元TBSアナウンサー、現在タレントの小林麻耶が、「ブリカマぶるーす」なる曲で歌手デビューしたことは、本人の露出や話題性もあって記憶している人も多いだろう。しかし、ものまねメイクでブレイクしたざわちん(4月に「まだ見ぬセカイ」リリース)や、ハーフタレントの春香クリスティーン(アルバム『うたって覚えよう!楽しく勉強!テスト対策』に参加)の歌手デビューとなると、果たしてどのくらいの人が認知してるのだろうか。かつては、芸能人のみならずスポーツ界など、違う畑から歌手デビューする例も多くあり、歌手デビュー=人気度・知名度のバロメーターだった。今、歌手デビューの基準はどのへんにあるのだろうか?
◆人気のバロメーターだった“歌手デビュー” 各界の人気者が名を連ねる
畑違いから歌手デビューの系譜で言えば、その規模から見ても80年代漫才ブームによるお笑いタレントたちの例が典型的だろう。それほど歌唱力の高くない明石家さんまも、「アミダばばあの唄」(1983年)のようなコミカルな歌こそあったが、人気が不動のものとなると「真っ赤なウソ」(1987年/詞・曲:高見沢俊彦)をはじめ、人気アーティストによる楽曲を次々とリリースするようになる。
ちなみに、同時期に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)では、同番組MCのタモリが大ファンだという吉永小百合の「奈良の春日野」(シカのフンの歌詞で話題)をさんまがギャグで発掘し、再ヒットさせているが、そもそも吉永小百合と言えば、女優としてブレイクすると同時に歌手デビューし、大ヒットを記録したいわば正統派とも言える存在である。
ほかにも、ビートたけしの一連の楽曲、ダウンタウンの浜田雅功(H Jungle with t)の「WOW WAW TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」(1995年)が200万枚超えの大ヒット、有吉弘行が在籍していた猿岩石の「白い雲のように」(1996年)もミリオンセラーになるなど、お笑いタレントの歌手デビューラッシュはバブル末期過ぎまでエスカレートしていくのだ。
またかつては、吉永小百合のオーソドックスなパターンを継ぐと言えば聞こえはいいが、若手女優が歌手デビューするのも定番で、広末涼子、内田有紀、深田恭子あたりもシングルをリリースし、それなりにヒットしていた。歌手デビューを果たすのは何も芸能人ばかりではない。スポーツ界にも多く、野球界では長嶋茂雄、王貞治、原辰徳、中畑清、掛布雅之、松岡弘、トーマス・オマリー……などなど、人気選手の歌手デビューの例は枚挙にいとまがない。角界でも元大関の増位山など、歌が激ウマであることはあまりにも有名だった(現在は歌手専業)。要するにかつては、歌手デビューができるということは、それが許されるだけの人気を獲得したという、誰もが認める証であったのである。
◆番組企画のキャラクターが“歌手デビュー”で一大ブレイク
そうした流れに変化をもたらしたのが、テレビ番組内のコラボ企画としての歌手デビュー増加だ。『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』からポケットビスケッツ、『ワンナイR&R』(同)のゴリエやくず、『笑う犬の冒険』(同)のはっぱ隊、その他、白鳥美麗、慎吾ママなどがバラエティ番組から誕生し、歌手としても人気を博した。番組内のキャラそのままに歌手デビューするというスタイルを決定づけたのは『クイズ!ヘキサゴン2』(同/2005年)からデビューした “おバカタレント”3人組のユニット「羞恥心」(他番組では同主旨の「悲愴感」もある)、Pabo、遊助(上地雄輔)といったグループや歌手だ。
「ヘキサゴンファミリー」としてアルバム4枚のリリース、コンサートの開催、ついにはNHKの『紅白歌合戦』への出場まで果たし、一大ブームを引き起こした要因はどこにあったのか?
「ひとえに島田紳助さんのプロデュース能力の賜物でしょう。一世を風靡した“おバカタレント”さん(上地雄輔、つるの剛士、里田まい、スザンヌなど)たちも、言ってしまえば、デビューしてしばらくくすぶっていたタレントたちにキャラ付けし、独り立ちさせた結果、歌手デビューまでいったということです。結局、キャラありきで、もっと言えば視聴率のおかげだったんです」(レコード会社営業スタッフ)
◆音楽のネット配信増加 価値薄れる歌手の肩書
そして現在、一般の人たちが当たり前にインターネットで歌を発表する時代になり、楽曲自体もCDではなく配信が中心となった。“歌手”という肩書自体のハードルも格段に下がり、世間の目もいわゆる“ヘキサゴンバブル”が終わった今、歌手デビューに対するリスペクトが薄れているようにも見える。社会現象となるほどのヒットも、相当な話題性や大がかりなメディアミックスがなければ成り立たなくなっているようだ。
ただ、これまでのようなある種の“バカバカしさ”がまったくなくなるのも、どこかさみしい。そんな中、オリエンタルラジオ(RADIO FISH名義)の「PERFECT HUMAN」が、配信のみで大ヒットしていることは興味深く、あらたな展開を予感させるものがある。そろそろ、「え!あの人が歌手デビュー!?」といった、新鮮な“驚き”や“プレミアム感”を与えてくれる有名人の歌手デビューを見てみたいものだ。
◆人気のバロメーターだった“歌手デビュー” 各界の人気者が名を連ねる
畑違いから歌手デビューの系譜で言えば、その規模から見ても80年代漫才ブームによるお笑いタレントたちの例が典型的だろう。それほど歌唱力の高くない明石家さんまも、「アミダばばあの唄」(1983年)のようなコミカルな歌こそあったが、人気が不動のものとなると「真っ赤なウソ」(1987年/詞・曲:高見沢俊彦)をはじめ、人気アーティストによる楽曲を次々とリリースするようになる。
ちなみに、同時期に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)では、同番組MCのタモリが大ファンだという吉永小百合の「奈良の春日野」(シカのフンの歌詞で話題)をさんまがギャグで発掘し、再ヒットさせているが、そもそも吉永小百合と言えば、女優としてブレイクすると同時に歌手デビューし、大ヒットを記録したいわば正統派とも言える存在である。
ほかにも、ビートたけしの一連の楽曲、ダウンタウンの浜田雅功(H Jungle with t)の「WOW WAW TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」(1995年)が200万枚超えの大ヒット、有吉弘行が在籍していた猿岩石の「白い雲のように」(1996年)もミリオンセラーになるなど、お笑いタレントの歌手デビューラッシュはバブル末期過ぎまでエスカレートしていくのだ。
またかつては、吉永小百合のオーソドックスなパターンを継ぐと言えば聞こえはいいが、若手女優が歌手デビューするのも定番で、広末涼子、内田有紀、深田恭子あたりもシングルをリリースし、それなりにヒットしていた。歌手デビューを果たすのは何も芸能人ばかりではない。スポーツ界にも多く、野球界では長嶋茂雄、王貞治、原辰徳、中畑清、掛布雅之、松岡弘、トーマス・オマリー……などなど、人気選手の歌手デビューの例は枚挙にいとまがない。角界でも元大関の増位山など、歌が激ウマであることはあまりにも有名だった(現在は歌手専業)。要するにかつては、歌手デビューができるということは、それが許されるだけの人気を獲得したという、誰もが認める証であったのである。
◆番組企画のキャラクターが“歌手デビュー”で一大ブレイク
そうした流れに変化をもたらしたのが、テレビ番組内のコラボ企画としての歌手デビュー増加だ。『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』からポケットビスケッツ、『ワンナイR&R』(同)のゴリエやくず、『笑う犬の冒険』(同)のはっぱ隊、その他、白鳥美麗、慎吾ママなどがバラエティ番組から誕生し、歌手としても人気を博した。番組内のキャラそのままに歌手デビューするというスタイルを決定づけたのは『クイズ!ヘキサゴン2』(同/2005年)からデビューした “おバカタレント”3人組のユニット「羞恥心」(他番組では同主旨の「悲愴感」もある)、Pabo、遊助(上地雄輔)といったグループや歌手だ。
「ヘキサゴンファミリー」としてアルバム4枚のリリース、コンサートの開催、ついにはNHKの『紅白歌合戦』への出場まで果たし、一大ブームを引き起こした要因はどこにあったのか?
「ひとえに島田紳助さんのプロデュース能力の賜物でしょう。一世を風靡した“おバカタレント”さん(上地雄輔、つるの剛士、里田まい、スザンヌなど)たちも、言ってしまえば、デビューしてしばらくくすぶっていたタレントたちにキャラ付けし、独り立ちさせた結果、歌手デビューまでいったということです。結局、キャラありきで、もっと言えば視聴率のおかげだったんです」(レコード会社営業スタッフ)
◆音楽のネット配信増加 価値薄れる歌手の肩書
そして現在、一般の人たちが当たり前にインターネットで歌を発表する時代になり、楽曲自体もCDではなく配信が中心となった。“歌手”という肩書自体のハードルも格段に下がり、世間の目もいわゆる“ヘキサゴンバブル”が終わった今、歌手デビューに対するリスペクトが薄れているようにも見える。社会現象となるほどのヒットも、相当な話題性や大がかりなメディアミックスがなければ成り立たなくなっているようだ。
ただ、これまでのようなある種の“バカバカしさ”がまったくなくなるのも、どこかさみしい。そんな中、オリエンタルラジオ(RADIO FISH名義)の「PERFECT HUMAN」が、配信のみで大ヒットしていることは興味深く、あらたな展開を予感させるものがある。そろそろ、「え!あの人が歌手デビュー!?」といった、新鮮な“驚き”や“プレミアム感”を与えてくれる有名人の歌手デビューを見てみたいものだ。
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2016/03/06