現在のラップブームの火付け役である『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)の“モンスター”として、圧倒的な存在感を放っていたサイプレス上野。先ごろデビュー17年目にして待望のメジャーデビューを果たした。90年代に端を発した日本語ラップブームの渦の中で揉まれ、現在のブームをけん引する彼に、当時と今では異なる、ブームの“質の違い”について率直な想いを聞いた。
■あのまま『ダンジョン』と続けてたら確実に壊れていた
サイプレス上野の名を世間に認知させたのは、やはり『フリースタイルダンジョン』の影響が大きい。毎週、血気盛んな若手ラッパーたちとフリースタイルバトルを繰り広げる“モンスター”として高い壁であり続けた上野。「まぁ、自分もあの番組に出たことによって、顔を指されることは確実に多くなりましたよ。ちびっ子とかにも『あ! サ上だ!!』とか言われたり、ツイッターとかにも『サ上が女といた!』とか書かれたり。で、まさかの嫁が感づいてエゴサーチしたり(笑)」と語る。
真剣勝負の場で、若手からフリースタイルバトルを挑まれるモンスターたち。特にサイプレス上野は、ガチンコの場でありながら、本能的に“プロレス脳”が働くのか、取り過ぎなくらいバンプ(受け身)を取り、多くの視聴者から支持を受けた。「バンプの取り方次第で『あれはもしかしたら茶番なんじゃないか?』なんてネットで騒がれるぐらい、やっぱ魅せないといけないんですよ。様々な議論が生まれた方が面白いんでね」と語るように、勝敗以上に“魅せる”ことを信条としてきた。
だが、毎週にわたり気鋭の挑戦者と対峙することで、当然同じライミング(フレーズ)は使えないし、おのずと消費されていく。モンスターとして負けられないという重圧だけが常に圧し掛かる……はっきり言えば“損な役割”だ。「俺もそうだし、ほかのみんなも収録終わったら魂抜けてますからね。それくらい疲弊していたのは確かです。まぁ、あのまま行ってたら間違いなく潰れてたでしょうね(苦笑)。だから、あの番組に一区切りつけたんですよ」と回顧。8月にモンスターを卒業し新たなリスタートを切ったのだ。
■やっぱり俺らはパッケージで勝負したい フリースタイルはその“過程”
同番組を機に起こった、新たなラップブーム。当事者である上野は、現在のブームをどう見ているのだろうか?「真面目な話をさせてもらうと、90年代の日本語ラップブームのときもラップを始めるヤツらが凄く多かったんですよ。俺らも含めてね。そこからデモテープを作って認められるとか、ライブやって認められるというのが基本としてあったんです。でも、今のブームの流れはサイファー(フリースタイルラップ)に参加してればラッパーみたいな流れが強くて。その差は凄く感じますね。そこは、なんか違うんじゃないかなって」(上野)
ブームをけん引してきた身であるからこその苦悩がそこにはあった。「フリースタイルだけに皆が注目しちゃうことにジレンマを感じていたし、俺らはパッケージとしても勝負したいんだ!っていう気持ちがやっぱりあって。俺に言わせると、そこに行く“過程”でのフリースタイルなんすよ」(上野)。
フリースタイルだけが注目される現状ではなく、作品としての質で勝負がしたい……それは、『ダンジョン』に挑戦する若手ラッパーたちも同じ想いなはずだと上野は言う。「ジレンマや悔しさを持ちながら、挑戦者もあの場に立っている。だからこそあれだけの熱量が生まれたんであってね。だから、それをとっかかりに更なる広がりが必要なんじゃないかなって。そこで止まっちゃったらブームだって継続していかないと思いますよ。後ろに続くヤツらのためにも、今回の(デビュー)アルバムで、作品の重要性というものにもう一度回帰させたいですね」(上野)。
■あのまま『ダンジョン』と続けてたら確実に壊れていた
サイプレス上野の名を世間に認知させたのは、やはり『フリースタイルダンジョン』の影響が大きい。毎週、血気盛んな若手ラッパーたちとフリースタイルバトルを繰り広げる“モンスター”として高い壁であり続けた上野。「まぁ、自分もあの番組に出たことによって、顔を指されることは確実に多くなりましたよ。ちびっ子とかにも『あ! サ上だ!!』とか言われたり、ツイッターとかにも『サ上が女といた!』とか書かれたり。で、まさかの嫁が感づいてエゴサーチしたり(笑)」と語る。
真剣勝負の場で、若手からフリースタイルバトルを挑まれるモンスターたち。特にサイプレス上野は、ガチンコの場でありながら、本能的に“プロレス脳”が働くのか、取り過ぎなくらいバンプ(受け身)を取り、多くの視聴者から支持を受けた。「バンプの取り方次第で『あれはもしかしたら茶番なんじゃないか?』なんてネットで騒がれるぐらい、やっぱ魅せないといけないんですよ。様々な議論が生まれた方が面白いんでね」と語るように、勝敗以上に“魅せる”ことを信条としてきた。
だが、毎週にわたり気鋭の挑戦者と対峙することで、当然同じライミング(フレーズ)は使えないし、おのずと消費されていく。モンスターとして負けられないという重圧だけが常に圧し掛かる……はっきり言えば“損な役割”だ。「俺もそうだし、ほかのみんなも収録終わったら魂抜けてますからね。それくらい疲弊していたのは確かです。まぁ、あのまま行ってたら間違いなく潰れてたでしょうね(苦笑)。だから、あの番組に一区切りつけたんですよ」と回顧。8月にモンスターを卒業し新たなリスタートを切ったのだ。
■やっぱり俺らはパッケージで勝負したい フリースタイルはその“過程”
同番組を機に起こった、新たなラップブーム。当事者である上野は、現在のブームをどう見ているのだろうか?「真面目な話をさせてもらうと、90年代の日本語ラップブームのときもラップを始めるヤツらが凄く多かったんですよ。俺らも含めてね。そこからデモテープを作って認められるとか、ライブやって認められるというのが基本としてあったんです。でも、今のブームの流れはサイファー(フリースタイルラップ)に参加してればラッパーみたいな流れが強くて。その差は凄く感じますね。そこは、なんか違うんじゃないかなって」(上野)
ブームをけん引してきた身であるからこその苦悩がそこにはあった。「フリースタイルだけに皆が注目しちゃうことにジレンマを感じていたし、俺らはパッケージとしても勝負したいんだ!っていう気持ちがやっぱりあって。俺に言わせると、そこに行く“過程”でのフリースタイルなんすよ」(上野)。
フリースタイルだけが注目される現状ではなく、作品としての質で勝負がしたい……それは、『ダンジョン』に挑戦する若手ラッパーたちも同じ想いなはずだと上野は言う。「ジレンマや悔しさを持ちながら、挑戦者もあの場に立っている。だからこそあれだけの熱量が生まれたんであってね。だから、それをとっかかりに更なる広がりが必要なんじゃないかなって。そこで止まっちゃったらブームだって継続していかないと思いますよ。後ろに続くヤツらのためにも、今回の(デビュー)アルバムで、作品の重要性というものにもう一度回帰させたいですね」(上野)。
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2017/09/17