最近、漫画、アニメ、ゲームの舞台化が相次いでいる。2次元の世界を、実在の人間たちが3次元で再現した舞台作品は「2.5次元」という造語を生み出し、公演数も急増中だ。特に、今秋は新作、シリーズ作ともタイトルが目白押し。あれもこれも舞台化されて、大丈夫なの?
■デビュー前のSMAPから始まる「2.5次元」の歴史
宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』を別として、昨今の2次元の舞台化作品の歴史をたどっていくと、デビュー前のSMAPを起用し、1991年に舞台化(ミュージカル化)された『聖闘士星矢』にたどりつく。以降、1993年初演の『美少女戦士セーラームーン』(通称:セラミュ)は、現在まで脈々と上演され続け、『セーラームーン』ブランドの定着に貢献した。
もっとも成功しているのは、「テニミュ」と呼ばれる『ミュージカル・テニスの王子様』だ。2003年の初演からキャスト交代を繰り返し、原作のさまざまなエピソードを舞台化して、今年3月に累計動員数200万人を突破した。ビジネスモデルとしても、内容的にも一つの頂点を極めたといっていい。
今秋は、『セラミュ』や『テニミュ』のように全国ツアーや海外進出を果たし、グッズ販売でも利益を生み出す作品を目指す、その道のりを歩み始めたタイトルが目白押しなのだ。
■劇場は異種ファンが集まるプロモーションの場
東京・新宿で今月1日から12日まで上演されていた『魔劇「今日から(マ)王!」〜魔王再降臨〜』は、13年の初演から約2年半ぶりにシリーズ2作目となる公演を成功させ、一つステップアップした。同作は、喬林知氏の著、松本テマリ氏のイラストによるライトノベル(角川ビーンズ文庫)が原作で、04年にNHKでアニメ化、松本氏により漫画化もされている。「まるマシリーズ」と呼ばれる人気作品だ。
原作からまるでキャラクターが飛び出してきたかのような衣装やメイクでキャラクターを再現し、ダンスや歌、アクション、映像も駆使した臨場感あふれる演出で作品の世界観を表現。続編ができるということは、原作ファンや舞台ファンに認められた証(あかし)だ。
劇場内で話を聞いた10代の女性は、静岡から一人、日帰りで観に来たという。「続編が上演されると知って、久しぶりに“まるマ”の世界に浸れる、絶対観たいと思いました」。席を隣り合わせた人とLINEのIDを交換し、「周りに『まるマ』のファンがいなかったので、作品のことを語る相手ができてうれしい」と話していた。
この女性は原作ファンだったが、俳優目当てのファンも少なくない。中学生の娘を連れて観に来ていた40代の女性は、「2.5次元」作品にも数多く出演している俳優・小谷嘉一のファンだった。D-BOYSが好きな娘さんに付き添って『ミュージカル・テニスの王子様』を観に行ったのがきっかけで、青学2代目キャストの一人、小谷のファンになった。以来、小谷が出演する舞台をできる限り追っかけているという。「舞台を観に行く前に、原作の漫画を読んだり、その作品について調べたりするようにしています。そうしないと、原作のファンに失礼かなと思うし、どういうお話か知っていたほうが舞台も楽しめるから」と、ファン心理を語ってくれた。
舞台作品の良さは、劇場で人にもキャラクターにも作品にも出会うことができるところだ。俳優のファンだった人が、それまで触れたことのない作品と出会ってファンになることもある。これは、作品のプロモーションの場としても魅力的だ。2次元原作の舞台化急増の要因の一つと言えるだろう。
漫画の連載が終わっても、アニメの放送が終わっても、舞台化することによって作品を知ってもらい、ファンになってもらうチャンスが生まれる。あわよくば、『テニミュ』のように再演に再演を重ねて、長きにわたって愛されるコンテンツに成長すればめっけものだ。
舞台制作の関係者によると「映画やドラマの映像作品にするより、コスト管理がしやすい」ことも舞台化が選ばれる要因。採算性を考えた演出、上映期間、劇場で興行をすれば、大失敗することもない。また、若手俳優の活躍の場としても注目されている。前出の関係者は「求められるのは、演技力はもちろんのこと、キャラクターのビジュアルや雰囲気をうまく再現できるかどうか。有名無名は関係ない。そういうことからも『テニミュ』もそうですが、若手キャストの登竜門になりやすいんです」。
今秋は、瞬く間に人気を得た『刀剣乱舞』や『BIOHAZARD』、『攻殻機動隊ARISE』、『ハイキュー!!』、『スーパーダンガンロンパ2』、『アルカナ・ファミリア』などの舞台化作品が、主に東京で上演される。作品名や出演者に少しでも興味があるのなら劇場に足を運んでみるといい。何らかの「共感」や「感動」、新しい「出会い」があるかもしれない。
■注目の2.5次元タイトル(※日程は東京公演のもの)
10月22〜25日 舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR〜2つの頂上〜
10月22日〜11月1日 『BIOHAZARD THE STAGE』
10月30日〜11月3日 『ミュージカル・テニスの王子様3rdステージ 青学vs聖ルドルフ』東京凱旋
10月30日〜11月8日 『刀剣乱舞』トライアル公演
10月31日〜11月8日 舞台『逆転裁判2 〜さらば、逆転〜』
11月5日〜15日 『攻殻機動隊ARISE』
11月11日〜15日 舞台版『レーカン』
11月12日〜17日 なかよし60周年記念公演 ミュージカル『リボンの騎士』
11月14日〜23日 ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』
11月18日〜23日 『青春−AOHARU−鉄道』
11月20日〜29日 『死刑執行中脱獄進行中』
11月21日〜29日 ミュージカル『黒執事』−地に燃えるリコリス2015−
12月3日〜13日 『スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜』
12月11日〜20日 『薄桜鬼〜sweet school life〜』
12月18日〜27日 残酷歌劇『ライチ☆クラブ』
12月24日〜29日 『MUSICAL ヘタリア』
1月5日〜24日 『花より男子 The Musical』
1月15日〜21日 『神様はじめました THE MUSICAL♪2016』
1月16日〜24日 『ハートの国のアリス THE MUSICAL』
1月20日〜27日 『アルカナ・ファミリア』
1月21日〜31日 『戦国BASARA 皇』
■デビュー前のSMAPから始まる「2.5次元」の歴史
宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』を別として、昨今の2次元の舞台化作品の歴史をたどっていくと、デビュー前のSMAPを起用し、1991年に舞台化(ミュージカル化)された『聖闘士星矢』にたどりつく。以降、1993年初演の『美少女戦士セーラームーン』(通称:セラミュ)は、現在まで脈々と上演され続け、『セーラームーン』ブランドの定着に貢献した。
もっとも成功しているのは、「テニミュ」と呼ばれる『ミュージカル・テニスの王子様』だ。2003年の初演からキャスト交代を繰り返し、原作のさまざまなエピソードを舞台化して、今年3月に累計動員数200万人を突破した。ビジネスモデルとしても、内容的にも一つの頂点を極めたといっていい。
今秋は、『セラミュ』や『テニミュ』のように全国ツアーや海外進出を果たし、グッズ販売でも利益を生み出す作品を目指す、その道のりを歩み始めたタイトルが目白押しなのだ。
■劇場は異種ファンが集まるプロモーションの場
東京・新宿で今月1日から12日まで上演されていた『魔劇「今日から(マ)王!」〜魔王再降臨〜』は、13年の初演から約2年半ぶりにシリーズ2作目となる公演を成功させ、一つステップアップした。同作は、喬林知氏の著、松本テマリ氏のイラストによるライトノベル(角川ビーンズ文庫)が原作で、04年にNHKでアニメ化、松本氏により漫画化もされている。「まるマシリーズ」と呼ばれる人気作品だ。
原作からまるでキャラクターが飛び出してきたかのような衣装やメイクでキャラクターを再現し、ダンスや歌、アクション、映像も駆使した臨場感あふれる演出で作品の世界観を表現。続編ができるということは、原作ファンや舞台ファンに認められた証(あかし)だ。
劇場内で話を聞いた10代の女性は、静岡から一人、日帰りで観に来たという。「続編が上演されると知って、久しぶりに“まるマ”の世界に浸れる、絶対観たいと思いました」。席を隣り合わせた人とLINEのIDを交換し、「周りに『まるマ』のファンがいなかったので、作品のことを語る相手ができてうれしい」と話していた。
この女性は原作ファンだったが、俳優目当てのファンも少なくない。中学生の娘を連れて観に来ていた40代の女性は、「2.5次元」作品にも数多く出演している俳優・小谷嘉一のファンだった。D-BOYSが好きな娘さんに付き添って『ミュージカル・テニスの王子様』を観に行ったのがきっかけで、青学2代目キャストの一人、小谷のファンになった。以来、小谷が出演する舞台をできる限り追っかけているという。「舞台を観に行く前に、原作の漫画を読んだり、その作品について調べたりするようにしています。そうしないと、原作のファンに失礼かなと思うし、どういうお話か知っていたほうが舞台も楽しめるから」と、ファン心理を語ってくれた。
舞台作品の良さは、劇場で人にもキャラクターにも作品にも出会うことができるところだ。俳優のファンだった人が、それまで触れたことのない作品と出会ってファンになることもある。これは、作品のプロモーションの場としても魅力的だ。2次元原作の舞台化急増の要因の一つと言えるだろう。
漫画の連載が終わっても、アニメの放送が終わっても、舞台化することによって作品を知ってもらい、ファンになってもらうチャンスが生まれる。あわよくば、『テニミュ』のように再演に再演を重ねて、長きにわたって愛されるコンテンツに成長すればめっけものだ。
舞台制作の関係者によると「映画やドラマの映像作品にするより、コスト管理がしやすい」ことも舞台化が選ばれる要因。採算性を考えた演出、上映期間、劇場で興行をすれば、大失敗することもない。また、若手俳優の活躍の場としても注目されている。前出の関係者は「求められるのは、演技力はもちろんのこと、キャラクターのビジュアルや雰囲気をうまく再現できるかどうか。有名無名は関係ない。そういうことからも『テニミュ』もそうですが、若手キャストの登竜門になりやすいんです」。
今秋は、瞬く間に人気を得た『刀剣乱舞』や『BIOHAZARD』、『攻殻機動隊ARISE』、『ハイキュー!!』、『スーパーダンガンロンパ2』、『アルカナ・ファミリア』などの舞台化作品が、主に東京で上演される。作品名や出演者に少しでも興味があるのなら劇場に足を運んでみるといい。何らかの「共感」や「感動」、新しい「出会い」があるかもしれない。
■注目の2.5次元タイトル(※日程は東京公演のもの)
10月22〜25日 舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR〜2つの頂上〜
10月22日〜11月1日 『BIOHAZARD THE STAGE』
10月30日〜11月3日 『ミュージカル・テニスの王子様3rdステージ 青学vs聖ルドルフ』東京凱旋
10月30日〜11月8日 『刀剣乱舞』トライアル公演
10月31日〜11月8日 舞台『逆転裁判2 〜さらば、逆転〜』
11月5日〜15日 『攻殻機動隊ARISE』
11月11日〜15日 舞台版『レーカン』
11月12日〜17日 なかよし60周年記念公演 ミュージカル『リボンの騎士』
11月14日〜23日 ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』
11月18日〜23日 『青春−AOHARU−鉄道』
11月20日〜29日 『死刑執行中脱獄進行中』
11月21日〜29日 ミュージカル『黒執事』−地に燃えるリコリス2015−
12月3日〜13日 『スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜』
12月11日〜20日 『薄桜鬼〜sweet school life〜』
12月18日〜27日 残酷歌劇『ライチ☆クラブ』
12月24日〜29日 『MUSICAL ヘタリア』
1月5日〜24日 『花より男子 The Musical』
1月15日〜21日 『神様はじめました THE MUSICAL♪2016』
1月16日〜24日 『ハートの国のアリス THE MUSICAL』
1月20日〜27日 『アルカナ・ファミリア』
1月21日〜31日 『戦国BASARA 皇』
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2015/10/14