夏の風物詩「ロックフェス」に、近年、ある変化が起きている。毎年8月に東京、大阪で開催される「サマーソニック」は、07年にPerfumeがガールズグループとして異例の初出演を果たしたときには衝撃が走ったものだが、ここ数年はアイドルやお笑い芸人が多数出演するなどさらにバラエティに富んだラインアップとなっており、今年は初出演となるTOKIOのステージも大いに盛り上がりを見せた。また、同じく毎年8月に茨城で開催される「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」も今年、多くの女性アイドルグループが出演し、話題となった。

■賛成が反対を上回る結果　パフォーマンスの質やファンのマナーを求める声も

　ジャンルが多様化することに対するロックファンからの反発や、ライブの鑑賞スタイルがネット上で物議を醸すなど、ジャンルの多様化ゆえに賛否を問う声が生まれているのも事実。そこで今回、ORICON STYLEでは、10代から40代の男女を対象に、『アイドルグループがロックフェスに出演することについてどう思いますか？』というアンケート調査を実施。その結果、【賛成】が全体の66.0%と、【反対】を大きく上回る結果となった。

　【賛成】の主なコメントとしては、「お互いに興味がなかったジャンルを知ってもらえる機会になるので、結果的に音楽が盛り上がると思う」（愛知県／10代／女性）、「コンサートに行くのはハードルが高いけど、フェスなら気軽に観られる」（北海道／20代／女性）、「自分の音楽の趣味が広がる機会になる」（東京都／30代／女性）など、ユーザーの音楽嗜好自体がジャンルレスになっている今、新たな音楽と出会える絶好の機会と捉えている人が多かった。

　一方で、基本的には賛成としながらも、「出るからには口パクや当てぶりではなく、きちんとしたパフォーマンスをしてほしい。フェスの価値や質を下げる原因にもなると思うから」（埼玉県／20代／女性）、「基本的にはOK。でも、これは一部ロックファンにも言えることだけど、目当てのグループが出るまで前のほうで“お地蔵さん”になるのはやめてほしい。他の出演者のときも一緒に盛り上げてほしいと思う」（岐阜県／40代／男性）など、パフォーマンスの一定以上のクオリティやファンのマナーを求める声も目立った。

　【反対】の意見に関しては、「『ロックフェス』と銘打っているのなら反対」（千葉県／20代／男性）、「ロックフェスの特色がなくなってしまう」（東京都／30代／女性）、「絶対にダメ！　というわけではないけど、『ロックフェス』じゃなくなるのが残念」（神奈川県／30代／男性）、「集客のみを目的としたものであればやめてほしい」（北海道／20代／男性）など、“ロックフェスのあり方”自体に疑問を投げかけるユーザーが多数を占めている。

■『サマソニ』のTOKIOに集まる称賛

　また、具体的にアーティストに言及したコメントで多かったのが、今年、『サマーソニック』、そして北海道で行われた『JOIN ALIVE』でジャニーズ事務所所属のアーティストとしては初の夏フェス出演を果たしたTOKIOを称賛する声だ。アーティストデビュー当時からバンド形式で活動してきたものの、バラエティ番組での姿や俳優として活躍している印象も強かったため、ロックファンにとってはロックバンドとしてのイメージがなく、実際に当日まで懐疑的な目で見るリスナーも少なくはなかったようだ。しかし、いざ蓋を開けてみると、『サマーソニック』では入場規制がかかり、ラストの「LOVE YOU ONLY」では大合唱、国民的ロックバンドとしての実力をまざまざと見せつけた。「TOKIOの受け入れられ方を見るとアリだと思う」（福岡県／30代／女性）という意見もあり、TOKIOの成功を機にフェスが大きく進化する可能性もありそうだ。

　今回の調査では、ロックフェスに他ジャンルのアーティストが出演することに対して賛成とするユーザーは多かったものの、やはり出演するからにはそれなりの意義や実力が求められているようだ。様々なジャンルの出演者、ファンが集まることで、来年以降、ロックフェスは音楽をメインとした「総合エンタテインメント・フェス」としての動きを加速させていきそうだ。



【調査概要】
調査時期：2014年8月12日〜8月18日
調査対象：合計1000名（自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代の男女）
調査地域：全国
調査方法：インターネット調査