最近、ネットや各種マスコミで“リア充オタク”という表現を目にする機会が多くなったが、この言葉にちょっと違和感を覚える人も多いのではないだろうか? “リア充”とは「リアル(現実)の生活が充実している」ことで、早い話が、ちゃんと働いて彼女・彼氏がいるような人間のこと。一方の“オタク”は、「特定の分野・物事にしか興味がなく、その事には異常に執着するが社会性には欠ける人」で、仲間を二人称で「おたく(御宅)」と呼んだことが語源。つまりある意味、対極にあるものをくっつけたのが“リア充オタク”という言葉なのだが、近年オタクに対するイメージが変化したことで、“リア充”との共存関係が成り立つという論調が活発になってきた。
◆ジャンルの多様化と女性を取り込んだことで暗いイメージから脱却
今回ORICON STYLEでは、“オタク”について10代〜50代の男女500人にアンケート調査を実施。「あなたは自分がオタクと思いますか?」という質問には、44.6%の人がYESと答え、ほぼ半数近くが自分をオタクと自認。理由としては、「大好きなアイドルグループに他のものは、何も見えず熱中しているから」(大阪府/20代/女性)、「美容、ダイエットオタだから」(東京都/30代/女性)、「アニメや漫画、ゲームが好きだから」(群馬県/20代/男性)など、10代、20代の女性はアイドル好きを自覚している傾向が強く、30代以上になるとアイドル以外の趣味がそれぞれ増えてくる。男性は、定番のアニメやゲームのほか、鉄道、モデルガン、競馬、音楽、映画などの“マニア”が多いようだ。
当然、NOと答えた人が55.4%いるわけだが、そのほとんどは「こだわりがない」(神奈川県/10代/女性)、「趣味がない」(大阪府/30代/男性)とのこと。それでも1990年代に比べると、堂々とオタクを自称する人間が増えてきたことは間違いないと思われる。その背景には、アニメやマンガなどのいわば“アキバ文化”こそが、日本が海外に誇れる文化とする認識が定着してきたことがある。2010年には、民主党政府もそれを「クールジャパン」として散々アピールしていた。
また、かつてはオタクも多種多様なジャンル、現在で言えば、「ラブライブ!」=アイドルオタク、「ガールズ&パンツァー」=戦車オタク、「刀剣男子」=日本刀マニア転じて美少年萌え、などとオタク文化の1ジャンルに分類されていたが(当然異論もアリ)、それぞれが社会現象になるほどのブームになったおかげで、特に“特定の分野・物事”というわけでもなくなり、社会的にも広く認識されるようになったのである。
◆6割以上がオタクに「マイナスイメージなし」
それを裏づけるように、「オタクという言葉にマイナスイメージを持ちますか?」との問いには65.8%の人がNO、つまりマイナスイメージはないと答えたのである。相変わらず、「少し怖いイメージがある」(埼玉県/10代/女性)というように、男女ともに「気持ち悪い」「ゆがんでいる」「自己顕示欲が強い」とのネガティブなイメージを抱いている人もいるが、6割以上は、「その分野に精通している」(東京都/10代/女性)、「定着した」(大阪府/20代/男性)として、「個性的」「文化を支えてる」「人それぞれあってよい」「まわりにいっぱいいる」など、オタクを個性、文化として認めているのである。
女性のオタクを指す言葉に“腐女子”というものがあったが、美少年ゲームなどが一般化するうちに、今では珍しくなくなり、もはや“普女子”と言うべきかもしれない。もともと“オタク”は、マニアックな男性のほうのイメージが強く、女性は単に“熱中”していることを指す場合が多かった。加えて、アイマス(ゲーム『アイドルマスター』)やラブライブの影響で女性ファンも増え、コミケもアニメ好きの女性オタクが来場しやすいイベントとして定着している。今回のアンケートでも、男性の36.8%がオタクと答えたのに対し、女性は何と52.4%と過半数を超えているのだ。もはや女性がオタクを語ることはマイナスではなくなったのである。
◆オタクを自称する人の約半数が“リア充”でもあると回答
そして、最後の「あなたはリア充オタクですか?」との質問には、44.4%の人がYESと答えた。「切り替えをしっかりしてる」(愛知県/10代/女性)、「恋人がいるから」(石川県/20代/女性)などが主な理由だが、特に20代以上は男女ともに、オタクでありながら「結婚して子どもがいる」ことをもって“リア充オタク”としている人が多かった。逆にNOと答えた人たちは、彼女・彼氏がいない人たちがほとんど。簡単に言えば、彼女・彼氏もいて、それなりのオタクである、と自負している人間が約半数もいるということだ。
「かつては“モテモテだけど実はオタク”という設定のマンガやアニメがよくありました。でも今は“オタクだけどモテモテ”という時代なんです。リア充オタクが発生したきっかけとしては、各種メディアを巻きこんだ『電車男』(2004年〜)の大ブームが大きかったですね」(マンガ・アニメの原作者)。
一方で、「大好きなアイドルグループを応援しているだけで幸せだから」(大阪府/20代/女性)、「趣味もリアルな世界」(三重県/50代/男性)という、オタク生活=充実とする“リア充オタク”の声もあった。つまり、“リア充”と“オタク”は共存だけでなく、融合もなされるようになったということだ。
オタク文化の成長・一般化の原動力として、“社会性に欠けていた”先輩オタクたちの「自分の好きなジャンルを社会に認めさせたい」という願望やコンプレックスもあったに違いない。オタク文化が認められつつある今、特にコンプレックスもなく、好きなように生き、好きなものに熱中できる“リア充オタク”が増えていくとすれば、これまでにない新たな文化の潮流が社会に生み出されてくる可能性もあるのだ。
【調査概要】
調査時期:2016年2月5日(金)〜2月11日(木)
調査対象:合計500名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代〜50代の女性)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
◆ジャンルの多様化と女性を取り込んだことで暗いイメージから脱却
今回ORICON STYLEでは、“オタク”について10代〜50代の男女500人にアンケート調査を実施。「あなたは自分がオタクと思いますか?」という質問には、44.6%の人がYESと答え、ほぼ半数近くが自分をオタクと自認。理由としては、「大好きなアイドルグループに他のものは、何も見えず熱中しているから」(大阪府/20代/女性)、「美容、ダイエットオタだから」(東京都/30代/女性)、「アニメや漫画、ゲームが好きだから」(群馬県/20代/男性)など、10代、20代の女性はアイドル好きを自覚している傾向が強く、30代以上になるとアイドル以外の趣味がそれぞれ増えてくる。男性は、定番のアニメやゲームのほか、鉄道、モデルガン、競馬、音楽、映画などの“マニア”が多いようだ。
当然、NOと答えた人が55.4%いるわけだが、そのほとんどは「こだわりがない」(神奈川県/10代/女性)、「趣味がない」(大阪府/30代/男性)とのこと。それでも1990年代に比べると、堂々とオタクを自称する人間が増えてきたことは間違いないと思われる。その背景には、アニメやマンガなどのいわば“アキバ文化”こそが、日本が海外に誇れる文化とする認識が定着してきたことがある。2010年には、民主党政府もそれを「クールジャパン」として散々アピールしていた。
また、かつてはオタクも多種多様なジャンル、現在で言えば、「ラブライブ!」=アイドルオタク、「ガールズ&パンツァー」=戦車オタク、「刀剣男子」=日本刀マニア転じて美少年萌え、などとオタク文化の1ジャンルに分類されていたが(当然異論もアリ)、それぞれが社会現象になるほどのブームになったおかげで、特に“特定の分野・物事”というわけでもなくなり、社会的にも広く認識されるようになったのである。
◆6割以上がオタクに「マイナスイメージなし」
それを裏づけるように、「オタクという言葉にマイナスイメージを持ちますか?」との問いには65.8%の人がNO、つまりマイナスイメージはないと答えたのである。相変わらず、「少し怖いイメージがある」(埼玉県/10代/女性)というように、男女ともに「気持ち悪い」「ゆがんでいる」「自己顕示欲が強い」とのネガティブなイメージを抱いている人もいるが、6割以上は、「その分野に精通している」(東京都/10代/女性)、「定着した」(大阪府/20代/男性)として、「個性的」「文化を支えてる」「人それぞれあってよい」「まわりにいっぱいいる」など、オタクを個性、文化として認めているのである。
女性のオタクを指す言葉に“腐女子”というものがあったが、美少年ゲームなどが一般化するうちに、今では珍しくなくなり、もはや“普女子”と言うべきかもしれない。もともと“オタク”は、マニアックな男性のほうのイメージが強く、女性は単に“熱中”していることを指す場合が多かった。加えて、アイマス(ゲーム『アイドルマスター』)やラブライブの影響で女性ファンも増え、コミケもアニメ好きの女性オタクが来場しやすいイベントとして定着している。今回のアンケートでも、男性の36.8%がオタクと答えたのに対し、女性は何と52.4%と過半数を超えているのだ。もはや女性がオタクを語ることはマイナスではなくなったのである。
◆オタクを自称する人の約半数が“リア充”でもあると回答
そして、最後の「あなたはリア充オタクですか?」との質問には、44.4%の人がYESと答えた。「切り替えをしっかりしてる」(愛知県/10代/女性)、「恋人がいるから」(石川県/20代/女性)などが主な理由だが、特に20代以上は男女ともに、オタクでありながら「結婚して子どもがいる」ことをもって“リア充オタク”としている人が多かった。逆にNOと答えた人たちは、彼女・彼氏がいない人たちがほとんど。簡単に言えば、彼女・彼氏もいて、それなりのオタクである、と自負している人間が約半数もいるということだ。
「かつては“モテモテだけど実はオタク”という設定のマンガやアニメがよくありました。でも今は“オタクだけどモテモテ”という時代なんです。リア充オタクが発生したきっかけとしては、各種メディアを巻きこんだ『電車男』(2004年〜)の大ブームが大きかったですね」(マンガ・アニメの原作者)。
一方で、「大好きなアイドルグループを応援しているだけで幸せだから」(大阪府/20代/女性)、「趣味もリアルな世界」(三重県/50代/男性)という、オタク生活=充実とする“リア充オタク”の声もあった。つまり、“リア充”と“オタク”は共存だけでなく、融合もなされるようになったということだ。
オタク文化の成長・一般化の原動力として、“社会性に欠けていた”先輩オタクたちの「自分の好きなジャンルを社会に認めさせたい」という願望やコンプレックスもあったに違いない。オタク文化が認められつつある今、特にコンプレックスもなく、好きなように生き、好きなものに熱中できる“リア充オタク”が増えていくとすれば、これまでにない新たな文化の潮流が社会に生み出されてくる可能性もあるのだ。
【調査概要】
調査時期:2016年2月5日(金)〜2月11日(木)
調査対象:合計500名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代〜50代の女性)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
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2016/02/23