タレントの武井壮が、東京・専修大学にて開催された“お金”を中心にした若者たちの疑問に関する公開収録イベント『オトナの学校』に特別講師として登壇。“オトナの育て方”をテーマに熱弁を振るった。

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◆芸能界に入る前のアスリート時代の年収は…

　約200名の参加者たちで埋まった会場で、大きな拍手で迎えられた武井。少し緊張した様子を見せながらも「42歳になった今も短パンを履いているし、まだまだオトナになりきれていません」といきなり笑いを誘い、「アスリート時代は日本チャンピオンになったにも関わらず、年収100〜200万円だったんです。それが芸能界に入ってから収入が2桁あがって“収入もオトナ”になってきまして……なんかやらしい話ですみません（笑）」と赤裸々に告白して講義をスタート。

　武井は、家庭環境が複雑で貧乏だったことから学費免除のために勉強に打ち込んだ学生時代や、心の支えとなった得意のスポーツで生きていこうと決めた自身のルーツにまで言及。“オトナになったら好きなことだけで生きていく”をモットーに決めた武井は、10年間スポーツに打ち込んだが、厳しい現実に直面したといい、「陸上の十種競技の日本チャンピオンにまでなったのに、僕のことを誰も知らない。それはお金を稼ぐことにも全く繋がらなかったんです」。

　さらに武井は続ける。「スポーツはギャンブル。10年間一生懸命がんばってもそれが結果的に1円にもならないことのほうが多いんです」と、シビアなスポーツ界の問題を提起し、「どんな仕事でも趣味でも夢でも、それを誰かが必要としなかったら価値がないんです。世の中で価値のあるものは何かということを学んできました。武井壮という人間が思ったことを行動に移して、そこに社会的価値が生まれて、生活していけるようになりたいともがいていました」と逆境の日々を明かした。

◆家がなくて車中生活した31〜39歳までの8年間

　メディア露出が増えだした頃、車中生活をしていたことが話題になった武井だが、これも伏線だった。「31歳から39歳まで8年間、家が無かったんです。当時、ある芸能人の方と出会って、タレントさんたちと一緒にお店に行ったりすると、同席した人たちがみんな笑顔になったり楽しそうにしていたのが衝撃的。そのときに、人が求めていることはこういうことだな、と。そこから、ただ成功したいという思いでやっていたスポーツを変えていこうと考えました。武井壮がやっているスポーツはおもしろそうだから見たいと思ってもらえるようになりたい」と、転機を語る。

　まずはトーク術を向上させるためにライフスタイルを一変し、「家を持たずに西麻布のバーへ通い、毎日そこに来る芸人さんたちとおしゃべりして、その会話をICレコーダーに録音して、車の中で聴いて、トーク術やおしゃべりの間などを覚えていった」と、8年間の修業の日々を振り返った。

　スポーツ一本だった武井はタレントへ転身し、“百獣の王を目指す男”として一躍話題に。今では多くのテレビ番組出演のほかに、スポーツ界を盛り上げる一役を担うほどにまで上り詰めた。また、今年フランスで行われた世界マスターズ陸上で金メダルを獲得したというニュースが大々的に広まったのも記憶に新しく、同陸上大会に“価値”を生んだのは、まさに武井の努力のたまものだ。

　1時間に及ぶ講義終了後、ORICON STYLEのインタビューに応じた武井は「クオリティを高めて宝石にしても、たくさんの人に求められないと意味がないんです。この先、僕のことを羨むアスリートが出てきて、スポーツの価値を広めてくれるスターが出てきてくれたらうれしいです」とスポーツ界の展望を語る。武井自身は今後、「ゴルフとボーリングとビリヤードのプロの資格を取ろうと思っています」と明かし「そんな人、今までいないでしょ？　どんなに仕事が忙しくても、毎日欠かさず1時間トレーニングをして1時間勉強することには、とても価値があるんだいうことを知って欲しい」と笑みを浮かべていた。

　なお、この日の武井の講義の模様はTBS系『オトナの！』（11月18日深夜2:01〜）で放送。武井のほか、株式会社カラーズ・経沢香保子代表取締役、プロミス名古屋お客様サービスプラザ・江川孝志プラザ長、ロケットベンチャー株式会社・龍川誠代表取締役、作家でブロガーのはあちゅうも登壇した。