体重の増減など完璧な肉体作りから役に臨むことでも知られる俳優・鈴木亮平。最新主演作『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』では、前作『俺物語!!』で30キロ増量したその1ヶ月後に再び減量。見事に絞り上げられた肉体美を披露している。そんなストイックな“肉体改造俳優”イメージが定着した現在の心境、俳優として大事にしていることを聞いた。
◆カッコ良くて変態的じゃないといけない(笑)
――『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』で色丞狂介を再び演じるにあたって、前作から変えた点はありますか?
【鈴木】 台本を読むと、彼は前作から全く成長していなくて……(笑)。ただ、変わっていなかったのは狂介としてであって、変態仮面としては圧倒的な力を持つ敵にやられてしまう場面が前作より増えていました。敵のダメージを受けてより強くなっていくことで、“普通の変態”から“より強い変態”にパワーアップしていく過程を見せられればと(笑)。
――新しい必殺技“スパイダーヘル”も今作から登場しますしね。
【鈴木】 原作にも登場するインパクトのある技なんですが、最初はどうやって撮るんだろうと思いました(笑)。グリーンバックで実際に綱渡りしての撮影で、そのうえ変態的な動きもしないといけなかったので難しくて……。普通のヒーローはかっこ良ければどんな動きでもOKですが、変態仮面はカッコ良くて変態的じゃないといけない(笑)。原作を読んで研究したり、鏡ばりのスタジオを借りて全身を映しながら変態的な動きを練習したりしました。
――撮影はいつ頃でした?
【鈴木】 昨年の夏で、『俺物語!!』のクランクアップ1ヶ月後でした。『俺物語!!』で体作りをして体重を増やしたあと、脂肪だけを落として筋肉はつけたまま『HK/変態仮面』の撮影に入れるように、そのタイミングでの撮影にしていただいたんです。
――撮影スケジュールを体作りの調整に合わせることが多いのですか?
【鈴木】 『HK/変態仮面』に関してはそうでした。いつもそういうわけではありません。
◆時代劇で武士や武将を演じたい
――徹底的な役作りというか体作りをされますよね。どの辺までなら体を改造するのは可能ですか?
【鈴木】 それは役によりますよね、死なない程度なら……(苦笑)。ただ、結果的に昨年はそういう作品が続いてそのイメージがついただけであって、そういう作品ばかりを好んで選んでいるわけではないです。
――“肉体改造俳優”イメージが定着しつつありますけど……(笑)。
【鈴木】 俳優はみなさん役作りで体重の増減はされていて、僕が特別ということはないと思います。香川照之さんは30キロ近く減量されたこともありましたし、西島秀俊さんも体を大きくしたり小さくしたりされています。たまたま僕の場合は昨年のドラマ『天皇の料理番』(TBS系)から『俺物語!!』、そして今作と続いたので注目していただけただけです。僕はこういう取材とかでつい話してしまうんですよ……努力は言わないほうがかっこいいと思うんですけど(笑)。
――出演する作品を選ぶ際に、肉体改造も厭わないのはやはりその内容に惹かれるからでしょうか?
【鈴木】 そうですね。肉体改造をしてでも挑みたい作品かということに尽きます。今の自分がやるべき作品かを考えてからオファーを受けさせていただいています。
――今後、演じてみたい役はありますか?
【鈴木】 時代劇で武士や武将を演じたいです。日本人に生まれて役者をやっているからには、殺陣や乗馬、所作ができないとという思いがあります。時代劇作品が多かった頃と違い、今の僕らの世代は時代劇に出演できる機会が少ないので、経験を積まないといけない。日常生活のように所作を体にしみ込ませたいんです。NHK大河ドラマに長く出演していらっしゃった役者さんは、自然と体にしみ込んでいます。でも僕はそういった経験が圧倒的に少ないので、いつ武将役のオファーがきても受けることができるように準備しておかないといけないと思っています。
◆型にはまった芝居にリアルな気持ちをのせたい
――世界遺産がお好きな鈴木さんだからこそ、日本人として誇れるものを身につけたいという考えを持つことができるのではないでしょうか。
【鈴木】 日本人に生まれたからには、日本人としてのアイデンティティを持っておくことが大事だと思います。先日出演した舞台で外国人の役者さんとご一緒したのですが、どの国の人たちと仕事をするにも、自分がどれだけ日本のことを知っていて、どれだけ日本人としてのアイデンティティを持って世界と戦えるかというのが勝負だと感じました。
――では日本の歴史も勉強しているんですか?
【鈴木】 それは趣味なんです(笑)。世界史に興味を持ったから、日本史にも興味を持てたというか。最近はさらに遡って、日本の神話に興味があります。神話のなかには日本の古代史が必ず隠されているんです。
――神話にハマったきっかけは?
【鈴木】 日本の歴史はわりと最近の話しか残っていないですよね。世界の歴史は何千年も前から残っていて、日本にも必ずあると思うんです。それをまとめたのが古事記や日本書紀で、それより前だと神話になっていきます。神話は、難解な古代史をわかりやすい神の話にしていて、そこから実際にその頃に起こったことを想像していくのが楽しいんです。日本人のルーツを考え出したら止まらなくなってしまいます。日本古代史をお芝居でできたらおもしろそうだなと思っていて。
――鈴木さんご自身の俳優としての今後の課題はありますか?
【鈴木】 “型にはまった”お芝居を勉強したいと思っています。時代劇もそのひとつですが、先日舞台で演じた王様役もそうです。今は自由に感情のままにとか、リアリズムのあるお芝居が主流になってきています。でも、そういうお芝居のできる役者はたくさんいますので、僕は先人たちが積み上げてきた型にはまったお芝居を自分のなかに取り入れていきたいんです。もちろんナチュラルに演じることも好きなので、基本としてそういう演じ方も大事にしつつ、型にはまったお芝居にリアルな気持ちをのせられたら、ある種型破りな演技になるんじゃないかなと思っています。
(文:奥村百恵)
◆カッコ良くて変態的じゃないといけない(笑)
――『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』で色丞狂介を再び演じるにあたって、前作から変えた点はありますか?
【鈴木】 台本を読むと、彼は前作から全く成長していなくて……(笑)。ただ、変わっていなかったのは狂介としてであって、変態仮面としては圧倒的な力を持つ敵にやられてしまう場面が前作より増えていました。敵のダメージを受けてより強くなっていくことで、“普通の変態”から“より強い変態”にパワーアップしていく過程を見せられればと(笑)。
――新しい必殺技“スパイダーヘル”も今作から登場しますしね。
【鈴木】 原作にも登場するインパクトのある技なんですが、最初はどうやって撮るんだろうと思いました(笑)。グリーンバックで実際に綱渡りしての撮影で、そのうえ変態的な動きもしないといけなかったので難しくて……。普通のヒーローはかっこ良ければどんな動きでもOKですが、変態仮面はカッコ良くて変態的じゃないといけない(笑)。原作を読んで研究したり、鏡ばりのスタジオを借りて全身を映しながら変態的な動きを練習したりしました。
――撮影はいつ頃でした?
【鈴木】 昨年の夏で、『俺物語!!』のクランクアップ1ヶ月後でした。『俺物語!!』で体作りをして体重を増やしたあと、脂肪だけを落として筋肉はつけたまま『HK/変態仮面』の撮影に入れるように、そのタイミングでの撮影にしていただいたんです。
――撮影スケジュールを体作りの調整に合わせることが多いのですか?
【鈴木】 『HK/変態仮面』に関してはそうでした。いつもそういうわけではありません。
◆時代劇で武士や武将を演じたい
――徹底的な役作りというか体作りをされますよね。どの辺までなら体を改造するのは可能ですか?
【鈴木】 それは役によりますよね、死なない程度なら……(苦笑)。ただ、結果的に昨年はそういう作品が続いてそのイメージがついただけであって、そういう作品ばかりを好んで選んでいるわけではないです。
――“肉体改造俳優”イメージが定着しつつありますけど……(笑)。
【鈴木】 俳優はみなさん役作りで体重の増減はされていて、僕が特別ということはないと思います。香川照之さんは30キロ近く減量されたこともありましたし、西島秀俊さんも体を大きくしたり小さくしたりされています。たまたま僕の場合は昨年のドラマ『天皇の料理番』(TBS系)から『俺物語!!』、そして今作と続いたので注目していただけただけです。僕はこういう取材とかでつい話してしまうんですよ……努力は言わないほうがかっこいいと思うんですけど(笑)。
――出演する作品を選ぶ際に、肉体改造も厭わないのはやはりその内容に惹かれるからでしょうか?
【鈴木】 そうですね。肉体改造をしてでも挑みたい作品かということに尽きます。今の自分がやるべき作品かを考えてからオファーを受けさせていただいています。
――今後、演じてみたい役はありますか?
【鈴木】 時代劇で武士や武将を演じたいです。日本人に生まれて役者をやっているからには、殺陣や乗馬、所作ができないとという思いがあります。時代劇作品が多かった頃と違い、今の僕らの世代は時代劇に出演できる機会が少ないので、経験を積まないといけない。日常生活のように所作を体にしみ込ませたいんです。NHK大河ドラマに長く出演していらっしゃった役者さんは、自然と体にしみ込んでいます。でも僕はそういった経験が圧倒的に少ないので、いつ武将役のオファーがきても受けることができるように準備しておかないといけないと思っています。
◆型にはまった芝居にリアルな気持ちをのせたい
――世界遺産がお好きな鈴木さんだからこそ、日本人として誇れるものを身につけたいという考えを持つことができるのではないでしょうか。
【鈴木】 日本人に生まれたからには、日本人としてのアイデンティティを持っておくことが大事だと思います。先日出演した舞台で外国人の役者さんとご一緒したのですが、どの国の人たちと仕事をするにも、自分がどれだけ日本のことを知っていて、どれだけ日本人としてのアイデンティティを持って世界と戦えるかというのが勝負だと感じました。
――では日本の歴史も勉強しているんですか?
【鈴木】 それは趣味なんです(笑)。世界史に興味を持ったから、日本史にも興味を持てたというか。最近はさらに遡って、日本の神話に興味があります。神話のなかには日本の古代史が必ず隠されているんです。
――神話にハマったきっかけは?
【鈴木】 日本の歴史はわりと最近の話しか残っていないですよね。世界の歴史は何千年も前から残っていて、日本にも必ずあると思うんです。それをまとめたのが古事記や日本書紀で、それより前だと神話になっていきます。神話は、難解な古代史をわかりやすい神の話にしていて、そこから実際にその頃に起こったことを想像していくのが楽しいんです。日本人のルーツを考え出したら止まらなくなってしまいます。日本古代史をお芝居でできたらおもしろそうだなと思っていて。
――鈴木さんご自身の俳優としての今後の課題はありますか?
【鈴木】 “型にはまった”お芝居を勉強したいと思っています。時代劇もそのひとつですが、先日舞台で演じた王様役もそうです。今は自由に感情のままにとか、リアリズムのあるお芝居が主流になってきています。でも、そういうお芝居のできる役者はたくさんいますので、僕は先人たちが積み上げてきた型にはまったお芝居を自分のなかに取り入れていきたいんです。もちろんナチュラルに演じることも好きなので、基本としてそういう演じ方も大事にしつつ、型にはまったお芝居にリアルな気持ちをのせられたら、ある種型破りな演技になるんじゃないかなと思っています。
(文:奥村百恵)
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2016/05/07