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INSPi奥村伸二、がん病状初告白 5年ぶり新曲で歌唱復帰

 6人組アカペラグループ・INSPiが5年ぶりに発売するシングル「エンターテイナー」(来年1月6日発売)のレコーディングに、有棘(ゆうきょく)細胞がんのため休養していた奥村伸二(36)が参加したことが明らかになった。今年6月9日、公式ブログでがんの摘出手術が成功したことを発表したまま沈黙を続けていた奥村が、メンバーとともにORICON STYLEのインタビューに応じ、病状を初めて告白した。

奥村伸二(前列中央)がレコーディングに復帰し6人そろったINSPi

奥村伸二(前列中央)がレコーディングに復帰し6人そろったINSPi

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■手術後の方が「めちゃめちゃ歌いやすい(笑)」

 「発症したのは2月中旬くらいだったか。鼻にニキビのようなものができて、市販薬を塗っていたんですけど治らなくて。メンバーの北(剛彦)に『体の中心にできるデキモノは危ないから注意したほうがいいよ』と言われて。決定的だったのは、握手会でファンの方に『それ危ないから病院に行ったほうがいいです』って言われたこと。自分では毎日見ているのでそんなに危機感はなかったんですけど、ファンの方に言われてハッとなりました」

 町医者では単なるデキモノと診察され、抗生物質を2週間服用したものの治らず、4月初旬に大学病院で検査した。デキモノはまたたく間にコブのような大きさなっていったといい、「がんはこんな速さで大きくならないので、多分違う」との診断。ライブでは「大人ニキビです」とごまかしていたと言うが、再検査したところ5月22日にがんを告知され、6月2日に切除手術を受けた。不思議と大きなショックはなかったというものの、「ショックを後回しにしているのかもしれない」とも自己分析する。

 「切除してしまえば終わりのがんなんですけど、30代でなるがんではないし、こんな勢いで大きくなるものではないらしい。イレギュラーなことが多く、再発の可能性があるので、再発したときにすぐにわかるように患部を開けっ放しにしてあるんです。まだ自分の中では終わっていないというか、多分一生続くと思う。だからまだ、ショックを受けるのは後回しにし続けているんだと思うんです」

 患部はガーゼで覆われているが、鼻の右半分がない状態。呼吸器とあり、声だけで音楽を奏でるアカペラグループのボーカリストにとって影響はないのか聞くとアハハと笑う。

 「声って声帯を息で震わせる動作なんですが、鼻の穴は下を向いているので一回上がった息が下に行ってしまう。でも、僕はいま、右半分の鼻がないので、声帯を通った息がそのまま上に抜けてくれるからめちゃめちゃ歌いやすいんです(笑)。はじめは声を出すのはちょっと怖かったんですが、病院の屋上で歌ってみたら、“おお、声が出しやすいぞ”と」

 歌唱には支障はないものの、手術で全身麻酔をしてからは近所に買い物に行くだけで疲れてしまうほど体力が落ちたという。鼻の再建手術もあり、ステージ復帰の時期は未定だが、まずは「いち早く元気な声を届けよう」と新曲のレコーディングに参加した。

■「歌声で感謝の気持ちを返していけたら」

 5年ぶりのシングルリリースにあたってメンバーそれぞれが曲を書き、50曲ほどの候補の中から大倉智之が作詞作曲した「エンターテイナー」に決まった。奥村が病気療養を通して得たものを楽曲に託した大倉は「伸二はがんの体験を前向きにとらえて、生きることを楽しもう、明日に活かそうとしている。それが“生命がダンス”しているように感じて」と説明。奥村は「僕が体験したことを話したことで、大倉やメンバーがこんなふうに感じたんだなというのが面白かった」と言う。

 「『エンターテイナー』は、人生は一本道。ゴールを目指してひたすら頑張るのもいいけど、歩いていること自体も楽しいことだし、立ち止まってダンスしたっていいじゃんという曲。僕が思っていることと全く同じなので、気持ちが共有できてよかったなと思います。いま、何かかと戦っている人、頑張っている人に向けた応援歌なんです。病気に限らず、突然自分の人生が望まない形に変わってしまうことって、誰にでもあると思うんです。今は苦しいかもしれない。けれどその時に頑張った経験が、将来の自分を輝かせるかもしれない。その頑張っている姿が、いつか誰かの勇気に変わるかもしれない。この曲を聴いた人が明日からまた頑張ろう、そんな気持ちになってくれたらとてもうれしいです」

 奥村が休養後、メンバーは1本も仕事を飛ばすことなく、奥村のパートやアレンジを代えて活動を継続してきた。9月にカップリング曲「ドミソはハーモニー」(NHK「みんなのうた」12月〜16年1月期)、今月上旬に表題曲を6人でレコーディングしたときは「感動的だった」と渡邊崇文らメンバーは口をそろえる。吉田圭介は「しびれましたね。5人だと表現できなかったりハモらなかったりする部分が、6声そろうと和声がちゃんと鳴るんです」と興奮。北剛彦も「改めて、“あ、これだよね”という感覚」が一気に蘇ったという。

 リーダーの杉田篤史は「伸二は『この木なんの木』のCM曲でもリードを取っていて、INSPiの看板みたいな声なんです。だから伸二が休養するとなって、正直、活動を休止せなあかんかもなっていう思いもあった」と回顧する。「でも、今から手術に向かう伸二が、僕らがどういう選択をしたら勇気がわくかなと考え、活動を続けて、INSPiという帰ってくる場所を存在させることが、ちょっとした元気の素になればいいなと思って」と明かした。

 メンバーの思いを受けた奥村は「僕も急に病気になったけど、メンバーも急にメンバーがいなくなって、僕より大変だったんじゃないかと。苦労かけたなという気持ちがあります」と気遣う。ファンに向けても「何の情報も公にしていなくて、患部がどこかも知らない状況なので、不安が膨らんでいるんじゃないかなと思う。申し訳ない気持ちと、でも同時に応援してくれてありがとうという気持ちもすごくありますね 」と話す。

 「今回は音源での参加ですが、将来的にはライブで復帰したいと思っています。何よりも歌声で感謝の気持ちを返していけたら」。6人でのライブを目標に、まずは新曲で元気な声を届ける。

INSPi公式サイト

関連写真

  • 奥村伸二(前列中央)がレコーディングに復帰し6人そろったINSPi
  • 5年ぶりのシングル「エンターテイナー」を来年1月6日に発売するINSPi(写真左から)北剛彦、吉田圭介、大倉智之、杉田篤史、渡邊崇文、奥村伸二 (C)ORICON NewS inc.
  • INSPi5年ぶりのシングル「エンターテイナー」ジャケット写真

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