・バード監督「僕は映画が大好きだ」
――次々とヒット作を生み出す秘けつはなんですか?
【バード監督】真夜中にするヨガとか? ミステリアスで興味深く聞こえるような話を何かでっちあげるよ(笑)。僕は、午前2時から午前2時5分の間に、フルーツだけを食べるんだ。それが秘けつだよ(笑)。
――人には簡単に教えられるものではないですよね。
【ニコール】映画が大好きよね、ブラッド。アニメーションだけじゃなく、映画全般が。あなたは映画の研究家でもあると思うわ。
【バード監督】いやあ。でも、それは僕だけじゃなくて、このビル(ピクサー・アニメーション・スタジオ)にいるほとんど人がそうだと言えるよ。ここで働いている人たちのことを、アーティスト、マネージャー、テクニシャンとして分類したがる傾向があるけれど、ほとんど1人残らず、ここで働いている全員、映画が大好きなんだ。僕らはただ、ただ映画を作りたい。
そして、僕らほかの作品もよく観る。(ピクサー内の)シアターでいろんな映画を上映して、それらについてみんなで語り合うんだ。ブロックバスター映画(大作映画)も超低予算の映画も、ドキュメンタリーも見せる。35ミリで昔の映画を上映することもある。なぜなら、映写技師のジョンがコレクションを持っているからだ。メリル・ストリープやトム・ハンクスのような人たちがやって来ることもあるよ。
だから、実際のところ、僕は20歳の時にここで働いていたかったよ。映画が大好きな人にとって、ピクサーはとても素晴らしいところだからだ。みんなが映画を愛している。すべての種類の映画をね。予算の大小問わず、すべての国の映画をね。だから、ニコールが僕について言ったことは正しいと思う。そうだね。僕は映画が大好きだ。ピクサーで働く人すべてについて同じことが言えるんだよ。
■ブラッド・バード
1957年、米モンタナ州生まれ。11歳頃からアニメーション作品を制作。14歳でウォルト・ディズニー・スタジオに注目され、“アニメ界の神童”と謳われる。カリフォルニア芸術大学で学びディズニーに入社、『きつねと猟犬』(81年)にアニメーターとして携わった後に退職。テレビシリーズ『ザ・シンプソンズ』(89〜98年)などに関わった後、『アイアン・ジャイアント』(99年)で監督デビュー。作品はアニー賞9部門を独占する高評価を得た。
旧友ジョン・ラセターの誘いで監督・脚本を手掛けた『Mr.インクレディブル』および『レミーのおいしいレストラン』(07年)がアカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。その後も『カールおじさんの空飛ぶ家』(09年)、『トイ・ストーリー3』(10年)、『インサイド・ヘッド』(15年)などのクリエティブ面に携わる。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11年)、『トゥモローランド』(15年※脚本・製作も)などの実写作品でも監督の才能を発揮。前作に続き、本作でもエドナ・モードの声を演じている。
■パーソナルかつ誰もが共感できる家族の物語
――『インクレディブル』シリーズあなたにとってどういう存在ですか?
【ブラッド・バード監督】パーソナルな映画だよ。10歳の時に好きだった“ヒーロー”と“家族”という『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』を観てくれていたとしたら、前作の『Mr.インクレディブル』(2004年)や新作の『インクレディブル・ファミリー』もどんな映画なのか、わかるんじゃないかな。独自のリズムを感じてもらえると思うし、ユーモアとアクションのバランスに共通点があると思う。それは僕が作る作品に見られる傾向なんだ。『ミッション:インポッシブル』に僕が持ち込みたかったことの一つが、もっとユーモアを入れることだった。『ゴースト・プロトコル』にはそれがあったと思うし、多分、それが僕のテイストなんだ。
『インクレディブル』シリーズは、いつもキャラクターで場面が変化するようになっている。僕らは、映画をキビキビと進めたいけど、キャラクターたちと一緒に座れるところでは、休止する。そして、彼らをもっと知ることができるゆっくりした時間を持つんだ。だから、最初から最後までレースする(大急ぎで進める)わけじゃない。緩急をつけて良いペースで進んでいるように感じられるべきだ。だからといって緩急が同じリズムで現れるわけじゃない。それもまた僕らのスタイルだと思う。そこには独自のリズムがあるんだ。それはマイケル・ジアッキーノの音楽ともかなり関係していると思う。
【ニコール・グリンドル】何かスーパーなことをやった後に、日常的なありふれたことをやって。何の変哲もないことをしていたら、何かスーパーなことが起きる。そういうところがあるわよね。
【バード監督】そうだね。
【ニコール】『インクレディブル』シリーズは、ブラッドにとってとてもパーソナル映画であるということも言わせてもらうわ。そこは『ミッション:インポッシブル』など、ほかの作品と大きく違うところね。ブラッドは子どもの頃、きょうだいの中で、“なにかと面倒くさい弟”という存在だったらしい。結婚して自身の家庭を持ってからは、父親として子どもの成長を知り、夫として妻とぶつかることもある。そういう普通の家庭生活がインスピレーションの源になっているということが、観客の皆さんにも共感してもらえると思うわ。
【バード監督】スタッフのみんなもだよ。それぞれ自分の家族との経験を作品に持ち込んでいる。キャラクターに自らの人生や体験をコネクトしたり、なぞらえたりしているんだ。私たちは誰もが家族の中で、親や子、夫や妻などの立場にある。あるいは10代の時期を過ごしている最中だったり、かつてティーンエイジャーだったり大人だったり。どの立場でも共感できるのが、『インクレディブル』シリーズだと思います。
■ブラッド・バード監督「僕は映画が大好きだ」
――次々とヒット作を生み出す秘けつはなんですか?
【バード監督】真夜中にするヨガとか? ミステリアスで興味深く聞こえるような話を何かでっちあげるよ(笑)。僕は、午前2時から午前2時5分の間に、フルーツだけを食べるんだ。それが秘けつだよ(笑)。
――人には簡単に教えられるものではないですよね。
【ニコール】映画が大好きよね、ブラッド。アニメーションだけじゃなく、映画全般が。あなたは映画の研究家でもあると思うわ。
【バード監督】いやあ。でも、それは僕だけじゃなくて、このビル(ピクサー・アニメーション・スタジオ)にいるほとんど人がそうだと言えるよ。ここで働いている人たちのことを、アーティスト、マネージャー、テクニシャンとして分類したがる傾向があるけれど、ほとんど1人残らず、ここで働いている全員、映画が大好きなんだ。僕らはただ、ただ映画を作りたい。
そして、僕らほかの作品もよく観る。(ピクサー内の)シアターでいろんな映画を上映して、それらについてみんなで語り合うんだ。ブロックバスター映画(大作映画)も超低予算の映画も、ドキュメンタリーも見せる。35ミリで昔の映画を上映することもある。なぜなら、映写技師のジョンがコレクションを持っているからだ。メリル・ストリープやトム・ハンクスのような人たちがやって来ることもあるよ。
だから、実際のところ、僕は20歳の時にここで働いていたかったよ。映画が大好きな人にとって、ピクサーはとても素晴らしいところだからだ。みんなが映画を愛している。すべての種類の映画をね。予算の大小問わず、すべての国の映画をね。だから、ニコールが僕について言ったことは正しいと思う。そうだね。僕は映画が大好きだ。ピクサーで働く人すべてについて同じことが言えるんだよ。
■ブラッド・バード
1957年、米モンタナ州生まれ。11歳頃からアニメーション作品を制作。14歳でウォルト・ディズニー・スタジオに注目され、“アニメ界の神童”と謳われる。カリフォルニア芸術大学で学びディズニーに入社、『きつねと猟犬』(81年)にアニメーターとして携わった後に退職。テレビシリーズ『ザ・シンプソンズ』(89〜98年)などに関わった後、『アイアン・ジャイアント』(99年)で監督デビュー。作品はアニー賞9部門を独占する高評価を得た。
旧友ジョン・ラセターの誘いで監督・脚本を手掛けた『Mr.インクレディブル』および『レミーのおいしいレストラン』(07年)がアカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。その後も『カールおじさんの空飛ぶ家』(09年)、『トイ・ストーリー3』(10年)、『インサイド・ヘッド』(15年)などのクリエティブ面に携わる。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11年)、『トゥモローランド』(15年※脚本・製作も)などの実写作品でも監督の才能を発揮。前作に続き、本作でもエドナ・モードの声を演じている。
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2018/07/24