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西島秀俊 特集『モテる40代の魅力に迫る!シリアスとふんわり素顔のギャップ!?』
◆俳優・西島秀俊のブレイクまでの軌跡ときっかけ
その後、念願叶って、1999年には黒沢清監督の『ニンゲン合格』、2002年には大ファンであるという北野武の『Dolls』でともに主演を果たし、徐々に自分の希望する道と実際の仕事が近づいていき、役者としての確かな道を歩み始めた。
お茶の間的なブレイクを果たしたのは、やはりドラマの世界での活躍がきっかけではないだろうか。『アンフェア』(2006年)『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』(2010年)『ストロベリーナイト』(2012年)などのサスペンスドラマで徐々に存在感を現し始める。また、こうしたシリアスな作品以外に、『リアル・クローズ』(2009年)や『僕とスターの99日』(2011年)など女性向けの作品にも出演し、新たな顔を見せ始める。
一方、映画の世界では、2011年にイランの巨匠、アミール・ナデリ監督の『CUT』に主演し世界から評価を受けた。この作品に出演したのは、東京で行われている東京フィルメックス映画祭で監督と出会ったことがきっかけで、しかもシネフィルが主人公ということで、本人との共通点があったからだと言われている。映画に対する情熱が、役を引き付けたのかもしれない。
40歳近くでのブレイクの理由の裏には、ひとつのパターンの役にこだわることがなくなり、どんなキャラクターでも楽しんで演じられるという、ある意味肩の力の抜けた感覚になったことが良い効果をもたらしているように思う。数年来は、コメディにも挑戦したいと語っているそうで、さらなる新たなキャラクターにも期待できそうだ。
◆人気の秘密は…男臭さといじられキャラのギャップ!?
例えば、ローソンのCMでは『ストロベリーナイト』と同じく竹内結子と共演して素の部分を見せ、ANAやアリナミンのCMでは、同年代の男性向けに等身大のビジネスマンを演じた。また、ソフランのCMでは新米主夫としてママたちの輪のなかで戸惑いながらも前向きに歩む姿を見せ、パナソニックの家電や日清ラ王のCMでも俳優・西島とは異なる一面をのぞかせ、同じ年代の主婦層に訴えかけた。そうかと思えば、スズキの軽自動車ラパンのCMではショコラティエを演じ、20代から30代のOL層までをも魅了。どんな世代にも幅広く訴求できることを示している。
このCMのソフトなイメージ戦略は、本来やりたいことをするうえでもプラスに働いているのではないだろうか。西島は、「役者バカ」と評されることがあるほどで、ストイックに演技を追及することのできる男らしい役を好む人であるが、単純にストイックな役を演じているだけでは、ここまでの人気が出ていたかは疑問である。
しかし、CMでのソフトなイメージがあるからこそ、『MOZU』や『ダブル・フェイス』(2012年)などの作品で男臭い役を演じても、女性はその男臭さに引くこともなく、CMとのギャップを楽しむことができるという部分もあるのではないだろうか。
さて、あまりバラエティに出ない西島ではあるが、たまに番組宣伝を兼ねてテレビ出演をすると、おっとりとした不思議なたたずまいを見せてくれる。例えば、『ストロベリーナイト』で共演した竹内とあるバラエティに出演した際は、回転寿司が初めてであることを告白。おもちゃの回転寿司で自分の好きなネタが目の前にまわってくると、お寿司をとるのではなく、その回転のスイッチを止めてしまうというボケボケの一面を披露していたこともあった。新しく放送されているローソンのおにぎりのCMでも、とぼけたキャラクターを演じていたが、こうしたふんわりした雰囲気と、シリアスな演技者としての面のギャップも、好感度を上げているのだろう。
バラエティに出演した姿を見ていると、意外にもいじられキャラなのではないかと思うことも多々ある。『笑っていいとも!』に出演時は、司会のタモリから筋肉のことをいじられ、恥ずかしそうにしていた姿が印象に残ったし、共演の女優からも宣伝番組でしばしばいじられている姿を見る。もしかしたら、反応がおもしろいタイプの人なのかもしれないし、そのときに見せる笑顔も人気のひとつだろう。
また、西島秀俊を語るうえで今や外せないのは、映画『サヨナライツカ』(2009年)や大河ドラマ『八重の桜』(2013年)等で見せた鍛え上げられた筋肉だろう。しかし、スーツを着たときにはそのマッチョさはさほど強調されず、座った姿や立ち姿から、ちょっと申し訳なさそうな感じがするのもギャップといえばギャップである。
ちなみに、個人的には、2005年の『さよならみどりちゃん』で見せたような、愛すべきダメ男・ユタカのような役にもまた挑戦してもらいたいところであるが、43歳になってなお、新しい姿を次々と見せてくれる西島秀俊。これからも予想のつかない姿をまだまだ見せてくれるのではないだろうか。
(文:西森路代)
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