月刊漫画誌『アフタヌーン』(講談社)で連載されていた田丸浩史氏の人気ギャグ漫画『ラブやん』が、5月25日に発売された同誌で最終回を迎えた。15年間連載された『ラブやん』は、同誌の現連載陣の中では最長作。7月23日には、最終巻となるコミックス22巻が発売される。ORICON STYLEでは田丸氏にインタビューを敢行し、連載を終えた心境やギャグ漫画にかける思い、そして次回作について聞いた。
■最終話はいつものテンションと変わらず
同作は、無職のダメ男・大森カズフサの恋を成就させようと、愛の天使・ラブやんが奮闘する物語。2000年8月に『アフタヌーン シーズン増刊』に読み切りとして掲載され、好評を受け連載化。掲載誌の休刊に伴い、03年からは『アフタヌーン』に移籍していた。
連載終了後、コミックス最終巻の描き下ろしなどを終え「ようやく、『あっ、終わったんだ』と実感がわいてきました」と田丸氏。最終話が世に出て、「好意的な反応が多かったので、ありがたいなと思いました。最終話は、バッドエンドにするはずだと思われていたようなので(笑)」。
田丸氏の作品にはバッドエンドも多いが、そこにこだわりがあるわけではない。「僕は読者の方から『バッドエンドにするはずだ』と思われているようで、すごく不満ではあるのですが…。でも、自分の作品を読み返して、そう言われても仕方がないな、とも思います」。
『ラブやん』に関しては、途中からハッピーエンドを描こうと決めていたといい「さすがに長いこと続いたので2年くらい前から終わろうかという話が出ていました。着陸地点を決めて、そこに向けて潰していかなければいけないことを全部潰していきましたね」。読者からは「2人が結ばれてよかった」との声もあったが、「がっかりした」との意見も。作者として「まぁ、カズフサが幸せになるかどうかの話なので、ということで」と笑う。
『アフタヌーン』の最長期連載作だったことについては、「それ以前から連載されていた作家さんがたくさんおられるので、全然そういう気にはなれなかったです。(同誌で連載されていた)『ああっ女神さまっ』(著:藤島康介)は26年ですし…。とてもそこまでは」と特には意識していない様子。
最終話を書き終えた瞬間も「(原稿が)白いけどこれで許してという感じ。いつもとテンションと変わらずです」と意外にもあっさりで、15年間で1番苦労したことを聞いても「ん〜。あんまりなかったですかねぇ。カズフサ自体、プー太郎でずっと家にいるという自由度の高い設定だったので。でも、連載を終えてから、髪の毛の量は減っているなとか、原稿の線が細くなっているなとか。いかに手抜きをするかということは覚えましたよ」と笑った。
■ギャグ漫画は「最初にオチを決めない」
デビュー以来、ギャグ漫画を発表し続けているが、漫画家では、ながいけん氏に影響された。「『神聖モテモテ王国』などのギャグ漫画は、昔はギザギザの吹き出しで、勢いで乗り切るところが多かったのですが、そうではなく、スピード感を極力殺した作品で。出会って『こういうやり方もあるのか』と影響を受けましたね」と語る。
ギャグ漫画を描くうえで意識することは「最初にオチを決めない」こと。15年間続いた『ラブやん』もオチを決めず連載を貫いてきた。「読者さんに飛ばされずにページをめくってもらえるにはどうすればいいかを考えて、そこから転がしていく。3分の2くらいのところで、ようやくオチを考えるという流れです。後先を考えずに進めるスタイルで、実際にそれで15年やってきたので、何とかなるんだろうと思います(笑)。逆に、1本の筋を考えて書かれている先生方のことが僕にはわからないんですよ」。
『ラブやん』のカズフサは、「ツレの名前」と明かす。作中のネタも、地元・大阪の「ツレ」とのバカ話や、大阪に実在するお店などにヒントに得ていたとか。笑いのセンスは、大阪生まれ・大阪育ならではなのかもしれない。
■次回作は「妖怪もの」
連載終了直後とはいえ、次回作についても気になるところ。「まだ形はできていないのですが、妖怪ものです。小学生男子が主人公で、『ラブやん』ほどではないにしても、多少、品のない感じにしたい。もちろんギャグ漫画です」と明かしてくれた。
きょう23日には『ラブやん』最終巻が発売されたが、「ずるずると終わらない漫画、永遠に続く漫画と思われていたと思いますが、ネタも尽きまして終わってしまいます(笑)。今まで読んでいただき、ありがとうございました」と読者に感謝。22巻には、「ちょろっとしたページ数ですが、描き下ろしもあります。ちゃぶ台は返していませんが(笑)。これからもギャグ漫画しか描きません!」とメッセージを送った。
(文・写真:竹内みちまろ)
■最終話はいつものテンションと変わらず
同作は、無職のダメ男・大森カズフサの恋を成就させようと、愛の天使・ラブやんが奮闘する物語。2000年8月に『アフタヌーン シーズン増刊』に読み切りとして掲載され、好評を受け連載化。掲載誌の休刊に伴い、03年からは『アフタヌーン』に移籍していた。
連載終了後、コミックス最終巻の描き下ろしなどを終え「ようやく、『あっ、終わったんだ』と実感がわいてきました」と田丸氏。最終話が世に出て、「好意的な反応が多かったので、ありがたいなと思いました。最終話は、バッドエンドにするはずだと思われていたようなので(笑)」。
田丸氏の作品にはバッドエンドも多いが、そこにこだわりがあるわけではない。「僕は読者の方から『バッドエンドにするはずだ』と思われているようで、すごく不満ではあるのですが…。でも、自分の作品を読み返して、そう言われても仕方がないな、とも思います」。
『ラブやん』に関しては、途中からハッピーエンドを描こうと決めていたといい「さすがに長いこと続いたので2年くらい前から終わろうかという話が出ていました。着陸地点を決めて、そこに向けて潰していかなければいけないことを全部潰していきましたね」。読者からは「2人が結ばれてよかった」との声もあったが、「がっかりした」との意見も。作者として「まぁ、カズフサが幸せになるかどうかの話なので、ということで」と笑う。
『アフタヌーン』の最長期連載作だったことについては、「それ以前から連載されていた作家さんがたくさんおられるので、全然そういう気にはなれなかったです。(同誌で連載されていた)『ああっ女神さまっ』(著:藤島康介)は26年ですし…。とてもそこまでは」と特には意識していない様子。
最終話を書き終えた瞬間も「(原稿が)白いけどこれで許してという感じ。いつもとテンションと変わらずです」と意外にもあっさりで、15年間で1番苦労したことを聞いても「ん〜。あんまりなかったですかねぇ。カズフサ自体、プー太郎でずっと家にいるという自由度の高い設定だったので。でも、連載を終えてから、髪の毛の量は減っているなとか、原稿の線が細くなっているなとか。いかに手抜きをするかということは覚えましたよ」と笑った。
■ギャグ漫画は「最初にオチを決めない」
デビュー以来、ギャグ漫画を発表し続けているが、漫画家では、ながいけん氏に影響された。「『神聖モテモテ王国』などのギャグ漫画は、昔はギザギザの吹き出しで、勢いで乗り切るところが多かったのですが、そうではなく、スピード感を極力殺した作品で。出会って『こういうやり方もあるのか』と影響を受けましたね」と語る。
ギャグ漫画を描くうえで意識することは「最初にオチを決めない」こと。15年間続いた『ラブやん』もオチを決めず連載を貫いてきた。「読者さんに飛ばされずにページをめくってもらえるにはどうすればいいかを考えて、そこから転がしていく。3分の2くらいのところで、ようやくオチを考えるという流れです。後先を考えずに進めるスタイルで、実際にそれで15年やってきたので、何とかなるんだろうと思います(笑)。逆に、1本の筋を考えて書かれている先生方のことが僕にはわからないんですよ」。
『ラブやん』のカズフサは、「ツレの名前」と明かす。作中のネタも、地元・大阪の「ツレ」とのバカ話や、大阪に実在するお店などにヒントに得ていたとか。笑いのセンスは、大阪生まれ・大阪育ならではなのかもしれない。
■次回作は「妖怪もの」
連載終了直後とはいえ、次回作についても気になるところ。「まだ形はできていないのですが、妖怪ものです。小学生男子が主人公で、『ラブやん』ほどではないにしても、多少、品のない感じにしたい。もちろんギャグ漫画です」と明かしてくれた。
きょう23日には『ラブやん』最終巻が発売されたが、「ずるずると終わらない漫画、永遠に続く漫画と思われていたと思いますが、ネタも尽きまして終わってしまいます(笑)。今まで読んでいただき、ありがとうございました」と読者に感謝。22巻には、「ちょろっとしたページ数ですが、描き下ろしもあります。ちゃぶ台は返していませんが(笑)。これからもギャグ漫画しか描きません!」とメッセージを送った。
(文・写真:竹内みちまろ)
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2015/07/23