『君の名は。』や『この世界の片隅に』の大ヒットで、アニメーション映画の株が急上昇している中、18日より公開された『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』は、ハリウッドでドラマ化も決定している話題作初の劇場版。本作の見どころを主人公・キリト役の松岡禎丞と、ヒロイン・アスナ役の戸松遥に聞いた。

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　タイトルの「ソードアート・オンライン（略してSAO）」は作中に登場するオンラインゲームの名称。デスゲームと化したゲーム内の仮想現実空間に閉じ込められてしまった少年が、仲間たちとともにゲームクリアを目指し、死闘を繰り広げる。2012年と14年にテレビアニメシリーズが放送され、各種ゲーム化、コミカライズなどを経て、ファンを広げてきた。

　アニメシリーズ初の映画化となる本作は、原作者の川原礫氏が完全新作ストーリーを書き下ろし、ミュージカル界で活躍する神田沙也加、井上芳雄、鹿賀丈史がゲスト声優として参加するなど、原作の小説やアニメのテレビシリーズに触れていない“初見”の人を取り込もうとする意欲も感じられる作品だ。

　戸松は「もちろん、テレビシリーズを観ている人にしかわからない小ネタもあるのですが、普段、アニメを観ない人が、ふとしたきっかけでこの映画を観た時の衝撃はより大きいと思います」と太鼓判を押す。

　物語の舞台は2022年。天才プログラマー・茅場晶彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス「ナーヴギア」の登場によって、VR（仮想現実）世界に無限の可能性がもたらされてから4年。一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。その名は「オーグマー」。フルダイブ機能を排除した代わりに、AR（拡張現実）機能を最大限に広げた、この最先端マシンは、覚醒状態で使用することができる安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。その爆発的な広がりを牽引したのは、「オーディナル・スケール（OS）」と呼ばれるオーグマー専用ARMMO RPGだった。アスナたちもプレイするそのゲームに、キリトも参戦しようとするが…。

　昨年は、さまざまなVRデバイスが登場し「VR元年」ともいわれた。さらに、世界中を席巻した『ポケモンGO』で「ARモード」を楽しんだ人も多かっただろう。スマートフォンのカメラ機能を利用し、発見したポケモンがカメラ画面上に表示されるため、現実世界にポケモンが出現したように見ることができるという機能だ。

　戸松「去年は、VRやARの話題に触れるたびに、『SAO』の世界に時代が追いついてきているぞっ、と思っていました。あと10年くらい経ったら、本当に実現するんじゃないか、という世界を見せてくれるのが『SAO』の魅力。今回の映画は、現実世界を舞台にARを使ったイベントに参加するというシンプルな入口から、こういうゲームがあったらぜひやってみたい！と思えるめちゃめちゃワクワクする展開になっています」

　松岡「VRゲームにARを取り入れた川原先生は天才だと思う。努力の天才というべきかな。劇中に、皇居だ、新宿中央公園だ、東京タワーだ、と現実にあるスポットも出てきますし、未来を観ているような気分になります。登場人物の関係性や劇中に出てくる名称など、初見の方には多少わかりにくい点もあるかもしれませんが、そうだとしても面白さは伝わるし、なんか泣けてくるな、みたいな感動がきっとあると思います。映画を観て楽しめたら、ぜひテレビシリーズも観てほしい。よくわからないな、と思ったところが『そういうことだったのか』と理解が深まるとさらに面白くなってくるはずです」

　ハリウッドでのドラマ化についても聞いた。

　松岡「映画ではなく、ドラマシリーズというのが、いいですね。若干の不安はありますが、ハリウッドが実写化してくれるというのであれば、期待して待ちたいですね」。

　戸松「ロサンゼルスで行われた『SAO』のイベントに参加したことがあって、海外での『SAO』の人気ぶりを目の当たりにし、その熱を肌で感じた経験があるので、ハリウッドでドラマ化されるのも不思議ではないと思いました。日本のアニメで、このような機会に恵まれる作品もなかなかあるものじゃない。実写には実写なりのアニメにはない魅力や個性があると思う。できたら吹き替えをやりたいですね」

　松岡「それは僕も思いました！」

■公式ホームページ
http://sao-movie.net/