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小籔千豊が語る座長の役目と未来への思い「新喜劇という船をできるだけ大きくしたい」

 吉本新喜劇の座長・小籔千豊(43)が、8月9日から13日まで東京・銀座ブロッサム中央会館で『吉本新喜劇 小藪座長東京公演2017』を開催する。関西が本場の新喜劇を東京で見られる貴重な本公演に向けて、新喜劇の魅力や座長の役割、そして自身の仕事に対する向き合い方に迫ってみた。

『吉本新喜劇 小籔座長東京公演2017』を開催する小藪千豊 (C)ORICON NewS inc.

『吉本新喜劇 小籔座長東京公演2017』を開催する小藪千豊 (C)ORICON NewS inc.

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■先人の“虎の巻”に頼らず、30年先にも残る笑いを追求する

 関西で生まれ育った人にとっては、小さい頃からなじみのある新喜劇。しかし、それ以外の地区では「名前やあのオープニング曲は知っているけど、どういうものがハッキリとはわからない」という人も多いのでは。そこでまず、吉本新喜劇の仕組みについて説明する。

 新喜劇は、大阪・なんばグランド花月と京都・祇園花月の2つの会場で毎日開催され、基本スケジュールは毎週火曜日が初日で月曜日が楽日となり、毎週新しい公演を行っていく(小籔のみ水曜初日)。50年以上の歴史を誇る吉本興業の看板であり、数多くの名芸人たちを生み出し、海外でも公演を開催してきた。また、ハリウッドスターのジャッキー・チェンやSMAP、最近では人気韓国グループの防弾少年団など数多くのスターがゲスト出演し、その舞台は関西の芸能の聖地としても知られている。

 そんな新喜劇での座長の役割について、小籔に聞いてみた。「昔は舞台上で笑いを引っ張っていく4番バッターという役割でしたが、今はちょっと監督的な部分がありますね。ボクらの少し前の座長たちは、作家さんが書いてきた台本をみんなに配る前にチェックして『このシーンはこう変えよう』と打ち合わせする程度でしたが、(2006年に)ボクが座長になってからはゼロの状態から作家と座長が台本を作るようにしました。打ち合わせしながら作っていきますが、設定・配役・流れ・誰にどのタイミングでボケさせるといった細かいところまで、決定権は座長にあります」。

 現在は座長が5人体制のため年に約10本の新台本というペースだが、かつては3人体制の時期もあり、年に20本近くの台本を作っていた時期もあった。かなりのハイペースだが「ボクは今までになかった台本を作ろうと思って取り組んできたので、8〜9割くらい作っても『前に似たような設定があったから辞めよう』と作り直したり、締切が迫ってるのに新しい設定を生み出せなくて焦った時もありました」。

 常に試行錯誤を繰り返しながら新しい設定を追求する姿勢について、「お客さんに向けてはもちろんですけど、身内である他の座長に対しても『こういう視点の台本、今ままでなかったでしょ』と提示している面もある。そうやって新しい定番を作っていって、後々に残していきたい」と明かしてくれた。

 「お笑いというのは昔に誰かが“発明”したものを、みんなが繰り返していくことで“定番”になっていくんです。新喜劇にも、“定番の虎の巻”が受け継がれていて、ボクたちはそれを意識しながら台本を書いたり舞台でボケたりします。つまり先人たちの技を拝借しているんです。でも、ボクが座長になって、ずっと先人たちの技を拝借するだけなんて、そんなアホなことはないと思った。ボクも何か発明して、30年経っても使われる定番を作りたい。昔の定番ばっかりで新喜劇をやっていたら、どんどんネタが枯渇していきます。なので、ボクとしては、新しい定番になりそうなものを残してるでしょ、褒めて〜という感じです(笑)」

■新喜劇を作ってくれた偉大な先輩のために、少しでも船を大きく

 新喜劇といえば、昨年は島木譲二さんや井上竜夫さん、今年は中山美保さんといった長く舞台を支えてきたベテラン芸人が鬼籍に入った。

 「新喜劇という大きな船は、先人たちが50年にわたって作ってくれたものです。ボクがいま飯を食えているのは、先人たちの頑張りのおかげです。どっかの世代が『もうええか』って適当にやってたら、潰れてただろうし、いま飯が食えてるかわからない。先輩から新喜劇というものを、おごってもらってる状態です。ボクの世代で新喜劇を潰したら、天国の先輩たちが怒ります」

 だからこそ、次の世代にそのまま渡すだけではなく、「できるだけ大きくして渡す。それが使命かな、と。大きくしようと思ってもなかなかできないので、一生懸命にそれを目指していくだけです」。

 今回の東京公演は「ふだん大阪でやってることを、そのまま持って行きます。デパートでやってる『北海道物産展』で、地元のウニやイクラをそのまま持ってきて東京の人に楽しんでもらうのと同じです」と紹介する。

 「なかなか大阪までお越しになるのも大変ですので、近くまで来たのでどうぞ一口だけでも味わっていってくれませんか、という気持ちです」。チケットは24日から一般発売開始。

小籔千豊(こやぶ・かずとよ)1973年9月11日生まれ・大阪市出身。1993年NSC大阪12期生。2001年に吉本新喜劇に入団、06年1月には約4年という異例のスピードで座長に就任した。現在も新喜劇の舞台に立ちながら、フジテレビ系『ノンストップ!』『バイキング』(どちらも火曜レギュラー)、BSスカパー!『BAZOOKA!!!』などにレギュラー出演中。

◆『吉本新喜劇 小籔座長東京公演2017』
日程:8月9日〜13日
会場:銀座ブロッサム中央会館

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  • 『吉本新喜劇 小籔座長東京公演2017』を開催する小藪千豊 (C)ORICON NewS inc.
  • 『吉本新喜劇 小籔座長東京公演2017』チラシ

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