(更新:)
ORICON NEWS
福山雅治『“福山流”人生の美しさとは……!?』
新曲は“日本の女性は美しい”をテーマに
福山雅治その歌詞は『SK−U』側から“日本の女性は美しい”っていうテーマで考えて欲しいと言われたので、そこから入って出てきた言葉で。オファーがないとこういうことって書かないですよね。例えば「家族になろうよ」もゼクシィさんのタイアップがなければ作っていない。突然何もなく“家族になろうよ”なんて書いたら、この人結婚するんだなって思うでしょ?(笑)。今回もそうで“美しいあなた”という言葉は何もない状態ではなかなか出てこない。テーマをもらって初めて、混沌とした自分の思考の中から切り取って出てきたものなんです。
――その思考とは?
福山日本だけではなく、欧米や南米の女性も美しいと思うんですけど、日本の女性とどう違うんだろうって考えたんですよ。日本の女性は、相手の気持ちをまず受け止めて、そこから自分なりに解釈し、相手が望んでいるものを返そうとする。要はさまざまなものを受け止められる人が日本女性には比較的多いんじゃないかなと思いまして。じゃ、それは僕のなかで誰かなってまず浮かんだのが、戦争中に農業をやりながら女手ひとつで子供を育てた自分の祖母なんです。そこを入口にして受け入れ受け止める日本女性特有の強さというか。その生き様や心が美しさに繋がる、という歌詞にしたんです。
――そこに「Beautiful life」とタイトルをつけたのは?
福山そういう人のそばにいるのが美しい人生といえるかなと思いまして。日々の暮らしの中で、一切ネガティブなことがない状態を“幸せ”かと言ったらそれは大間違いで、良いこともあるけれど悲しみや苦しみと共存していくことが人生であり、それを踏まえた上で喜びや楽しみを分かちえる人がいる。それがビューティフルライフなんじゃないかなと。
――福山さん自身、どんな場面で人生の美しさを感じます?
福山思いがけず無償の優しさを受けたりすると、他人を疑ってかかっていた自分はなんて汚れてたんだ…と。世の中捨てたもんじゃないって思いますね。こんなことがありました。5〜6年前に南仏のアルルに行ったとき、ゴッホ橋を見に行こうと思ってバスに乗ったら、言葉も全然通じない地元の少年がそのバスは違うってわざわざ別の行き先のバスを教えてくれて。そのとき、もっと人を信じなきゃ!って思いました(笑)。人間は嘘のない子供時代を過ごし、嘘をつかないと成立しない時期に入って、最後嘘も含めた本当のことを探し出すことが人生の流れだと僕は思っていまして。そんな日々から一歩離れた旅先でこういう無償の施しみたいなことにふと出会うと、勝手に泣けてきたりするんですよねぇ。
――それが非日常の旅行先ではなく、日常の中でちょいちょいあるのが理想ですよね。
福山いやぁ、それは難しいです。地元に帰ったときの友人なんか、いつも僕に奢ってもらって当たり前みたいな顔して酒呑んでいますからねぇ。遠慮のないこの関係をもはや財産と考えるしかない。それこそプライスレスです(笑)。
「愛してると」と直接言うようになったら歌う必要がなくなる
福山これはオリンピックの曲ではあるんですが、通年で聴ける“持ち”のいい楽曲にしたいと思って作った曲で(笑)。ただ孤独に関していえば、実は「Beautiful life」でも「家族になろうよ」でも、人と人は繋がっていてもすべて共有しあえるわけじゃないという意味を含んでいるんです。というのも、僕は基本的に人と人はすべて完璧に分かり合えないだろう、というところから入っていくほうで。でも、人を信じていないわけじゃなく、過信、妄信するほうが逆に関係を悪くするんじゃないかなと。いい意味で、距離を保ちながら人と接するほうが健全なんじゃないかと思っているんです。だから“わかりあっているよね、僕たち”みたいなことを安易に女性に言う男性は僕、嫌いです(笑)。そういう男性は多分今まで出会った女性すべてに甘い言葉を言っていますからね。でも、女性は熱い言葉や甘い言葉に弱い。やっぱそっちにいくんだなって、何度も見たし何度も経験しました(笑)。
――それでも福山さんは言わない?
福山言わないです(笑)。かつて僕も言ったほうがいいのかなと思って、「愛してる」とか言ってみたことはあるんです。でも口にした瞬間、何か違うなと。何か違和感があったので今は歌でしか言いません。直接言うようになったら歌う必要がなくなりますから。
――なるほど。
福山だから普通は言ってもいいのかもしれない。ただ、そういう男性はみんなに言っているって女性はわかったほうがいいと思います(笑)。
(文:若松正子/撮り下ろし写真:草刈雅之/ヘアメイク:河北裕介/スタイリスト:村瀬昌広)
関連リンク
・PHOTO GALLERY
・ARTIST PAGE
・OFFICIAL SITE