「魔法の料理 〜君から君へ〜」は、今まで以上に藤原基央にしか描けない風景に溢れている。今までなら分かりやすい物語へ推敲が必要だった部分も、そのまま歌に乗せている。感情や考え方だけでなく、記憶や経験そのものまで刻まれた作品。なんだか表現することに対してどんどん無防備になっているように思う。 ある意味では無責任とも言えるこの作風はしかし、BUMP OF CHICKENに新たな進化をもたらしたといっていいだろう。個人的過ぎる内容でありながら、楽曲の持つスタンダードミュージックたる資質の高さ。さらに現在から過去へ、未来から現在へ向けたメッセージという視点を提示した、作詞家としての技術の向上も伺える。総じてBUMP OF CHICKENの目指す「みんなのうた」としての強度が上がっていると感じた。